「これからも東京ヤクルトスワローズと共に戦っていってくれるでしょうか? ヤクルトスワローズを愛していてくれるでしょうか? これからもヤクルトスワローズをよろしくお願いします!」 

 昨年10月25日の引退試合で、そうファンに熱く語りかけてから7カ月あまり。NPB歴代7位の823試合登板、日米通算906試合登板の記録を残して23年間の現役生活にピリオドを打った五十嵐亮太氏(42歳)が、日本生命セ・パ交流戦真っただ中の6月1日に思い出深い神宮球場を訪れ、古巣のヤクルト、そして同学年の“盟友”石川雅規にエールを送った。

今年は「新しいヤクルトの戦い方が築き上げられている」

 五十嵐氏はこの日、試合前の始球式を務めた牧野真莉愛さん(モーニング娘。’21)の「臨時特別コーチ」として、神宮外苑の室内練習場で投球を指南。ひととおりの指導を終えると、これまでにも始球式の経験があるという牧野さんのピッチングを「筋がいい」と評し、「あのフォームであったり、あの投げ方とかっていうのは、もともと持っているものが、たぶんいいんだと思います。しっかりボールに力が伝わる投げ方だったので。あとフォーム自体は非常にキレイ。やっぱり体を動かすお仕事をしていて、特にダンスなので、体の使い方がキレイだし無駄がない。そんな印象ですね」と語った。

 そして、話が今シーズンのヤクルトの戦いぶりに及ぶと「いやあ、いいですね」と相好を崩し、「チームの雰囲気がいいのが伝わってくるし、なんかね、ズルズルいかない。ちょっと雰囲気の悪くなるような負け方もするんだけども、次の日にガラっと変わったり、その試合の中でも、ちょっと雰囲気が良くないなっていう中で何とか粘って後半に逆転であったり、勝ちにつなげていく試合が多く見られているので、去年とは明らかに戦い方が違う。監督の信念みたいなのが伝わるような、そんな試合をしてますよね」と続けた。

 かつては共に投手としてヤクルトのブルペンを支え、昨年は監督と選手の間柄でもあった高津臣吾監督に関しては「去年は(思い描いている野球を)探りながらであったり、どういうのがいいのかなっていうところでやっていて、(今年は)去年の反省を生かしてどうするべきとか(を考えている)。やっぱり選手が同じ方向を向いて戦えるチームってのは、僕は強いと思っていて、そういった組織づくりができてますよね。シーズンを通していろいろ変わってくるんでしょうけど、今まで見ていると高津さんらしいというか、新しいヤクルトの戦い方が築き上げられているんじゃないのかなって。それが選手にしっかり浸透していますよね」との見解を示した。

“盟友”石川には「どんどんプレッシャーをかけた方がいい」

 さらに、21歳の若き主砲、村上宗隆が四番バッターとして打線をけん引し、その村上とドラフト同期の金久保優斗がここまで3勝、2年目の奥川恭伸も2勝を挙げるなど、若手の台頭が目立つことにも言及。「めちゃくちゃ楽しみですね。なんかね、明るい材料が多いじゃないですか、今のヤクルトって。金久保もそうだし、奥川もそうだし、村上だって、これからどんどんどこまでいくんだろうっていうぐらいのバッターだから。こんな明るい材料がここ数年、あったかっていうと、ちょっと…ちょっとなあと。なんかいいじゃないですか」と、ここでも頬を緩めた。

 最後に、二軍で7試合に投げて1勝1敗、防御率0.32の好成績を残している石川が一軍に合流したことについては「(一軍の)先発ピッチャーがそこそこ安定してるっていう中で、気持ちを切らさずにもちろんやってるんだけど、(一軍に)上がってからが勝負だと思うので、結果がそのままついてくるといいですよね」と話し、石川が常々「亮太の分も頑張りたい」と公言していることに関して「ホントそうです。そこはプレッシャーを感じてやってもらいたいです(笑)。アイツにはどんどんプレッシャーをかけた方がいいと思うんですよね。どっかでそのプレッシャーが緩んだ時が、辞めるときだと思うんで。やっぱり、年を取れば取るほどね、どんどん強くなるし、プレッシャーもかけて『やれよ』と。彼の場合はちょっとやり過ぎて困るんだけど、そこはちゃんと自分の体と相談できる立場なので」とエールを送った。

 この日、東北楽天ゴールデンイーグルスと対戦したヤクルトは、五十嵐氏も期待を寄せていた金久保が序盤から失点を重ねるなど劣勢を強いられたものの、7回に山田哲人の犠牲フライ、村上の2ランなどで一挙5点を奪って逆転。まさに五十嵐氏がいう「何とか粘って後半に逆転」を地で行くような試合展開で、パ・リーグ2位の楽天を相手に7対4で勝利を収めた。

 これでヤクルトは交流戦の成績を4勝3敗として、オリックス・バファローズ、千葉ロッテマリーンズと並んで3位に浮上。セ・リーグのペナントレースでは貯金を5として、2位の読売ジャイアンツに1ゲーム差に迫っている。