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インディアンズが他チームにフランシスコ・リンドアのトレード放出を伝達! 獲得チームはメッツ?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
フランシスコ・リンドア選手の来シーズンの所属先はどのチームになるのか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【米メディアが次々に報道】

 MLB公式サイトを含めた主要メディアは現地時間の11月5日、インディアンズが他チームに対し、主力選手の1人、フランシスコ・リンドア選手をトレードする意思があることを伝えたと報じた。

 第一報は、『USAトゥデー』紙のボブ・ナイチンゲール記者がTwitter上に投稿したもので、他チームのフロントから確認した情報のようだ。インディアンズは来シーズン開幕までには、同選手のトレードを成立させたい意向だという。

【年俸総額削減を強いられたチーム事情】

 新型コロナウイルスの影響で各チームともに大幅減収を強いられる中、インディアンズも経営陣から年俸総額削減を厳命されている。

 それを物語るように10月30日の段階で、今シーズン16セーブを記録し、ア・リーグのセーブ王に輝いたブラッド・ハンド投手と主軸打者のカルロス・サンタナ選手に対し、それぞれ年俸1000万ドル(約10.5億円)と1750万ドル(約18.4億円)を保証した来シーズンの契約オプション権を破棄しており、すでに年俸総額の削減に乗り出していた。

 リンドア選手は今シーズンのチームの中で、サンタナ選手の2083万3334ドル(約21.9億円)に次ぐ1750万ドルの高額年俸を得ていた。また今オフに3度目の年俸調停の権利を有しているため、来シーズンは更に2100万ドル(約22.1億円)前後まで増額される見通しで、インディアンズとしては来シーズンの年俸総額を圧迫する存在になっていた。

【来オフにFAになるリンドア選手】

 今月27歳になるリンドア選手は、カブスのハビアー・バイエス選手やパドレスのフェルナンド・タティスJr.選手らとともに、MLBを代表する若手遊撃選手の1人に挙げられる人気選手だ。

 その実績、能力ともに折り紙付きではあるが、年俸総額の削減を強いられているのはインディアンズだけではない。彼の高額年俸を支払えるチームはかなり限られてくるだろう。

 しかもリンドア選手は来年オフにFAの資格を得るので、さらに来シーズン以降は高額年俸が必要になるだけでなく、わずか1年でチームを離れるリスクもある。

 実はインディアンズの編成部門の責任者であるクリス・アントネッティ球団社長は、10月30日に地元メディアとのオンライン会見を行い、ハンド投手に関しても、契約オプション権を破棄する前に他チームへのトレードを画策したが、期限内にトレード先を見つけられなかったことを明らかにしている。

 トレードが成立した場合、獲得チームが契約オプション権を行使しなければならないため、それよりもインディアンズから契約オプション権を破棄されFAになれば、より低額の年俸で獲得できる可能性が出てくるので、他チームはトレードに難色を示したと考えられる。

 ただすでに本欄でも報告しているように、今シーズンの被害を受けず、メッツを買収したばかりのスティーブ・コーヘン新オーナーは潤沢な資金を使い、ダルビッシュ有投手ら大物選手の獲得に動いていると報じられている。その有力候補としてリンドア選手の名前も入っており、トレード成立の可能性は少なからずありそうだ。

【ここまで成立したのはマイナー契約のみ】

 一方で、ハンド投手の例からも明らかなように、ほぼすべてのチームが現時点での大物選手獲得に慎重になっているようだ。

 スポーツ専門サイトの『the Score』によれば、11月1日から本格的なオフシーズンが始まって以降、11月5日までの時点で契約合意に達したのは、メッツ、ナショナルズ、マリナーズが複数選手と結んだマイナー契約のみ(チームから正式発表されていない報道ベースも含む)で、まだメジャー契約に合意したチームは現れていない。

 その中の1人で、メッツと契約したマレックス・スミス選手は、昨シーズンに45盗塁でア・リーグ盗塁王に輝いた選手で、マリナーズに在籍していた今シーズンは235万ドル(約2.5億円)の年俸を得ていた。

 他の選手たちも、メジャー経験を有する20代~30代前半の若手ばかり。今オフの厳しい状況を見越して、メジャー契約に固執するよりもマイナー契約でも早めに所属先を決めておきたいという思惑が働いているようだ。

 明らかに例年とは違い、厳しいスタートを切った今年のオフシーズン。果たして高額年俸を支払わなければならない、リンドア選手の移籍先はどこになるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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