Yahoo!ニュース

トゥーロン国際の招集メンバーからコパ・アメリカの選手選考を予想する。

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

A代表を兼ねるU-22日本代表の森保一監督は6月1日から15日までフランスで行われるトゥーロン国際のメンバーを発表した。

相馬勇紀(名古屋グランパス)や田中碧(川崎フロンターレ)、2001年生まれの松岡大起(サガン鳥栖)などが初選出された一方で、U-20W杯のメンバーに入らなかった久保建英(FC東京)、安部裕葵(鹿島アントラーズ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)は引き続きトゥーロンからも外れ、ブラジルで行われるコパ・アメリカに招集される可能性がさらに高まった。

なお森保一監督はA代表として臨む6月5日と9日のキリンチャレンジ杯、6月17日に開幕するコパ・アメリカのチームを率いる予定であるため、トゥーロンは横内昭展コーチが監督代行となる。

U-20W杯とトゥーロンのメンバーはキリンチャレンジカップとコパ・アメリカの選考から対象外となることは決まっている。そのため今回の発表により、上記の3人に限らず”トゥーロン組”に入らなかったU-22代表の常連メンバーから、コパ・アメリカのメンバーがおおよそ想定できる。

トゥーロン国際大会のメンバーは以下の通り。

GK

オビ・パウエルオビンナ(流通経済大)

波多野豪(FC東京)

山口瑠伊(エストレマドゥーラ)

DF

田中駿汰(大阪体育大)

椎橋慧也(ベガルタ仙台)

大南拓磨(ジュビロ磐田)

岡崎慎(FC東京)

古賀太陽(柏レイソル)

MF

相馬勇紀(名古屋グランパス)

長沼洋一(愛媛FC)

神谷優太(愛媛FC)

三笘薫(筑波大/川崎フロンターレ内定)

伊藤達哉(ハンブルガーSV)

舩木翔(セレッソ大阪)

高宇洋(ガンバ大阪)

岩崎悠人(北海道コンサドーレ札幌)

田中碧(川崎フロンターレ)

川井歩(レノファ山口FC)

松岡大起(サガン鳥栖)

FW

小川航基(ジュビロ磐田)

旗手怜央(順天堂大/川崎フロンターレ内定)

小松蓮(ツエーゲン金沢)

そして3月にミャンマーで行われたU-23アジア選手権予選に入っていた中で、今回のトゥーロンに入っていない選手が以下の通りだ。

GK

小島亨介(大分トリニータ)

DF

板倉滉(フローニンゲン)

立田悠悟(清水エスパルス)

町田浩樹(鹿島アントラーズ)

原輝綺(サガン鳥栖)

橋岡大樹(浦和レッズ)

MF

中山雄太(ズヴォレ)

三好康児(横浜F・マリノス)

藤谷壮(ヴィッセル神戸)

遠藤渓太(横浜F・マリノス)

松本泰志(サンフレッチェ広島)

杉岡大暉(湘南ベルマーレ)

久保建英(FC東京)

FW

前田大然(松本山雅)

上田綺世(法政大学/鹿島アントラーズ内定)

ここにU-20W杯のメンバーから外れた安部裕葵(鹿島アントラーズ)とGKの大迫敬介(サンフレッチェ広島)を加えると17人になる。

上記のメンバー以外でコパ・アメリカに招集される可能性がある選手の一人として岩田智輝(大分トリニータ)がいる。好調の大分で主力として奮闘する岩田の選考には橋岡の状態も関わってくるかもしれない。

もともと橋岡はU-20W杯の主力として期待されたが、怪我で選外になった。4月21日に行われたJリーグの神戸戦で左ハムストリングを痛め、復帰まで時間がかかっている状況だ。仮に回復が順調ならコパの有力候補だが、タフな環境の大会に連れて行くリスクもあるため状態次第で見送られるかもしれない。岩田は大分で3バックの右ストッパーを担うが右サイドバックやウィングバックもこなせるため、橋岡のポジションをカバーすることも可能だ。もちろん二人とも招集される可能性もあるが、オーバーエージとの兼ね合いも出てくるので、メンバー構成のバランスを見る必要がある。

