Yahoo!ニュース

2019年、ヤクルトの「ミスター・トリプルスリー」山田哲人が欲しいモノとは?

菊田康彦フリーランスライター
昨年12月、契約更改を終えて記者会見に臨んだヤクルトの山田哲人(筆者撮影)

 年が明けて新たな1年、2019年がスタートした。プロ野球の開幕はまだだいぶ先のことになるが、これから自主トレ、キャンプ、そしてオープン戦と、3月下旬のシーズン開幕に向けて“球春”が徐々に本格化していくのを、心待ちにしている野球ファンは多いことだろう。

「チャンピオンリングが欲しい」

 今シーズンも見どころの多いプロ野球にあって、記録的な観点でいえば、東京ヤクルトスワローズの山田哲人が40本塁打&40盗塁、いわゆる「40-40(フォーティ・フォーティ)」を達成できるかどうかも、大いに注目される。山田は長いプロ野球の歴史の中でもただ一人、同一シーズンの打率3割・30本塁打・30盗塁を3度達成している「ミスター・トリプルスリー」だが、「40-40」を達成した選手は歴史を紐解いても日本には誰もいないからだ。

 これまで本塁打は38本(2015、2016年)、盗塁は34個(2015年)というのが山田のキャリアハイだが、年齢的にもまだ26歳と若く、どちらも更新の可能性は十分にある。もっともその山田には今シーズン「欲しいモノ」があるのだという。

「チャンピオンリングが欲しい」。山田がそう話したのは、昨年暮れの契約更改後のことだった。一昨年は球団史上ワーストの96敗(45勝)を喫してセ・リーグの最下位に沈んだヤクルトは、昨年は4年ぶりに復帰した小川淳司監督の下で75勝(66敗)を挙げて2位でシーズンを終えている。今シーズンのチームスローガンは「KEEP ON RISING 躍進」であり、山田も「(2位からの)躍進イコール優勝でしょ」と力を込める。

リーグ優勝時はリングなし

 ヤクルトは最近では、2015年に真中満前監督の下でセ・リーグ優勝を果たしている。だが、福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズでは、第3戦で山田がシリーズ史上初となる1試合3打席連続本塁打の離れ業を演じるも、1勝4敗で敗退。リーグ優勝だけでは記念のリングは作られなかったという。だからチャンピオンリングを手にするには、日本一まで上りつめるしかない。

 現行のシステムではたとえリーグ3位であっても日本一になる可能性はあるが、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜く上では、優勝チームが圧倒的に有利なはずだ。もちろん広島東洋カープが昨年まで3連覇中で、このオフは読売ジャイアンツが大型補強に打って出たセ・リーグにあって、覇権を奪うのは容易なことではない。それでも、まず目指すは昨季からの躍進、すなわち4年ぶりのリーグ制覇。その先に見据えるのが、チームにとって18年ぶりの日本一だ。

 スワローズは、ヤクルト球団設立40周年の2009年に初のCS出場。親会社のヤクルト本社が創業80周年を迎えた2015年は、前述のとおりリーグ優勝を成し遂げている。今年はヤクルト球団設立50周年──。この“巡り合わせ”にも期待したい。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

菊田康彦の最近の記事