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自分たちがCSで台風の目になる! 琉球ゴールデンキングス・佐々宜央HCが抱く思惑

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
CSでの大物食いに意欲を見せる琉球ゴールデンキングスの佐々宜央HC(筆者撮影)

【いよいよCSが開幕!千葉&栃木が本命か】

 Bリーグの2018-19シーズンの王者を決めるチャンピオンシップ(CS)が、いよいよ26日に開幕する。これまで過去2シーズンはすべて元NBLチームが王座に輝いているが、今シーズンも最後まで熾烈な東地区首位争いを演じた千葉ジェッツと栃木ブレックスの元NBLチームを中心にCSが展開していきそうだ。

 そんな中CSで台風の目になとうと目論んでいるのが、西地区連覇を飾った琉球ゴールデンキングス(以下、キングス)だろう。同チームの佐々宜央HCはCSである程度戦える手応えを感じながら、元bjリーグチームとしての初栄冠を虎視眈々と狙っている。

【成績は昨年を下回るも苦労しながら地区連覇を達成したキングス】

 今シーズンのキングスは地区連覇を達成したものの、決して盤石なシーズンを送れたわけではなかった。特にチームの大黒柱だったジョシュ・スコット選手が負傷のため戦線離脱してからは敗戦が増え、危機的状況も迎えていた。そこから何とか立て直し、シーズン終盤で京都ハンナリーズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを引き離し、地区Vをもぎ取った。

 改めて通算成績は40勝20敗と昨シーズン(42勝18敗)を下回っており、それだけチームが苦しんだシーズンであったことを物語っている。だが佐々HCは苦しんで戦ってきた分、しっかりチーム内の成長を感じ取っている。

 「(本来なら)もう少しぶっちぎって独走する状況じゃなきゃいけなかったのかなという思いは素直にあります。ただアクシデントがいろいろあった中で、(1月から2月で)5連敗したときはCSにも出られないんじゃないかなと思ったこともありました。

 ちょうどあの時に千葉さんとやって戦い方を(変えて勝てた)。今本当に千葉さんが1位だと思いますし、あの時より今の千葉さんはさらにレベルが上がっていると思います。ただ僕の感覚とバスケットのスタイルと…。まあみんながキングスが優勝するのは難しいだろうなというところでありながらも、素直に千葉さんであれ、栃木さんであれ、(アルバルク)東京さんであれ、ちょっと(キングスと戦うのは)嫌だなと思わせられている部分はあると思うんですよね」

【安定した強さはないもののCSで嫌がれる存在を狙う】

 ただ今シーズンのキングスは好不調の波が大きいのもの確かなところ。佐々HCは「1回戦がどこと対戦するか分かりませんが、そこにも全然負ける可能性があると思います」と断言する一方で、「自分の中で厳しい評価をしていなからも逆にそれを楽し、可能性を信じながら」という姿勢でCSを迎えようとしている。

 とにかく佐々HCが狙うのは“upset(番狂わせ)”だ。

 「下馬評でいけば向こうの方が上だと思うんですけど、もちろん自分たちも上だとは思っていません。でもチャンスはあるなという気持ちはありますし、(相手が)嫌だなと思っているところに対し僕らがプライドを見せてやり続ければチャンスはあるのかなと(思います)。

 やっぱりCSは何が起こるか分からないので、そのためには諦めずにやっていきたいです」

【佐々HCが期待するラッキーボーイの登場】

 今シーズンのキングスは橋本竜馬選手、並里成選手の経験豊富な2人のPGを迎え入れたことで、佐々HCが表現するところの、相手が嫌がるプレーをすることができる選手が揃っている。それはゲームの流れを変えられる選手になれることを意味しており、CSのような短期決戦で重要になってくるラッキーボーイになれる選手が揃っていることになる。

 「CSって(期待された)誰かがダメだった時にラッキーボーイが出てきてしまうような、そういうものを秘めているチームだと思いますし、いきなりこの試合でステップアップしてくれる選手もいるなと思うので…。まあそうならないかもしれないですけど(笑)、そういうものがあるチームだと思っています。

 去年はCSに向かうまでのこの時期(シーズン終盤)に、ずっと(各節を)1勝1敗できて、最後大阪さんに敗れて千葉さんに連敗してCSに入ったんです。僕の中ではセカンドユニットを何とか試行錯誤しながらやってたんですけど、今年はある程度こういう戦い方するなというのができているなというのが正直ああります。

 実は今年の方が大変なんですよ、僕的には。何でなのかなと思ったときに、けが人があったのも勿論なんですけど、タレントが増えただけ、その分メンタリティというか我が強いやつがいるので、外国人選手を含めて本当にアップダウンがある年だなと思って…。ここからどうCSまでチームをピークに持っていけるかがすごくキーだと思っています。ここから僕も楽しみですし、ある意味HCの手腕がカギを握っているところなのかなと思います」

 キングスは27日に名古屋と初戦を戦う。佐々HCの思惑通りにチームがまとまった時こそ、キングスはCSで台風の目になっているはずだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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