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フェイスリフトしたベンツGLCファミリーを試す

河口まなぶ自動車ジャーナリスト
写真は全て筆者撮影

 日本市場でも同クラスの輸入SUVの中でベストセラーとなる人気モデルのメルセデス・ベンツGLC。このモデルは今年3月のジュネーブショーでフェイスリフトを受けたが、今回フランクフルトで開催された国際試乗会で試す機会を得たので報告する。

 GLCはバリエーションが豊富なのが特徴。当初はSUVボディのみだったが、途中クーペボディを追加した。またパワーソースもガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドと様々に用意され、当然頂点にはAMGモデルが用意され、一大ファミリーを築くモデルでもある。

筆者撮影
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 今回のフェイスリフトのキモは、まずデザイン的なリファイン。LEDのデイタイムランニングライトのデザインが変更された他、グリルも台形タイプとなって顔つきが他の新世代モデルに近い雰囲気となった。またテールレンズもLEDのデザインが変更され、上級のGLEや新モデルのGLBなどともイメージが統一された。

 一方インテリアは造形的に大きな変更はなく、ベースとなるCクラスのフェイスリフト同様でメーターナセルはそのまま、中身がカラーの液晶パネルに変更された。またダッシュボード上のモニターも従来より横長に変更される点もCクラスと同様。しかしながらGLCはCクラスでは採用されなかったMBUXを搭載したのだ特徴。これで対話によるナビ設定や室温設定が可能となった。

 試乗のスタート地点はフランクフルト空港の駐車場。ここでGLC300d 4MATICに乗って試乗をスタート。このモデルは従来2.2Lの4気筒ディーゼルに変わり、既にEクラスやCクラス、Aクラスで採用する新たな2.0Lの4気筒ディーゼルであるOM654型を搭載するモデルだ。

筆者撮影
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 最高出力258ps、最大トルク500Nmを発生し、9速ATを介して4輪を駆動する仕組み。実際の走りに関しては動画を参照いただけると幸いだが、乗った瞬間から大きな進化が感じられた。筆者はフェイスリフト前のGLCのオーナーだけに、走り始めてすぐに静粛性が高まり、乗り心地も優れたものに進化していることが分かった。

 その後は試乗のベースとなる場所で、オフロードも試した。GLCは決してオフロードがメインのクルマではないが、今回は本国にラインナップされるオフロードエンジニアリング・パッケージ装着車を試すことができた。

筆者撮影
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 そうしてオフロードを走った後は、GLC300 4MATICを試乗。このモデルは2.0Lの直列4気筒ターボ・エンジンにベルト式のスタータージェネレーターであるBSGを組み合わせた、M264と呼ばれる型式のもの。いわゆる48Vのマイルドハイブリッドだ。

 さらにその後は最強モデルのGLC63S 4MATIC+にも試乗した。このモデルは4.0LのV8ツインターボのスペックに変更はなく、最高出力510ps/最大トルク700Nm。ただ乗ってみると、エンジンサウンドがこれまでよりも低めのものとなった他、サスペンションも統合制御されるなど、細かな変更点は結構あった。

筆者撮影
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 また今回はこの他に、燃料電池を搭載したモデルも用意されたが、時間の都合で試乗がかなわなかった。とはいえ今回様々なGLCファミリーを試して、改めてその進化が大きいと感じた。フェイスリフトで手を入れた内容としてはそれほど多くはないだろうが、確実にブラッシュアップされ、ライバルに対しても相変わらず高い商品性を実現していた。

 気になる日本への導入は今年中とアナウンスされる。また今回試乗したGLC300d 4MATICは日本へは導入されず、同じエンジンで出力を抑えさらに燃費に優れるGLC220d 4MATICが導入されるはず。また今回のフェイスリフトモデルから日本仕様もエアサスが選べることになるという。またGLC300 4MATICに関しては日本仕様ではBSGの採用は見送られるそうだ。とはいえ商品性はさらに強化されたので、日本導入がなされれば再び人気モデルとして好調なセールスが期待できそうだ。 

 

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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