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日本代表候補合宿から外れた永吉佑也がBリーグでなすべきこと

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
将来的な日本代表入りを夢見て前を見続ける永吉佑也選手

 バスケットボール選手にとって究極の目標の1つが、日本代表入りし日の丸のついたジャージーを着て国際試合でプレーすることだろう。それは京都ハンナリーズの永吉佑也選手も同じこと。彼は小学校5年生の時に書いた「10年後の自分へ」という手紙に代表入りの思いを認めていたほどだ。これまでも日の丸のジャージーに袖を通している経験があるだけに、フリオ・ラマス新HC体制でも代表入りしたいという思いは強かった。

 先月11日にFIBAワールドカップ2019アジア地区第1次予選に向けた、日本代表候補選手の1人に永吉瀬選手が選ばれ、第8次合宿に参加することになった。続く第9次合宿にも招集されていたのだが、今月6日から始まっていた第10次合宿のメンバーから外されてしまった。

 「率直にちょっと落ちるのが早かったかなと…。もっと(代表で)練習したかったですし、残りたかったという気持ちはあります」

 気合い十分で臨んでいた合宿だけに、簡単に気持ちを切り替えるのは難しいことだろう。だが夢を実現するチャンスはこれで完全に潰えたわけではない。裏を返せば合宿に招集されたということは、ラマスHCが魅力を感じている選手であることに変わりはない。今後の成長次第で再び代表から声がかかる可能性があるはずだ。

 「(合宿から外れる)発表がある前にアシスタントコーチのエルマン(・マンドーレ氏)とお話しする機会が会って、その時に言われたのが自分に対してもっとスピードを求めているということでした。走ることだったり、クイックネスだったりとかそういう部分での指摘だと思うんですが…。その部分で自分をアピールしてほしいと言われました。日頃のトレーニングからしっかりやって欲しいということだと思うので、自分を見つめ直してやっていきたいです」

 合宿に参加したからこそ、ラマスHCが永吉選手に求めているものを持ち帰ることができた。今後はBリーグを戦いながら指摘された部分を意識ながらプレーを改善していけばいいことだ。それほど現在のBリーグ、京都でのプレーは永吉選手を成長させる環境が整っている。

 「嬉しいことに今は試合に出られるというチャンスに恵まれているので、まずは意識の部分を変えることから始めれば結果に繋がると思います。もちろんまずは試合に関しては対戦相手を倒すということが一番なんですけれど、でも普段から代表ではこういうことをして欲しいということを意識していけば、(そうしたプレーが)自ずと出てくると考えています。それが結果的に代表でやってきたことをチームに還元することにもなると思います」

 昨シーズンは川崎ブレイブサンダースに所属し出場時間は平均15分程度に留まっていたが、移籍した京都ではここまで13試合すべてに先発出場し、平均出場時間も25分以上に伸びている。しかもフロントコートの永吉選手は基本的にパッチアップする選手が外国人選手になるケースが多くなるため、必然的に彼が必要とされるスピードとクイックネスが磨かれていくことになる。つまり永吉選手が活躍し京都が勝つ試合が増えていけば、それだけ彼の日本代表入りが一歩ずつ現実味を帯びてくるということになる。

 「チームが勝っていけばラマスへアピールするチャンスも増えていくと思いますし、たぶんハンナリーズが強くなっていくということは必ず自分の成長しているということになると思います。これからも自分を見つめながら成長していけるようになれればと思っています」

 開幕から好調を維持し、西地区で首位争いを続ける京都。これからさらにチームが飛躍するためにも、永吉選手の成長が必要不可欠だ。永吉選手がBリーグの舞台で外国人選手と台頭に渡り合えるようになった日こそ、彼は日本代表にとっても必要不可欠な存在になっていることだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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