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「1年、長くて2年で帰るつもりだった」(デニス・サファテ単独インタビューその1)

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
6年ぶりにソフトバンクに復帰した川崎選手とも意気投合したデニス・サファテ投手

今回サファテ投手とは初対面。突然見知らぬ人物からインタビューの打診をされても、嫌な顔一つせずまるで友人と話すかのように丁寧に1つ1つの質問に答えてくれた。彼と言葉を交わしながら、サファテ投手がナイスガイであることが即座に伝わってきた。

──通算セーブ記録は今年の目標の1つだった?

「シーズンに入る前から認識はあった。どんな時でも自分にとってセーブ記録は、チームの勝利を意味するからね。これは防御率を下げたいとか三振を奪いたいとかの個人的な目標ではなく、チームの勝利に直結するものだ。つまり自分は180回以上もチームの勝利に貢献したこということなんだ。

単に自分の目標というばかりではなく、チームがどういうプレーをしていかにも反映される。自分がこのチームに来てから成功しているのも、自分がセーブを挙げるのを容易にしてくれる選手が揃っているからだ。

(シーズン開幕前に)残り3つぐらいに迫っていたのは知っていたし、クルーンも日本で活躍していたのも知っている。その記録を抜くことができたのは光栄だし、長い間故障もなく投げ続けて来られたからだと思う」

──ずっと安定した投球を続けるのは簡単ではないが…

「確かに自分が健康を維持してこれたのは神様のお陰だよ。現在の野球はどんな選手もいつ怪我をしてもおかくしないリスクを抱えている。自分もそれなりの故障に悩まされてきたし、来日1年目はヒザ、2年目は太もも、昨年も内転筋を負傷している。でもトレーナーのお陰でケガと戦いながらもグラウンドに立ち続けることができた。

それと自分はこれまでハードなトレーンングと練習を欠かさず続けてきたので、今でも健康的な肉体を維持できているし、食べるものに関しても健康的なものを意識してきた。このような記録を達成するには、健康を維持しなければならないし、いいチームに恵まれないといけない」

──すでに30代中盤でコンディションを維持するのは?

「まだ自分自身、それほど歳をとったとは感じていないよ。確かに自分は36歳だけど、しっかりトレーニングを続けてきたので、まだまだ気力に満ち溢れているような感覚だし、今でも十分以上に体調管理をしているつもりだ。アスリートにとって理想的ではないのは知っているけど時折ビールは飲んでいるけどね(笑)。

でも一生懸命練習し、コンディショニングもしっかりやり、走り込み、ウェートトレも毎日やっている。年齢は感覚的なもので、自分は今でも最高の感覚だ。選手によっては20代で腕や肩の不調に悩まされることもある。でも自分はマウンドに上がるたびに腕は全く問題ないし、健康そのもだと感じている。

確かに(自分のような)パワー投手は球威が必要だし、それをずっと維持することはできないのが普通だ。でもダリル・ホーキンスやノーラン・ライアン(いずれも40代まで現役を続けたメジャー投手)は引退するまで球威を維持し続けた。選手によっては、そうした“ギフト(天の恵み)”を受けている。

自分も球威を維持できている限り、今後も投げるチャンスがあるだろう。ただそれが何年残されているのかは、自分にも全く見当がつかない。ただホークスとは来年まで契約していて、来年以降は自分は外国人選手扱いではなくなる。実はそれも個人的な目標だ。それも長年やってこれたことの証明だし、そうなればもう少し長くプレーできることになりそうだからね」

──オフの過ごし方は?

「とりあえず2週間だけ休みをとる。その後は毎朝5時からトレーニングをしている。というも7時過ぎに練習が終えることができれば、子供達や家族と一緒に1日中過ごすことができるからね。シーズン中は家族との時間が制約されてしまうから、オフの間は無駄にしたくないんだ。それに自分は朝型タイプなので、夜遅くまで起きているのが好きではない。

とにかくオフは健康を維持することに専念している。妻も料理に気を遣ってくれ、健康的な食生活を過ごすこともできている。

それとこのオフは新しい器具を購入したんだ。それは筋肉の回復などに効果をもたらすもので、それを使い出してからさらにコンディショニングが良くなったと思う」

──最初に広島と契約した時、ここまで長くすると思っていたか?

「とんでもない!1年、長くて2年でアメリカに帰るつもりだった。しかも2年目は自分が怪我をして妻も病気になり、シーズン途中で1ヶ月間帰国することになってしまった。戻ってきた時にはクローザーの役目を外されたし、そのシーズンは落ち込んでいたし、多少不満も感じていた。自分もこれで終わりだと感じていた。

ところが西武が声をかけてくれチャンスを与えてくれた。そこでうまく成績を残せた結果、今度はホークスが声をかけてくれたので、このまま日本でプレーを続ける決断をしたんだ。日本に来てからは(投手として)状態が良くなり、以前より若々しく感じれるし、体調もいいし、投球自体も良くなったように思う。すべてが理想的に運んだ感じだね。そうやってあっという間に7年目を迎えてしまったよ。できればこのまま10年プレーできたら最高だね」

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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