大型契約で低予算チームに移籍していった選手たちの寂しい末路
今オフの注目FA選手の1人だったマニー・マチャド選手が正式にパドレス入りした。すでに報じられているように、契約内容はFA史上最高額の10年で3億ドル(約330億円)に上る。
米メディアによると、マチャド選手獲得に熱心だったホワイトソックスもインセンティブを含めると8年で最大3億5000万ドル(約385億円)を提示していたが、保証額は2億5000万ドル(約275億円)だったため、マチャド選手はパドレスを選んだのではと報じられている。
マチャド選手獲得により、パドレスの攻撃力と内野守備力が一気に向上したのは誰も疑わないだろう。まさに理想的な補強だといっていい。また26歳という年齢を考えても、故障さえなければ十分に10年契約を全うできるはずだ。
だが米国内の報道を見る限り、マチャド選手がパドレスで契約を全うできるか懐疑的な声が多く挙がっているのだ。それはパドレスというチームに起因している。
パドレスはMLBの中でも低予算チームとして知られている。過去10年の年俸総額のMLB順位を見ても、2015年だけ8位に入ったことがあるだけで、残り9シーズンは常に20位以下にランクしている。それほど選手に回せる資金が限られているのだ。にもかかわらず向こう10年間、1人の選手に対し平均3000万ドル(約33億円)を保証しているのだ。
大型契約といえば、ヤンキース、レッドソックス、ドジャース、カブスなどの大型予算チームの専売特許のようなイメージがあるが、今回のパドレスのように低予算チームが大型契約で選手補強に乗り出すことがある。だが過去の例を見る限り、そうしたチームによって獲得された選手たちは決して順風満帆な道を歩んでいないのだ。
今回のマチャド選手のパドレス入りに合わせ、MLB公式サイトではFA選手の大型契約トップ10を紹介している。これを見ると、いわゆる大型予算チーム以外に移籍したのは、3位のアレックス・ロドリゲス選手(レンジャーズ、10年2億5200万ドル)、4位タイのロビンソン・カノ選手(マリナーズ、10年2億4000万ドル)、7位のプリンス・フィールダー選手(タイガース、9年2億1400万ドル)、9位のザック・グリンキー投手(ダイヤモンドバックス、6年2億650万ドル)──がいる。
そんな彼らの行方は、ロドリゲス選手(契約4年目でヤンキース)、カノ選手(契約6年目でメッツ)、フィールダー選手(契約3年目でレンジャーズ)はすべて契約半ばで他チームにトレードされているし、グリンキー投手の昨シーズンから常にトレード候補として名前が挙がっており、こちらも今シーズンにも移籍する可能性が高いと目されている状態だ。
こうした傾向はFA選手に限ったことではない。ジャンカルロ・スタントン選手はFA資格を得る前の2014年オフに、マーリンズと13年で総額3億5000万ドルという大型契約を結んでいたが、彼もチームの売却の影響で昨オフにヤンキースにトレードされているのは周知のところだろう。
このように低予算チームは、年俸総額に大きな制約があるためチーム状況に合わせて、高額選手たちを放出せざるを得なくなってしまう。それはパドレスもまったく同じだ。果たしてマチャド選手はパドレスで契約を全うできるのだろうか。