ワールドシリーズで盛り上がるメジャー球界に10月29日、あまりに悲しいニュースがもたらされた。

今年9月にボート事故による悲劇的な死を遂げたホセ・フェルナンデス投手の検死結果が明らかになり、体内から多量のアルコールだけでなくコカインが検出されたというものだ。

少し前に体内からアルコールが検出されたというニュースが流された時は、事故究明のために仕方がないことだと納得している反面、故人の粗探しをしているようで何かいい気分はしなかった、だが麻薬が検出されたとなると、ちょっと話は違ってきてしまう。

すでにMLBはステロイドなどの禁止薬物を球界から撲滅しようと真剣に取り組んでいる。さらに麻薬となれば以ての外なのは言うまでもないことだ。そして選手たちはその一貫として地域社会に向け薬物撲滅を目指す啓蒙活動を積極的に行っていた。もちろんフェルナンデス投手のその1人だったはずだ。その当人が麻薬を使用していたとなれば、彼から直接メッセージを受けた子供たちはどう思うだろうか。

ボートでも飲酒運転は禁止されているし、それ自体を肯定するつもりは毛頭ないが、飲酒という行為自体は違法ではない。だが麻薬を使用することは絶対に許されない。飲酒による正常な判断ができなくなっていた可能性が否めないが、それでも人として絶対に超えてはいけない一線を踏み越えてしまった。米国社会では“ロール・モデル(社会的規範)”としての役割を求められるトップアスリートとして、フェルナンデス投手も間違いなく自覚していたはずなので、やはり残念で仕方がない。

正義感を振りかざそうとは思わない。叩けばホコリが山ほど出てくるし、過ちと反省を繰り返してきた人生だった。だがどんな大きな過ちでも反省、償いができるのは、生きていればこそなのだ。もう今のフェルナンデス投手に叱責の言葉さえ届かない。

今回のニュースによってフェルナンデス投手の人格、人間性が否定されるとは思わないし、球界に残る彼を失った焦燥感が薄らぐこともないだろう。ただフェルナンデス投手の死に麻薬の影響が多少なりともあったとするなら、むしろ更なる無念さに苛まれるばかりだ。