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第5の波 (4)「人生100歳を健康に」「ホモ・サピエンス2.0誕生夜明け前」平野前阪大総長に聞く

木村正人在英国際ジャーナリスト
ゲノム編集でノーベル化学賞を受賞したシャルパンティエ氏(左)とダウドナ氏(写真:ロイター/アフロ)

[ロンドン発]インターロイキン6 (IL-6)を発見し、IL-6が関節リウマチなどの自己免疫疾患、慢性炎症性疾患、がんに深く関与していることを明らかにした免疫学者で、量子科学技術研究開発機構(QST)の平野俊夫理事長(前大阪大学総長)は100歳まで健康不安なく人生を楽しめる持続可能な医療と介護を実現する、政府の「ムーンショット目標7」のプログラムディレクターも務める。人生100歳を健康に楽しく生きるための科学とは――。(在英国際ジャーナリスト、木村正人)

――情報通信技術(ICT)だけでなく、ゲノム編集が可能になるなど、ライフサイエンス(生命科学)の進歩には驚異を覚えます

過去30年間で、ICTがものすごく進んだ。人の心すら操作できる。選挙でもSNSを使って世論に影響を与えることができる。毎朝、このお買い物はどうですかと自分好みの商品案内メッセージが送られてくると購買意欲がそそられる。私たちが知らないうちに心が操作されている。こういうことは第4の波では考えられなかった。第5の波特有の現象だ。

1953年、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによるDNA二重螺旋(らせん)の発見に端を発した分子生物学を基盤とする生命科学の進歩は驚異的だ。2020年ノーベル化学賞を受賞したゲノム編集(独マックス・プランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ所長と米カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授が受賞)のインパクトはあまりに衝撃的だ。人類という地球生命体の核心に立ち入ってくるからだ。

単に病気を治す目的のみに限定してゲノム編集が使われるとは考えられない。そのうち天才的な子を作りたいという話が現実に出てくるだろう。山中伸弥博士(京都大学iPS細胞研究所所長)が創ったiPS細胞に代表される再生医学も閾値(いきち)を超えた。今までの医学は病気の原因を解明して病気を治すことが目的だった。

栄養状態の向上や医学の進歩で、平均寿命は伸びた。平均寿命が一番長い国で85歳ぐらいから非常に低い国で50歳ぐらいまで35年ぐらいの開きがある。日本は約84歳だが、100年前は40歳代前半だった。今、人生100歳時代と言われている。世界全体で平均寿命は毎年伸びていく。しかし生物学的寿命はあまり伸びていない。

平均寿命と生物学的寿命は異なる。人間の生物学的寿命は120歳ぐらいと言われている。ネズミはいくら頑張っても1~3年しか生きられない。犬の平均寿命は約15歳だが、記録上の世界最高は29歳とされている。

いくら良い環境条件でも、それ以上生きることはできない。それが生物学的寿命だ。その生物学的寿命を決めている遺伝子が何かということが次第に分かってきた。ウェルナー症候群など、先天的な遺伝子異常により老化現象が早く進む病気がある。その原因遺伝子も明らかにされている。

一方、線虫とかショウジョウバエの長寿遺伝子を活性化させると寿命が倍になったという報告がある。

――どこまで生命の操作ができるようになっているのでしょう

生物学的寿命すら操作することが可能な時代になった。再生医療や遺伝子操作が一線を超え、人間の生物学的寿命もこれまでの120歳を突破できる可能性がある。関節が悪くなれば人工関節、メガネ、補聴器、入れ歯、人工血管、ステント(血管など人体の管状の部分を内部から広げる器具)など、さまざまなものが体の中に入り、人工心臓もできた。

iPS細胞で筋肉や心臓を作ったりすることが現実的になってきた。iPS細胞で網膜を作って網膜変性による失明を防ぐとか、極端な例を考えると、気がつけば首から下は全部人工物または他人から来たiPS細胞由来の臓器に置き換わっているかもしれない。

