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前ヤクルトのエスコバーが古巣ロイヤルズとマイナー契約。昨年ヤクルトを退団した他の“助っ人”は今…

菊田康彦フリーランスライター
エスコバーは2011年から8年間、正遊撃手としてロイヤルズでプレー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年は東京ヤクルトスワローズに在籍していた内野手のアルシデス・エスコバー(34歳)が、5月4日付で古巣のカンザスシティ・ロイヤルズとマイナーリーグ契約を結んだと、メジャーリーグの公式サイトなどが報じた、まずは傘下のAAA級オマハ・ストームチェイサーズに配属されるというが、ロイヤルズはさっそく球団公式ツイッターで「おかえり、エスキー」とツイートし、エスコバーの復帰を歓迎している。

ロイヤルズの正遊撃手として30年ぶりの“世界一”に貢献

 2011年から8年間、ロイヤルズの正遊撃手としてプレーしたエスコバーは、2015年にはゴールドグラブ賞を獲得するなど、2年連続のア・リーグ優勝、そして30年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献。2019年にはボルティモア・オリオールズを経てシカゴ・ホワイトソックスに移籍するもメジャー昇格はならず、翌2020年はヤクルトに入団することとなった。

 そのヤクルトでは遊撃と三塁を守って104試合に出場し、打率.273、1本塁打、30打点、6盗塁。打率はセ・リーグの外国人選手ではトップで、守備でもしばしばかつてのゴールドグラブ賞の片りんを見せたが、長打力不足もあって1年限りで自由契約となった。

 昨年のヤクルトにはこのエスコバーのほか、4人の外国人選手が在籍していた。すべて投手で、そのうち先発のアルバート・スアレスと中継ぎのスコット・マクガフは今季もヤクルトのユニフォームを着ているが、ガブリエル・イノーア(27歳)とマット・クック(30歳)は、エスコバーと同じく1年で退団。彼らは今、どうしているのか?

イノーアは元阪神・林威助監督の下、台湾でプレー

 イノーアは昨年のオープン戦で3試合に登板して1勝1敗、防御率1.80の好成績を残し、開幕ローテーション入りを果たした。ところが先発としての役割を果たせず、6試合に先発しながら0勝2敗、防御率9.82で、7月の終わりに二軍降格。9月にはリリーフとして一軍に復帰するも結果を残せず、シーズン終了を待たずに退団が決まった。

 ヤクルト退団後は、昨年の暮れに台湾プロ野球CPBLの中信兄弟と契約。今年から就任した元阪神タイガースの林威助(リン・ウェイツゥ)監督の下、「加百利」の登録名でプレーしている。

 ここでもなかなか白星に手が届かなかったが、5月4日の味全ドラゴンズ戦で8回を無失点に抑え、今季初勝利。ここまで先発8試合を含む9試合に登板して1勝3敗1ホールド、防御率4.11の成績を残している。

インディアンスのルーキー級から再出発のクック

 一方のクックは、昨年は上半身のコンディション不良で出遅れ、ファームでの調整を経て8月下旬に一軍昇格。先発として2試合に登板するも計13失点(自責点8)で2敗を喫すると、二軍での再調整を経て9月下旬に一軍復帰後も、救援5試合で0勝1敗、防御率7.36という成績で、シーズン終了後に自由契約となった。

 ただし、ファームでは13試合の登板で5勝2敗、防御率3.96で、埼玉西武ライオンズの榎田大樹ら5選手と並んで、イースタン・リーグ最多勝利投手賞を受賞。今年は4月23日にクリーブランド・インディアンスとマイナー契約を結び、ルーキーリーグのAZLインディアンス・ブルーに配属された。つまり現在のマイナーリーグ最下層から、2年ぶりのメジャー復帰を目指すことになる。

 ちなみに近年、ヤクルトでプレーしたのちにメジャー復帰を果たした選手には、2018年に在籍したマット・カラシティー(現ボストン・レッドソックス傘下マイナー)がいる。そのカラシティーも含め、ヤクルト退団後にメジャーリーグの舞台に返り咲いた選手については、過去記事の「カラシティーがレッドソックスとマイナー契約。過去にヤクルトからメジャーに『出戻った』外国人選手は…」で取り上げている。

(文中の日付はすべて現地時間)

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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