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Wシリーズ制覇の確率は80%? 連勝街道をひた走るブルワーズが7年ぶりに地区シリーズを突破

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
地区シリーズ3連勝でリーグ優勝決定シリーズ進出を決めたブルワーズ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ブルワーズが現地7日、ロッキーズを6-0で下し、地区シリーズ3連勝で7年ぶりにリーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。

 舞台を敵地コロラドに移しても、ブルワーズの勢いが止まることはなかった。初回に併殺崩れの間に先制点を奪い主導権を握ると、その後もロッキーズ投手陣を攻略し12安打の猛攻で理想的に加点することに成功。投手陣も先発ウェイド・マイリー投手を5回途中で交代させる継投策で、計7投手のリレーで4安打完封した。シリーズ初戦こそ延長戦にもつれる接戦となったが、残り2試合は連続完封勝ち。危なげなくシリーズを突破した。

 「最高の気分だ。選手たちにも、我々はワールドシリーズ進出を賭けてプレーする権利を得たと伝えた。本当に特別な思いがある。2016年にデビッド・スターン(GM)が加わった時のチームから、強化に取り組んできてここまで辿り着いたことを考えると、こんなに早く実現できたのか、という感覚だ。

 (この成功は)多くの人たちがかかわってくれたからだ。彼らのことを思うと本当に嬉しい」

 クレイグ・カウンセル監督は試合後、感慨深そうに話した。指揮官の説明通り、2016年までは4年連続で負け越しを喫し、地区最下位を争うような状態だった。そこから昨年は勝率5割を達成し地区2位に躍進すると、今年はカブスとのタイブレークを制し、7年ぶりに地区優勝を果たしポストシーズン進出を決めた。スターンGMを中心としたチーム再建が見事に実を結んだ。

 それにしても現在のブルワーズの勢いは凄まじいものがある。9月1日の時点で首位に5ゲーム差の3位につけていたのだが、そこからは20勝7敗、勝率.741を残す快進撃をみせカブスに追いつくなど、シーズン終盤はシーズンの中で最もチーム状態が上がっていた。その勢いはポストシーズンに入っても止まる様子はなく、遂に公式戦からの連勝記録を11に伸ばしている。

 この連勝記録に関して、ツイッター上でMLBの記録関連の情報を提供している『MLB Stat of the Day』が、以下のような興味深いデータを紹介している。

 公式戦+ポストシーズンの連勝記録でみると、ブルワーズの11連勝は、1932、1998年に達成したヤンキースに並ぶもので、史上4位の記録だという。最長記録は1970年にオリオールズが記録した17連勝で、以下、1971年オリオールズの16連勝、1927年ヤンキースの12連勝──が続いているのだが、この過去に11連勝以上を果たしている5チームのうち、1971年のオリオールズ以外の4チームがワールドシリーズを制覇しているのだ。このデータを借りるならば、今年のブルワーズがワールドシリーズを制覇する確率は80%ということになる。

 もちろんカウンセル監督も現在のチーム状況に全幅の信頼を寄せている。

 「確かに現在の我々はあらゆる面でいいプレーが出来ている。それが自分たちを多少油断させている面もある。だがこの時期に11連勝できるということは、多くのことが正しい方向に向かっていないと無理だ。

 もちろん(連勝中も)ずっといい状態が続いているわけではないし、その度に対処しないといけない。(その中で連勝できているのは)多くの人たちがしっかり自分たちの仕事をしてくれていること意味するものだ。それをしっかり選手たちに説明している。それがこのチームだ。今まさに自分たちの強さというものを人々にみせている」

 これまでのブルワーズは、ア・リーグ時代の1982年に一度だけワールドシリーズに進出しただけで、栄冠に輝いたことは一度もない。果たして今年のブルワーズは念願のワールドシリーズ制覇を果たすことができるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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