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世界最高峰の運転支援アイサイトXを搭載したスバル・レヴォーグが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

 スバル新型レヴォーグが2020−2021日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに選出された。スバルが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、2016−2017のインプレッサ以来4年ぶりとなる。新型レヴォーグは総得票数437点で、320点となる次点のホンダ・フィットに大きく差をつけての受賞となった。

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 今回レヴォーグが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した理由は様々にある。車台に新世代のスバル・グローバル・プラットフォームを採用し、これをさらに進化させたフルインナーフレーム構造としたことやスバル初となる電子制御の可変サスペンションの採用などで、「走る曲がる止まる」が飛躍的に向上した。また1.8Lの水平対向4気筒直噴ターボエンジンも、燃費と環境を考え抜いて新開発したものを採用しており、実際に試乗するとクラスを超えた走りで、輸入車と比べても負けない上質さを手に入れている。また大きな11.6インチのインフォメーションディスプレイをセンターコンソールに与えた他、メーターもフル液晶タイプを採用するなどしたイマドキのデジタルコクピットも採用した。

 だが、その中で大きな要素をしめているのが先進の運転支援技術アイサイトXを採用したことだと、今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでスバル新型レヴォーグに10点を投じた筆者は考えている。

 レヴォーグが採用したアイサイトXは、スバルがかつて運転支援の先駆けとして自動ブレーキや前走車追従のアダプティブクルーズコントロールなどの機能を広く一般にもたらし、他社を追従させた経緯世に送り出したアイサイトを最先端の技術で新世代化したもの。

 アイサイトXは車両の360度センシングを実現しており、交差点での右折時の対向車両や、交差点で目の前に飛び出した自動車や自転車に対して衝突回避をする高度な制御を手に入れたのはもちろんのこと、大きいのは3D高精度地図データーを採用した高度運転支援システムとしたことだ。これによって前走車に追従して走行するアダプティブクルーズコントロールがよりきめ細やかな制御に進化したのはもちろん、カーブ前での速度制御や料金所前での速度制御、渋滞時の発進アシスト、ドライバーが異常時にハザードとクラクションを鳴らして自動停車するドライバー異常時対応システムをも搭載。さらに大きいのはウインカー操作をすることで後側方からの接近車両を確認しつつ、自動で車線変更を行なうレーンチェンジアシストや、50km/h以下の渋滞時ではハンズオフアシスト(手放し運転)までをも実現した。

 このアイサイトXを実際に公道で試したが、実力の高さは圧倒的で現時点で見て世界最高峰にあるといえる。極めて知的な支援を行なう様子は、試乗動画を参考にしていただきたい。

 しかも高く評価すべきは、スバルはこのアイサイトXを35万円の価格で全モデルにオプション設定したこと。この35万円というのは運転支援としては高めにも感じるが、実際にはこの35万円の中にはナビゲーションシステムも含まれており、仮にナビゲーションシステムだけを選んでも20〜30万円の間になる。そう考えるとアイサイトXは、実質的にはひと桁万円で装備できるシステムと考えることができ、結果世界的にみても最高峰の部類に入る運転支援を優れたコストパフォーマンスでユーザーに提供した、といえるわけだ。

 スバル新型レヴォーグの開発責任者である五島賢氏は「お客様の心の導火線に火をつける」という想いをかかげ、チーム一丸となって今回のレヴォーグの開発にあたったという。確かに今回のレヴォーグは「走る曲がる止まる」を世界レベルへと引きあげ、さらに運転支援も世界最高峰レベルを実現した。加えてトップモデルで400万円を少し超える程度の価格は、最近高く感じつつある新型車の中で見ても驚異的であり、同内容の欧州車で見れば600~700万円クラスの内容を実現している。そう考えると新型レヴォーグは五島氏の言葉通り、ユーザーが欲しいと思える=心の導火線に火がつくプロダクトに仕上がったといえるだろう。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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