あるいは体全体をリプログラミングして若返らすことも現実味を帯びてきている。事実ネズミでは若返りに一部成功している。ゲノム編集で長寿遺伝子を操作することも可能となる。

そうすると生物学的寿命の壁を乗り越えることが可能となる。これは神の領域だ。これまではいくら医学が進んで平均寿命が伸びても生物学的寿命という限界があった。その壁がなくなると、120歳を突破したら200歳、200歳を突破したら1000歳、1000歳を突破したら1万歳、そして秦の始皇帝が求め続けた永遠の命が手に入る。

年をとるというのは体の中で老化細胞が増えることだ。老化細胞が増えると体のあちこちで慢性炎症が起こる。慢性炎症が起きることによって動脈硬化になったり、冠動脈が詰まって心筋梗塞になったり、脳の血管が詰まって脳梗塞が起こったり、その結果、認知症になったりする。また、がんになったりする。年をとって起こる病気はほぼすべて慢性炎症が基盤にある。

がんも今では生活習慣病だと言われる。年をとることで自然と老化が進み、慢性炎症が起きる。生活習慣によってそれが加速される。特に問題なのが肥満と喫煙。そういうバックグランドがある人が新型コロナにかかると当然、重症化する。

病原微生物に対する免疫反応も、傷ついた体の治癒過程も制御された炎症反応だ。しかし新型コロナ感染で起きるサイトカインストームは制御を逸脱した急激な炎症反応だ。関節リュウマチはじわじわと起きるサイトカインストームのようなものだ。

中外製薬が大阪大学と共同開発したIL-6の阻害抗体医薬である関節リュウマチの薬トシリズマブ(商品名はアクテムラ)がコロナに効くことがイギリスの大規模ランダム化比較試験で証明された。トシリズマブが効くのは重症の新型コロナ感染症が「サイトカインストーム症候群」だからだ。

――デビッド・A・シンクレア著『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』が日本でも話題になりましたね

ライフスパンの話は、まさに生物学的寿命の壁を打ち破り200歳、あるいは1,000歳生きるという話だ。目指すは始皇帝の夢の実現だ。

今、私が責任者を務めている「100歳まで健康不安なく人生を楽しめる持続可能な医療と介護を実現する」ムーンショット目標7は生物学的寿命を伸ばすことではなく、健康寿命を延ばすことだ。もちろんわれわれのプロジェクトを推進していくと、結果的に生物学的寿命を突破できるかもしれないが。

日本の平均寿命は伸びた。しかし残念なことに健康寿命はあまり伸びていない。生物学的寿命と平均寿命は違うというお話を先程したが、もう一つ健康寿命というのがある。平均寿命が84歳であったとしても日本人の平均的な健康寿命は73歳ぐらいだ。平均寿命と健康寿命の差は約10歳ある。それは何を意味しているかというと死ぬまでの間の10年以上、日本人は不健康な状態で過ごしている。

ある人は寝たきりになったり、またある人は糖尿病を患ったり、他の人は動脈硬化で歩けなくなったり、心臓疾患になったりする。認知症になっている人もいる。人生の最後を不健康な状態で過ごしている。今までの医学というのは病気を治し平均寿命を伸ばす治療だった。

抗がん剤によるがんの治療では寿命が伸びても、生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)は悪くなる。今までは、病気の治療が主眼でQOLは二の次の医療だったので、平均寿命と健康寿命の差がなかなか縮まらなかった。

QSTが世界をリードしている重粒子線によるがん治療はQOLを重視した優れたがん治療だ。私が現在進めているムーンショット目標7のプロジェクトはいかに健康寿命を伸ばすか。言い換えると健康寿命と平均寿命の差を限りなくゼロにすることだ。

元気に生きてある日突然死ぬ、つまりピンピンコロリ。死の直前まで人生を楽しむ。私たちの狙いはいかに健康寿命を伸ばすかだ。老化という現象は体の中に慢性炎症が蓄積されていくことだ。また、慢性炎症は老化を促進する。悪循環を繰り返しながら、健康がおかされていく。