なお年齢的にはU-22の冨安健洋(シント=トロイデン)と堂安律(フローニンゲン)はアジアカップに参加していたこともあり、コパ・アメリカは見送ってキリンチャレンジカップのメンバーに選ばれる可能性が高いと筆者は見ている。ただ、本来は国際Aマッチデーに行われるキリンチャレンジの2試合は代表側に選手の拘束権があるものの、一種の”紳士協定”としてコパ・アメリカに参加することを条件にキリンチャレンジの招集を回避できるなら、欧州のシーズンを終えた二人が早いオフを取ってコパ・アメリカに向けて調整する方がベターとクラブ側が踏めば、コパ・アメリカ参加にゴーサインを出す可能性もある。

コパ・アメリカの招集枠である23人のうち上記の候補15〜17人、残る選手が海外組を中心としたオーバーエージになる見込みとして残りのメンバーを想定してみる。例えば3月のA代表で初選出された鎌田大地(シント=トロイデン)はアジアカップに参加していなかったため、コパ・アメリカの招集に関してクラブと交渉しやすい状況にある。またカタールが日本とともに招待国としてコパ・アメリカに参加するため、同国リーグのアル・ドゥハイルに所属する中島翔哉は招集可能だろう。アジアカップに呼ばれなかった昌子源(トゥールーズ)は五分五分か。

攻撃的なポジションでは鎌田の他に浅野拓磨(ハノーファー)やベルギーで継続的に結果を出している豊川雄太(オイペン)、今季限りでのレスターからの退団が発表されたロシアW杯組の岡崎慎司など、何人か候補は考えられるが、アジアカップのメンバーに選ばれながら、怪我で大会前に離脱した浅野が入るのではと見ている。ただ、ここはU-22とのバランスもあるので、流動的ではある。ここでは浅野を入れておく。

GKの残る一人は難しいが、権田修一を想定した。アジアカップに出場しているが、シーズン中に加入したポルティモネンセでは終盤戦でベンチ入りを果たしたものの、試合には出られておらず、招集に大きな支障はないはず。またロンドン五輪を経験していることから若い選手たちが彼から得られるものも多い。

アジアカップ不参加組の中で、もし香川真司がコパ・アメリカのメンバーに入れば久保や安部との組み合わせなど大きな注目を集めることは間違いないが、上記の想定では2列目に中島や三好もいるので、ポジションバランスがあまり良くなくなる。

あとは森保監督がコパ・アメリカでこれまでのA代表と同じ4ー4ー2(4ー2ー3ー1)を用いるのか、五輪代表で採用している3−4ー2ー1を用いるのか、試合によって使い分けるのかといったプランによってもメンバー構成は変わってくるが、呼べる選手の中でのやりくりも求められてきそうだ。

■現段階で想定されるコパ・アメリカの招集メンバー

△はオーバーエージ

GK

小島亨介(大分トリニータ)

大迫敬介(サンフレッチェ広島)

△権田修一(ポルティモネンセ)

DF

立田悠悟(清水エスパルス)

町田浩樹(鹿島アントラーズ)

原輝綺(サガン鳥栖)

岩田智輝(大分トリニータ)

△植田直通(セルクル・ブルッヘ)

△昌子源(トゥールーズ)

MF

中山雄太(ズヴォレ)

板倉滉(フローニンゲン)

三好康児(横浜F・マリノス)

藤谷壮(ヴィッセル神戸)

遠藤渓太(横浜F・マリノス)

松本泰志(サンフレッチェ広島)

杉岡大暉(湘南ベルマーレ)

久保建英(FC東京)

安部裕葵(鹿島アントラーズ)

△中島翔哉(アル・ドゥハイル)

FW

前田大然(松本山雅)

上田綺世(法政大学/鹿島アントラーズ内定)

△鎌田大地(シント=トロイデン)

△浅野拓磨(ハノーファー)

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

河治良幸の最近の記事