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ユベントス完勝もスコアは2−1。香川不出場のドルトムントは第2レグに希望をつなぐ。

河治良幸スポーツジャーナリスト

チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦。第1レグでホームにドルトムントを迎えたユベントスのボール支配率は48%、シュート数は11本でドルトムントを1本下回ったが、内容的にはユベントスの完勝と言っていい試合だった。

ピルロ対策もあったのか、ドルトムントのクロップ監督はシュトゥットガルト戦で好調をアピールした香川真司ではなく大型MFのムヒタリャンを[4−2−3−1]のトップ下に起用。FWのオーバメヤンを右ウィングに配置し、前からプレスをかけていったが、[4−3−1−2]のユベントスはリヒトシュタイナーとエヴラをうまく使いながらプレスをいなし、“もう1人の司令塔”ポグバを高めのポジションに引き上げ、効果的な攻撃を繰り出した。

前半13分にカウンターから先制ゴールをあげたのはユベントス。FWのテベスが引き気味の位置から左にボールを出すと、相棒のモラタが一気に突破してシュート性のクロス。GKヴァイデンフェラーが弾くも、そのまま駆け上がっていたテベスが、シュメルツァーのスライディングが入る前に左足で押し込んだ。しかし、ユベントスは自陣でのボールを処理しようとしたキエッリーニがピッチに足を取られてバランスを崩すという致命的なミスをおかしてしまい、GKブッフォンとの1対1を制したロイスに同点ゴールを決められた。

これでリズムに乗りかけたドルトムントだが、右サイドから効果的な上がりを見せていたピシュチェクがポグバのファウルで負傷し、DFギンターとの交替を余儀なくされた。その数分後にはユベントスのピルロもアクシデントでペレイラに交替。ただ、ここからシンプルな攻撃でチャンスを活かしたのはユベントスの方だった。

粘り強くキープしたテベスの展開から、左サイドに流れて受けたポグバがグラウンダーのクロスを前線に送る。これをモラタが技巧的なシュートで流し込んだ。反撃に出たいドルトムントは後半の早い時間帯にまたしても負傷があり、パパスタソプーロスからキルヒという守備的な交替をせざるをえず、終盤にはインモービレから快足ウィンガーのブワシュチコフスキに代え、オーバメヤンを前線に押し出すも、ホームで今季無敗のユベントス守備陣を崩せなかった。

得点経過もあり、シュート数ではドルトムントが上回ったものの、決定的なチャンスはポグバを起点にカウンターをうまく使っていたユベントスの方が多く、アッレグリ監督としてはもう1、2点加えておきたかったところ。逆に週末にシャルケとのルール・ダービーを控えるドルトムントとしてはこの内容でアウェーゴールを1つ取っての1点差負けなら御の字と言えるかもしれないが、ここに来て主力の負傷者が出たのは痛い。第2レグはここから3週間後の3月18日(水)だが、その時に両チームがどういう状態になっているかが勝負の生命線になることは言うまでもない。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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