3月23日より、「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」が開催されている。2017年6月に平成の天皇の退位を決めた皇室典範特例法案を可決する際、「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。」との附帯決議もなされた。これを受けて、菅義偉内閣が実施し始めた有識者会議である。

 その議論の内容は、内閣官房のページから見ることができる(「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議)。4月8日の第2回からは、専門家によるヒアリングも開始された。その質問項目は10問にも及ぶが、その質問はいわゆる女性宮家・女性天皇・女系天皇などに関するものである。女性天皇・女系天皇についてはまた別の機会に論じたいと思うが、ところで、この女性宮家とは何なのだろうか?

 そもそも、皇室典範では第12条に「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」と書かれており、結婚すると皇族ではなくなる。一方、皇族男子は結婚しても皇族を離れることはなく、結婚などによって宮家を創設する(ただしこれは現行法制上、法的根拠はない。あくまで慣例である)。現在の皇室では男子が少なく女子が多いため、今後、皇族の数が減ることは確実である。

 そのため、まず2005年に小泉純一郎内閣下で女性天皇・女系天皇問題が有識者会議で議論され、皇室典範改正案も用意されたが、悠仁親王の誕生によりそれは見送られた。しかし、だからといって、皇族の数の減少は避けられない。そのため、2017年2月、野田佳彦内閣は「皇室制度に関する有識者ヒアリング」を開催、10月に女性宮家に関する論点整理を発表した(皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理)。

 このなかでは、皇族女子の結婚によって「今後皇室の規模が縮小し、現在のような皇室の御活動の維持が困難になることが懸念されている。」との問題点が強く押し出されているが、女性天皇・女系天皇を容認するとした小泉内閣に比べ、あくまで女性宮家を創設するための論点を整理したものにすぎない。それだけ、反対の意見が多かったからである。

 しかも、ここで女性宮家と言っても、皇族女子が結婚して皇族から離れることも想定され、この論点整理のなかには含まれていた。どういうことか。

 (Ⅰ)女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする案

 (Ⅱ)皇籍離脱後も皇室の活動を支援することを可能とする案

 上記の二つがこの論点整理には女性宮家として論じられている。このうち(Ⅰ)については、以下の二つがあった。

 (Ⅰ―A)配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案

 (Ⅰ―B)配偶者及び子に皇族としての身分を付与しない案

 つまり、たとえば眞子内親王と小室圭さんが結婚したとしても、(Ⅰ―A)ならば小室さんもその子どもも皇族となるが、(Ⅰ―B)ならば小室さんもその子どもも皇族にはならない。

 また、(Ⅱ)の場合、皇族女子は結婚によって皇族の身分を離れるが、「国家公務員として公的な立場を保持し、皇室活動を支援していただく」とされる。つまりは、一般人とはなるが、その元皇族女子に公務は担ってもらうとする案である。公務委嘱案とも言えるだろうか。

 この(Ⅰ―A)(Ⅰ―B)(Ⅱ)の三つが一緒くたになって「女性宮家」として論じられている。実はその内容はかなり異なるのである。野田内閣の後、安倍晋三内閣はこの問題に消極的であったため、議論は行われず、私たちが広くこの問題を知る機会もなくなった。

 その後、先に述べた附帯決議により、この問題が再浮上した。そして昨年2020年11月24日、『読売新聞』は以下のような報道をしている。

 政府は、皇族減少に伴う公務の負担軽減策として、結婚後の皇族女子を特別職の国家公務員と位置づけ、皇室活動を継続してもらう制度を創設する検討に入った。「皇女」という新たな呼称を贈る案が有力視されている。皇族女子が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設は見送る方向だ。

 この「皇女」案は、野田内閣の論点整理の(Ⅱ)にあたる。それに「皇女」という称号を与えるものである。この報道自体、どこから出てきたのかはわからないが、今回の有識者会議が始まる前に出されたというのがポイントかもしれない。政府としては観測気球を上げ、国民の反応を見たのだろうか。

 とはいえ、実際に始まった今回の有識者会議では、専門家はこの女性宮家問題について様々な議論を展開している。たとえば、ジャーナリストの岩井克己氏は「内親王家」という概念を出して、(Ⅰ―B)に近い案をも説明している。(Ⅰ―A)のような案を提起する専門家もいる。まだまだ議論は始まったばかりである。この問題に私たちが関心を持ち、この問題がどうなるのかを見ていく必要があるだろう。

 眞子内親王は女性宮家になれるのか?-それは私たちにかかっている。