特別指定選手は新人選手の対象外にすべき? 矛盾が生じ始めたBリーグの新人資格を考える

特別指定選手ながら新人賞ベストファイブに選出された河村勇輝選手(筆者撮影)

【Bリーグが3日間のオンライン表彰式を開催】

 ちょっと今更感がある話ではあるが、新型コロナウイルスの影響を受けシーズン半ばで中断を決定していたBリーグが、シーズンを締めくくる『B.LEAGUE AWARD SHOW 2019-20(以下、Bリーグアワード)』を5月8日から3日間、オンラインで開催した。

 この模様はバスケットLIVE、スポーツナビ、Bリーグ公式YouTubeで生配信されたので、読者の方の中にもライブでショーを楽しんだ人もおられることだろう。

 自分もメディアの1人として、ショーの後に実施されたオンライン会見にも参加し、各賞を受賞した選手たちから生の声を聞くことができた。

【新設の「新人賞ベストファイブ」に河村勇輝が選出】

 今年のBリーグアワードでは、新人部門として最優秀新人賞に加え、新たに「新人賞ベストファイブ」が創設され、最優秀新人賞を受賞した前田悟選手(富山グラウジーズ)らとともに、河村勇輝選手(当時三遠ネオフェニックス、現在東海大)が選出された。

 河村選手といえば“高校生ナンバーワン選手”として広く知れ渡り、すでに東海大への進学が決まっていたものの、入学前の短期間という条件で特別指定選手として三遠に入団することになり、大いに注目を集めた。

 そしてデビュー3試合目で先発起用されるなど、わずか11試合の出場ながらその実力を遺憾なく発揮し、改めて潜在能力の高さを人々に知らしめた。確かにそのインパクトは、今回の受賞に値するものだったといえるだろう。

 とりあえず新人賞ベストファイブに選出された選手たちを表にまとめてみた。各選手が如何に活躍していたのかが理解できるだろう(参考選手が2人加わっていることに関しては追々説明していく)。

(筆者作成)
(筆者作成)

【現行ルールでは来シーズンも新人扱いに】

 だがここで、大きな矛盾が生じてしまうのだ。

 先ほども紹介したように、今シーズンの河村選手は特別指定選手として短期間のBリーグ参戦だった。そのため現在のBリーグ規程(第5条を参照)により、今シーズンの河村選手は22歳以下で、チームの試合数(41試合)の半分以下の出場に留まったため、もし来シーズンもBリーグに参戦したとしても新人選手として扱われることになるのだ。

 もちろん他のリーグでも新人資格が翌シーズンに持ち越しになる規則は存在しているが、シーズンの新人部門の賞を受賞した選手が、翌シーズンも新人扱いになってしまうのは、ちょっと辻褄が合わなくならないだろうか。

 これも仮定の話になってしまうのだが、現状のまま河村選手が大学在籍中に毎年のように特別指定選手としてBリーグに参戦し、常にチーム試合数の半分以下の出場数に留まれば、彼の実力なら毎年新人賞ベストファイブに選出される可能性があるということだ。

 これでは新人の定義が根本から崩れてしまう。

【特別別指定選手の曖昧さ】

 若手有望選手に成長の場を与えることを目的にした特別指定選手制度だが、それは裏を返せば、特別指定選手は所属チームの活動が優先されるため、シーズン途中での加入が通例だ。そのためBリーグの在籍期間が短くなり、これまでは必然的に最優秀新人賞の候補になり得なかった。

 だが河村選手のような選手が登場し、新人賞ベストファイブなる賞が新設されたことで、一気に特別指定選手の曖昧さが露呈してしまった。

 実はこの特別指定選手の曖昧さにより、まさに不運を味わっている選手がいるのだ。

【今シーズンは新人資格がなかった京都の中村太地】

 たとえば大学4年生ながら、今シーズンからBリーグにフル参戦していた京都ハンナリーズの中村太地選手だ。今シーズンの彼は先発PGとして全試合に出場し、シーズンを通してチームの主軸として活躍し、新人賞ベストファイブの選手たちと遜色ないスタッツを残している。

初のシーズンフル参戦ながら新人資格を失っていた中村太地選手(筆者撮影)
初のシーズンフル参戦ながら新人資格を失っていた中村太地選手(筆者撮影)

 しかし彼は昨シーズンの段階で、特別指定選手として横浜ビー・コルセアーズで43試合に出場していたため、新人資格を失っていたのだ。

 試合数の差はあったものの、新人賞ベストファイブに名を連ねている前田選手、熊谷航選手(シーホース三河)も、昨シーズン特別指定選手としてBリーグの公式戦に出場経験があり、今シーズンからフル参戦するという境遇は中村太選手と何ら変わりはない。

 不公平感を抱いてしまうのは自分だけなのだろうか。

【わずか1試合の差で新人資格を失う大阪の中村浩陸】

 中村太選手の他にも、今シーズン特別指定選手としてBリーグに参戦しながら、来シーズンの新人資格を失ってしまった選手がいる。大阪エヴェッサの中村浩陸選手だ。

わずか1試合の違いで来シーズンの新人資格を失った中村浩陸選手(筆者撮影)
わずか1試合の違いで来シーズンの新人資格を失った中村浩陸選手(筆者撮影)

 彼は昨年12月19日に特別指定選手として大阪に加わり、けが人続出のPG陣の穴を見事に埋めた。大阪が西地区で首位争いを演じる原動力の1人だったといっても過言ではない。彼のスタッツを見てもらえば明らかなように、インパクトという面では河村選手と遜色なかった。

 そんな中村浩選手は今シーズン21試合に出場してしまったため、たった1試合の差でチームの試合数(同じく41試合)の半数を超えてしまい、自動的に新人資格を失ってしまった。

 彼は大阪との契約継続が決まっており、来シーズンはフル参戦することになる。彼が来シーズンも新人資格を有していたなら、間違いなく最優秀新人賞の有力候補になっていたところだろう。

【特別指定選手は新人選手対象外に】

 ここまで説明すれば、自分が主張したいことは明確だろう。Bリーグは新人資格の規程を変更し、特別指定選手を新人選手の対象から外すべきではないだろうか。

 今回2人の中村選手の例を示したが、状況次第では将来的に河村選手にも起こりえることなのだ。

 ファンとしてBリーグにフル参戦した河村選手に最優秀新人賞を受賞して欲しいと願っている人も多いはずだ。彼が中途半端なかたちで新人資格を失うのは、やはり不幸でしかない。

 ぜひBリーグに検討をお願いしたい。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

有料ニュースの定期購読

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシーサンプル記事
月額550円(初月無料)
月3、4回程度
22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。