人間は年をとっていくと体の中のDNAに傷が溜まってくる。DNAが少しずつ変異を起こして蓄積されていく。それが引き金となり、細胞は老化する。老化した細胞はIL-6のような炎症性サイトカインを放出する。そのことによって慢性炎症が進行する。同時に老化細胞は周辺の細胞をリプログラミングにより若返らせて、少しでも体の機能を保とうとする。この時もIL-6が重要な役割を果たしている。

最近では、老化細胞のマーカーも分かってきた。体の中にどれだけ老化細胞があるか数えることができる。ネズミの老化細胞は数えられるし、人間もそのうち数えられるようになる。あなたの老化細胞はどれだけあるのか、計測できるようになる。実験でネズミの老化細胞を体から除去すると、ネズミが若返り加齢に伴う糖尿病なども改善することが明らかになっている。

老化という現象を人間の手で操作できる時代に突入している。慢性炎症を抑えることにより加齢による不健康状態をできるだけ防ぐことができる時代になりつつある。さらには、再生医療や遺伝子操作により生物学的寿命の壁が破られるかもしれない。

私の率いるプロジェクトでは体の中から老化細胞を除去したり、ミトコンドリア機能を回復させたり、慢性炎症の原因やそれが起きている場所を見つけだしたりして、局所の炎症を消していく。あちこちで起きているボヤを消していく。さらには、細胞を遺伝子操作により若返らすことを目指す。そして健康寿命を伸ばす。

年をとると眠れなくなる睡眠障害は、認知症と同じく慢性炎症から起きている。認知症では慢性炎症に伴う複雑な反応の結果、記憶中枢がおかしくなる。睡眠障害は睡眠中枢の制御が乱れることによって起こる。睡眠が乱れることと認知症の基本は同じだ。動脈硬化などと同じ次元で起きている。慢性炎症が本質だ。

老化研究における志は、老化の仕組みや長寿遺伝子を解明し、老化を遅らせたり若返りを図ったりすることだが、理念が問題になってくる。老化研究を追求していけば、その先では生物学的寿命の壁を突破するかもしれない。

――生命科学がそこまで進むと理念がますます重要になってきますね

これは果たして人類にとり幸福なのか。生物学的寿命を伸ばすという志を掲げるとすれば、理念は何かが大きな問題になってくる。人類が120歳を超えて1千年も、1万年も生きるような世界はどうなるのだろう。

これは大問題だ。だからこそ理念が非常に大切になってくる。

生命科学の問題を考えれば考えるほど理念をどうするかという問題に行き着く。何のための生命科学なのか。寿命を伸ばすという志の理念は何なのか。平均寿命や生物学的寿命を何のために伸ばすのか。まず理念は何かを定めなければならない。戦略や戦術はいろいろとリアルに見えてきている。第4の波の時には考えられなかったことだ。

この20年間ぐらいだ。そういうことが分かってきたのは。

じゃあ人間の頭脳はどうなのか。頭の中にある情報をすべてスーパーコンピューターに入力して、過去の記憶を全部入れる。一瞬にしてコンピューターの中に「その人」ができるかもしれない。あるいは人間の脳を取り出してロボットに移植して全身ロボットだけど、脳だけ人間というサイボーグが誕生しているかもしれない。

2018年の国際医用画像総合展に出展されたブレイン・マシン・インターフェース
2018年の国際医用画像総合展に出展されたブレイン・マシン・インターフェース写真:つのだよしお/アフロ

脳の情報すらリアルタイムでコンピューターが読み取ってくれる。今ブレイン・マシン・インターフェースというのがある。嘘発見器のような装置をイメージしてほしい。頭に装着した脳波検出器をコンピューターにつなぐと人間が話したいことを解析して代わりにしゃべってくれる。脳卒中で頭は働いているが、話せなくなった人に使えば話せるようになる。

