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大谷翔平の今季予定奪三振数は257.7個?!日本人投手3人目のタイトル奪取の可能性を考える

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
開幕から順調に中5日登板を続けている大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【奪三振部門でリーグトップに立った大谷選手】

 エンジェルスの大谷翔平選手が現地時間5月15日のオリオールズ戦に二刀流で出場し、投打にわたる活躍(投手として7回を投げ4安打5失点で、打者として5打数4安打1本塁打3打点)で、チームの勝利に貢献するとともに今シーズン5勝目を挙げた。

 この日の大谷選手は最終2打席で二塁打が打てず、自身2度目のサイクル安打達成を逃しているが、今シーズン最多となる4安打の固め打ちで打撃の方に注目が集まりがちだった。

 ただ投手として今シーズン最多タイの5失点されたものの、5奪三振を加え通算記録を512に伸ばしている。

 また大谷選手はこの日の登板で、MLBデビューから通算400イニングに到達。ESPNによると、通算400イニング達成時点での509奪三振はコービン・バーンズ投手の539奪三振に次ぐ記録で、MLB史上4人しか達成していない快挙だという。

 さらに大谷選手は今シーズンの奪三振数を71に伸ばし、奪三振部門でスペンサー・ストライダー投手の79に次ぎMLB2位、ア・リーグの1位に立っている(現在はケビン・ゴーズマン投手に抜かれ2位)。

【今シーズンはシーズン開幕から中5日登板を守り続ける】

 昨シーズン後半戦に中5日登板を貫き自己最多の28試合登板を果たし、規定投球回数(166.0イニング)を突破するとともに自身初のシーズン200奪三振(219奪三振)を達成している大谷選手。

 そして今シーズンも開幕から中5日登板を守り続け(天候不良による試合中断により2イニングしか投げられなかった5月17日のレッドソックス戦後は中3日で登板)、チームの大黒柱として常に5イニング以上を投げ続けている。

 これまでの大谷選手は、中4もしくは5日でローテーションを回る他の先発投手と比較して、どうしても登板試合数が減ってしまうため、投手の個人タイトル争いに加わるのは不可能だった。

 ところが今シーズンは大谷選手が故障なく現在のペースで投げ続けられるとしたら、2年連続の規定投球回数をクリアするだけでなく、個人タイトル争いにも加われそうな状況にありそうだ。

【最後まで中5日登板を続けるとあと22試合に登板予定】

 中でも注目されるのが、前述通り現在もトップ争いをしている奪三振部門だろう。

 このタイトルは、1995年と2001年の野茂英雄投手、2013年のダルビッシュ有投手と2人の日本人投手が獲得に成功しており、日本人にとって最も身近なものではないだろうか。

 そこで現在のペースで大谷選手が登板を続けた場合、シーズンを通してどれくらいの三振を奪えるのかを予想してみた。

 まずは登板試合数について考えたい、エンジェルスのスケジュールに合わせ、中5日登板を当てはめていくと、大谷選手はシーズン終了までにあと22試合登板できる計算になる。

 ちなみにオールスター戦での出場状況にかかわらず(出場自体は間違いないと思うが)、シーズン後半戦も大谷選手からローテーションを回すことを前提にしている。

【今シーズンの予想奪三振数は257.7個に】

 続いて投球イニング数を考えると、ここまで前述のレッドソックス戦を除けば1試合当たり6.1イニングを投げているので、22試合に登板した場合139.1イニングを投げる計算になる。

 ちなみに現時点で53.0イニングを投げているので、シーズン通算は192.1イニングとなり、先発投手の金字塔の1つであるシーズン200イニング達成は計算上厳しそうだ。

 最後に肝心の奪三振数だが、現時点での大谷選手の9イニングあたりの奪三振数は12.06(MLB全体で4位)なので、139.1イニングを投げたと想定すると186.7個の三振を奪うことになる。

 ということで、最終的な奪三振数は現時点での71奪三振を加え、257.7個の三振を記録すると想定されるわけだ。

 ちなみにここ最近のア・リーグの奪三振タイトルは、昨シーズンがゲリット・コール投手の257個で、2021年シーズンがロビー・レイ投手の248個だった。大谷選手の256.7個は十分に可能性を秘めた数値だと考えて良いだろう。

 改めて繰り返すが、今回の計算は大谷選手がシーズンを通してエンジェルスに残留し、しかもチーム成績にかかわらず最後までローテーションを守り続けることを前提にしている。言うまでもなく想定外のことが起こる可能性があることを忘れてはいけない。

 それでも個人タイトルを獲得するのが難しい二刀流選手が、投手の個人タイトルを獲得する姿を想像するのは楽しさしかない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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