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MLBコミッショナーが東京五輪への選手派遣に否定的見解示す

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
マーリンズ・パークに姿を現すロブ・マンフレッド=コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今年で17回目を数える『Town Hall Meeting』が、ファンフェスタ会場で実施された。これはオールスター戦期間中に実施されるコミッショナーとファンとの交流イベントで、ファンから寄せられた質問にコミッショナーが直接答えていくというものだ。

MLB公式サイトでは、今回ロブ・マンフレッド=コミッショナーが質問に答えた主なトピックとその回答について記事にまとめているのだが、日本人として気になる2020年の東京五輪についても言及している。

「我々はWBCとしっかりコミットしている。オリンピックに関しては日程や事業遂行上に問題を抱えており、我々にとって困難を擁する。夏のオリンピックは我々のシーズンの真っ直中に開催される。多くの選手をオリンピックに派遣するためシーズンを中断するというのは考えにくいことだ。

その結果として、我々はオリンピックに代わる最高の国際トーナメントがWBCだと感じているし、多くの選手たちがそれぞれの国を代表して戦うことができる。今年実施されたWBCを観戦してくれた人たちも、同じように感じてもらっているのではないだろうか」

東京五輪に野球が正式に復活することが決まったのは昨年8月のこと。それ以降、マンフレッド=コミッショナーは選手派遣について微妙な発言を繰り返してきたが、今回は選手派遣に関して明確に否定的な見解を示した。もちろん過去の五輪においてもMLB選手を派遣しておらず、五輪に対するMLBの姿勢は今も昔もまったく変わっていないということだ。

今年3月の第4回WBCが観客動員を含め過去にない盛り上がりを見せたことで、MLBの姿勢はますます強固になったとみるべきだ。もうNPBを含めた日本からの説得、要請に応じることはないだろう。

もう東京五輪に関しては侍ジャパンにMLB選手が参加することはない。2020年なら間違いなく大谷翔平選手も海を渡っているだろう。MLB選手抜きでどうやって盛り上げていけるのか些か懐疑的だが、現状を受け入れて1日も早く対策を講じていくしかないだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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