脳卒中で手足が動かなくなった患者さんを、コンピューターを介してロボットにつなぐと、ロボットの手がリンゴをつかんでくれる。ブレイン・マシン・インターフェースはもう始まっている。これは今までキーボードを介してつながっていた人とコンピューターが直接つながることを可能にし、これによって自分の見ている夢を画像としてスクリーンに表示させることもできるようになる。

――物理学や化学だけでなく、生命科学も量子の時代に入ったと唱えられ、新しいプロジェクトに取り組まれていますね

放射線医学総合研究所、日本原子力研究開発機構の核融合部門とレーザーの研究所と量子ビームによる材料科学の研究所が統合された量子科学技術研究開発機構(QST)の初代理事長になって、次世代重粒子線がん治療装置である「量子メス」の研究開発のほかに、量子生命科学をゼロから立ち上げた。

今の生命科学は分子生物学だ。分子生物学は行き着くところまで行き、花開いた。遺伝子や人間の部品はすべて分かった。しかし人間や大腸菌をすりつぶして、それぞれもう一度組み立てても人間にも大腸菌にもならない。

ところが自動車はバラバラに分解してもう一度組み立てたら動く。つまり分子生物学の限界が見えた。これが第4の波の終わりだ。分子生物学をいくら突き詰めても「生命とは何か」という答えにはならない。

生命を形作っている物質や遺伝子を組み合わせるとどうして生命ができるかということは誰にも分からない。その謎に突き進むために今度は量子レベルでやるべきだ。これはサイエンスの流れから見ると当然の流れだ。例えば物理学。ニュートン力学、熱力学、量子力学、素粒子物理学、だんだん量子の世界になっている。化学も量子化学になっている。

生命科学も昔は分類学だった。16世紀末に光学顕微鏡が発明された。それによって細胞があることが分かった。第4の波で、それまでの分類学から細胞生物学が花開いた。細胞の中にミトコンドリアなどの細胞小器官があることが分かった。1953年のDNA二重螺旋の発見により分子生物学が花開き、免疫学、ウイルス学、脳神経科学など、さまざまな生命科学が飛躍的な発展を遂げた。

アビガンやレムデシビルもすべてその恩恵だ。ところが分子生物学を突き詰めても生命とは何かは分からない。植物は光合成をしている。非常に能率よく太陽エネルギーを化学的エネルギーに転換している。量子効果が高効率なエネルギー伝達に関与していることがわかってきた。人間が作った太陽電池というのは光合成の足元にも及ばない。

渡り鳥は3千キロから1万キロ以上の距離を渡って行く。なぜ迷わないかというと鳥類学者が観察して鳥はどうも目で方角を決めていることが分かった。なぜ目で方角が分かるのかを突き詰めていくと、目には光感受性蛋白(たんぱく)質がある。その蛋白で地磁気をとらえている。

量子力学の原理で微弱な地磁気を検知して神経に伝達してGPS(全地球測位システム)のような機能を果たしているらしいことが分かった。

放射線によるDNA突然変異やその修復機構はどうなっているのか? 分子生物学から一歩進めて量子レベルで研究すれば新しいことが明らかになるはずだ。量子トンネル効果で突然変異は常に起きているかもしれない。意識は? 生命は? 今の分子生物学では分からない。

量子力学に基づいたさまざまな計測器、センサーを細胞や生命に使ったらどうなるか。生命科学が分類学から細胞生物学になったのと同じブレークスルーが起きると思う。

つまり量子センサーを使うことでこれまで全く見えなかったことが計測できるようになれば新しいことが分かるはずだ。あるいは量子力学の観点から生命を研究すれば生命の謎がわかるかもしれない、とQSTの理事長になった時に考えた。そしてQST創立5周年の今年4月に量子生命科学研究所を創設した。

