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近藤一樹が自己最高年俸で契約更改。2年前のヤクルト移籍に「チャンスをいただいて感謝」

菊田康彦フリーランスライター
契約更改を終え、会見に臨んだヤクルト近藤(筆者撮影)

 今季のセ・リーグ最優秀中継ぎ投手賞に輝いた東京ヤクルトスワローズの近藤一樹(35歳)が12月3日に契約更改を行い、今年の年俸から2.5倍増の6000万円でサインした。

 近藤は2016年7月にオリックス・バファローズからトレードでヤクルト入りすると、チーム事情からリリーフに専念。今年はシーズン序盤からセットアッパーの役割を担い、球団タイ記録となる74試合の登板でリーグトップの35ホールドを挙げて、チームの2位躍進に大きく貢献した。42ホールドポイントもリーグ最多で、最優秀中継ぎ投手賞はプロ17年目で初のタイトルとなった。

大きな転機となったヤクルトへのトレード

 オリックス時代は2008年に自己最多の10勝を挙げるなど、主に先発として活躍した近藤だが、2011年以降はたび重なる故障に泣かされてきた。2015年にいったんは育成選手となるも、4月に支配下登録に復帰して7月12日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦(koboスタ宮城)で1411日ぶりの勝利。翌2016年も先発として、2連勝の好スタートを切った。

 ところがその後は打ちこまれる試合が続き、6月11日の横浜DeNAベイスターズとの交流戦(京セラドーム)で初回にKOされると、「このままだったら、今年で終わりだぞ」と首脳陣に告げられたという。まさに土俵際に追い込まれながら、ファームで中継ぎとして調整を続けていた矢先に決まったのが、ヤクルトへのトレードだった。

「本当にチャンスをいただいて感謝してます」。2年前のヤクルトへの移籍会見で語ったのと同じ言葉を、この日の契約更改後にも口にした近藤。あのままオリックスにいたらオフには戦力外となっていた可能性もあったというが、トレードが大きな転機となって新天地で見事にチャンスをモノにした。プロ17年目で初のタイトル。来季、18年目の年俸6000万円は、2011年シーズンの4900万円を抜いて、自己最高額である。

背番号20で「どんな自分が出てくるのか楽しみ」

 さらに背番号も、ヤクルト移籍以来背負い続けてきた70番から、来季は20番に替わる。

「(20という)数字は軽いですけど、責任の重い番号になるなっていうのは思います。70イコール近藤っていうイメージも少しあったと思うんですけど、新しく20になった近藤はどうなのかって自分でも期待するところもあります。新しい20番っていうところで、どんな自分が出てくるのかホントに楽しみですね」

 近藤はこの日の会見でそう話しているが、楽しみなのはファンも同じだろう。今シーズンは大車輪の働きを見せたことで、その反動を懸念する向きもあるかもしれないが、当の本人は「74試合投げたことによって来年に影響が出たって言われないように、オフシーズンのトレーニングだったりケアだったりとか、そういうところをしっかりとやっていきたいと思います」と力を込める。

「来年が最後っていう思いで1年1年やっている」。これまでと変わらぬ思いで臨む2019年シーズン。見据える先にあるのは、プロ入り以来これまで縁のなかったリーグ優勝だ。

※文中の年俸額はすべて推定

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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