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キャンプでの快進撃を予言していたペリー・ミナシアンGMが大谷翔平に期待する自己抑制力

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
オンライン会見でメディアに対応するペリー・ミナシアンGM(筆者撮影)

【大谷選手の打率が驚異の6割に到達】

 今シーズン二刀流の完全復活を目指している大谷翔平選手の好調が止まらない。

 現地時間の3月17日のマリナーズ戦に「1番DH」で出場すると、第1席に四球を選ぶと、2回の第2打席でも左前打を放ち、この日与えられた両打席で出塁に成功している。さらにそのいずれも得点に絡み、チームの勝利にも貢献している。

 この結果、大谷選手のオープン戦打率は.600に到達。規定打席に達していないのでMLB公式サイトのランキングに入っていないが、現在1位のジョク・ピーダーソン選手の.500をも上回っている。

 先日ジョー・マドン監督が「瓶に詰めて10年間は保管しておきたい」とジョークを飛ばしていたが、それほど周囲を喜ばせる快進撃を続けている。

【ミナシアンGMの先見の明】

 実はスプリングトレーニング開始前から、大谷選手の活躍を予想する発言をしていた人物がいる。オフにエンジェルスの新GMに就任した、ペリー・ミナシアン氏だ。

 彼は17日にオンライン会見でメディアに対応し、現在の大谷選手の快進撃について「驚いていない」とした上で、以下のように評価している。

 「オフに彼が行ってきた練習に自信を持っていたので、素晴らしいスプリングトレーニングを送ってくれると感じていた。

 彼は精神的に非常に良い状態にあり、自信も感じているようだ。チームメイトとも積極的に交流し、毎日を楽しく過ごしているように思う。ここまで最高のキャンプを過ごしており、このまま持続していって欲しい」

 ミナシアンGMはスプリングトレーニング開始前から大谷選手の二刀流復活を信じていた1人だ。ここまでの大谷選手は、まさに彼が思い描いていた通りのスプリングトレーニングを過ごしているのだ。

【大谷選手起用法でマドン監督と一枚岩】

 またミナシアンGMは、現在の大谷選手の好調は別に特別なことではなく、彼がこれまでやってきたことを改めて人々に披露しているだけだと話す。

 「彼がスプリングトレーニングでやっていることは、彼が過去にやってきたことをしているだけだ。自分は日本で数年間スカウトをしていたが、彼は他とは違う。他の選手ができないことができてしまう選手だ」

 今やミナシアンGMのみならず、大谷選手の圧倒的なプレーを見せられた多くのメディアやファンも、2018年以来の二刀流完全復活に大きな期待を寄せている。その一方で、毎年繰り返された負傷歴から、今シーズンの起用方針にも注目が集まっている。

 オンライン会見でミナシアンGMが示して起用方針は、以下の通りだ。

 「ジョー(マドン監督)と話し合い、とにかく彼のやりたいようにやらせたい。ゲームプランに変更はなく、新たに制限を設けることもしない。日々選手と話し合っていくことだ。

 他の選手も同様だが、日々対話を続けながら選手の状態を確認し、チームとして最善の決断をしていく。我々としては、決断を下す過程に選手もしっかり介入して欲しいと考えている」

 これは、スプリングトレーニング中にマドン監督が繰り返し発言してきた内容そのままだ。つまり大谷選手の起用方針について、現場とフロントの間でしっかり意思疎通ができており、一枚岩になっている証だ。

【気がかりなのは大谷選手の練習熱心さ】

 だがミナシアンGMも、大谷選手がシーズンを通してケガなく二刀流を続けられることを確信しているわけではない。

 「現時点では答えるのは難しい。ただ彼がこれまで同様のメンタリティと練習熱心な姿勢を続けるならば、時には一歩引くことを学ぶことも重要になってくる。これもジョーと話し合っている。

 彼はとにかく一生懸命練習し、チームを助けるためなら何でもしたいという気持ちが強い。それが時としてやりすぎに繋がってしまうこともある。そういう時こそ一歩引くことが大切だし、彼もこの2年間でいろいろ学ぶことができたと思う。

 我々は忘れがちだが、彼はまだ成長過程の若手選手だと言うことだ。シーズンに入ってもこのまま持続していって欲しいと願っている」

 すでに本欄で報告しているように、チームリーダーのマイク・トラウト選手が、今シーズンのチームの行方を左右する存在として、大谷選手の名を挙げている。それはミナシアンGMも同じ思いであり、「チームが成功するための主要因」だと断言する。

 それ故チームにとっても、大谷選手に二刀流としてシーズンを通してフル回転させることが至上命題とも言えるのだ。

 今シーズンのエンジェルスは、マドン監督とミナシアンGMがタッグを組んで、大谷選手が心地良くプレーできる環境を整えてくれそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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