第5の波というのは考えれば考えるほどすごい時代だ。早ければ、2050年ぐらいには第6の波に移行するかもしれない。

――第6の波を迎える時、人類にどんな変化が起きているのでしょう

第6の波では、何が起こるだろう。人類は生物学的寿命(120歳)を突破しているだろう。永遠の寿命を獲得するかもしれない。人生の意味の再定義、心の問題、サイボーグ、シンギュラリティの突破、サイバーと現実空間の区別がつかないようになっているかもしれない。

これは、40億年の歳月をかけて地球が育んだ人類という地球生命体からの脱皮を意味する。言わずもがな、地球上のすべての生命は地球という環境により育まれてきた。その結果として寿命、肉体、心や意識が創られた。

しかし第6の波では人類は地球生命体から別れを告げ、全く別次元に進化した生命体、ホモ・サピエンス2.0となっている可能性がある。そしてエネルギーも太陽から独立した水素融合エネルギーのようなエネルギーを獲得し、第6の波の新人類は宇宙に飛び立つことになる。

2020年ダボス会議に出席するユヴァル・ノア・ハラリ氏
2020年ダボス会議に出席するユヴァル・ノア・ハラリ氏写真:ロイター/アフロ

『ホモ・デウス』や『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』を記したイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは500年前に始まった科学革命により、いま人類は、不死と幸福、神性を目指しホモ・デウス(神のヒト)へとアップグレードしようとしている。それが、人類が行き着く未来であると述べている。

連続的な自然の進化ではなく、自らの力で自らを別次元へとアップグレードしたとしても、あらゆる地球生命体を操作できるとしても、宇宙の本流を制御することは不可能だ。宇宙の摂理に従わざるを得ない。とても「神のヒト」とまでは呼べないのではないか。

ホモ・サピエンス2.0、ホモ・スプリーム(最高のヒト)、ホモ・エボルブド(進化したヒト)、ホモ・アドバンスド(発展したヒト)、ホモ・リボルーション(革新的ヒト)……。地球環境で自然に進化したホモ・サピエンスとは異なるという意味を込めて、さらなる飛躍がある可能性をも秘めて、ホモ・サピエンス2.0と呼ぶことにする。

どのような第6の波になろうとも、これを迎えるためには、いかに第5の波を乗り超えることができるかにかかっている。「調和ある多様性の創造」により、多様性の爆発を回避することができるかによるのだ。

理念と志、戦略と戦術を持ったリーダーが今ほど重要な時はない。そしてリーダーとともに、未来の扉を開くのは自分たち一人一人だ。他の誰がやってくれるのでもない。私たちは必ず未来の扉を開くことができるはずだ。これまでの波の中で人類は、溺れることなく扉を開いてきた。

人類20万年の歴史は、世界は統一に向かっていることを明確に示している。新型コロナウイルス感染症は、改めて「地球は1つ」であること、「地球市民」の意識が重要であることをわれわれに訴えている。この意識の上にのみ、人類の未来があることを決して忘れてはならない。今ほど「調和ある多様性の創造」が重要な時はない。

第6の波への扉を開き、人類は40億年かけて育まれた人類という地球生命体から別れを告げる。ハラリが説くように、人類は第1の波で「火」という科学技術と、「物語」という認知手段を手に入れることにより、全ての地球生命体支配というパンドラの箱を開いた。

第6の波では地球生命体からの脱皮という「第2のパンドラの箱」を開くことになる。その時、ホモ・サピエンス2.0は何を観、何を思うことになるのか?

(おわり)

平野俊夫(ひらの・としお)

1972年、大阪大学医学部卒業。73年より3年間米国立衛生研究所(NIH)留学。86年にIL-6遺伝子を発見。89年大阪大学医学部教授。2008年に医学部長、11年から4年間、大阪大学総長。日本免疫学会会長などを歴任。クラフォード賞、日本国際賞などを受賞。16年から現職。

量子科学技術研究開発機構(QST)の理事長を務める平野俊夫氏(中央)
量子科学技術研究開発機構(QST)の理事長を務める平野俊夫氏(中央)写真:つのだよしお/アフロ

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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