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神戸移籍が浮上のポドルスキ。トルコカップで衝撃の5ゴール。

河治良幸スポーツジャーナリスト
トルコカップで衝撃的な5ゴールを決めたポドルスキ(写真:アフロ)

J1ヴィッセル神戸への移籍の可能性が盛んに報じられるガラタサライ所属の元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキが、トルコカップのエルチンカンスポル戦で5ゴールを決め、チームを6−2の勝利に導いた。

ポドルスキ本人が日本行きの希望を公言したことがトルコの地元メディアで語られた直後のゴールラッシュは驚きだが、ドイツ代表で48得点をあげたストライカーの決定力が健在であることを示すには十分なパフォーマンスだった。

その5得点を簡単に解説する。ちなみに勝ち越しとなったガリー・ロドリゲスによるチームの3点目も、ポドルスキのシュートがブロックされたこぼれ球を押し込む形で決まっており、6ゴール全てに絡んだことになる。

【1】4分 左足

スナイデルが敵陣でボールを奪うと右ワイドから中央に動き、タイミング良く縦に走りながらスルーパスを引き出す。ペナルティエリア内に侵入したところで相手DFが迫るが、ノートラップで左足を一閃。慌てて間合いを詰めようとしたGKの左横を鋭く破り、ゴールネットを揺らした。

【2】10分 左足

中盤のボール奪取を起点としたショートカウンターから、味方の素早いパス交換で中央を破ると、3人目の動きでMFジョズエのラストパスを引き出す。3人のDFに囲まれた状態だったが、正確な左足のファーストタッチから素早く左足を振り抜き、インサイドキックでゴール右隅に流し込んだ。

【3】50分 左足

ガリー・ロドリゲスが敵陣で得たFKのチャンス。スナイデルによる早いリスタートから、ポドルスキがブルーマとのワンツーでペナルティエリア内に侵入すると、右足のファーストタッチから左足のアウトサイドで中にズラし、ディフェンス3枚を合間を破る狙い澄ましたシュートをゴール左に決めた。

【4】55分 左足

スナイデルを起点とした左サイドの突破から、リネスのグラウンダークロスを左足でダイレクトシュート。ボールは相手DFの足に当たったが、ゴール右隅に吸い込まれた。予備的なポジショニングからの動き出しに加え、相手ディフェンスより一瞬早く触れた状況でもシュートの決断を迷わなかったことがゴールに結び付いた。

【5】63分 左足

相手DFの緩慢なパスを見逃さずにカットすると、ボールに寄せて来るGKの頭上を左足のチップキックで破る技ありゴール。高度な技術に加え、冷静な判断力を象徴するゴールだった。

特筆するべきは6ゴールの全て左足のシュートだったということ。巧妙な動き出しとポジショニング、そしてゴールに向く姿勢と振り足の速さだ。そのため完全なフリーでなくてもDFに簡単には寄せられず、ブロックの合間を破ることもできる。

身体的な全盛期だったアーセナル時代やドイツ代表では左ウィングとしての活躍が目立ったが、ベテランに差し掛かり、近年は従来の1トップや2トップの一角、ゴールの起点を作るプレーやフィニッシャーとしての役割を担うことが多くなった。

今回の活躍は出来過ぎの部分があるにしても、神戸移籍が迫っているとも報道されるタイミングで、ポドルスキの能力を改めて証明するパフォーマンスとなったことは確かだ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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