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【動画あり】”高齢者向け”から脱却したトヨタ新型カローラ。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト
筆者撮影

新たに「カローラスポーツ」という名で登場

 以前にお伝えしたカローラハッチバック(仮称)プロトタイプ試乗会の記事があったが、結局このモデルは「カローラスポーツ」という名称が与えられてデビューを果たした。この名前の変更は、これまでのカローラのユーザーの平均年齢はセダンのアクシオでなんと70歳、ワゴンのフィールダーで60歳と極めて高く、これを下げる理由のひとつでもある。名前を変えて、デザインも若々しくし、走りもスポーティに振って、さらに目玉としてコネクティッドを掲げての登場。CMも若者を使ってドライブするものとした。必死の若返りだ。

筆者撮影
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 その意味では先日の記事にも記したように、LINEとの提携によってLINEクローバを使うのが今回掲げた”コネクティッド”の目玉になるのではないか? と思われたが、実際にはLINEは使うものの、クルマとLINEで対話するような仕組みが実装されるに止まった。LINEクローバと音声で曖昧な会話をして、何かクルマの機能を使う、というような仕組みは残念ながらなかった。とはいえコネクティッドを強く謳っているわけで、オペレーター機能等を含め、これまでよりは遥かにつながるクルマになったことは間違いない。その意味ではこの点は若返りの目玉である。とはいえ、最近のガジェットの進化からすれば、クルマにおいてももっと様々なことができれば良いのに、というのは多くのユーザーが思う正直なところだろう。

 それはさておき新型カローラスポーツ、ナンバープレートがついて公道での試乗が可能となったので早速レポートしたい。先日の富士スピードウェイのショートコースでの試乗では、なかなかの好印象だったわけだが、果たしてリアルワールドである公道での印象はどうだったか?

筆者撮影
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 今回試乗したのは、1.2Lの直噴ターボエンジンを搭載し、CVTを組み合わせたGグレード。そして1.8Lの直噴エンジンにモーターを組み合わせたお馴染みのTHS-IIハイブリッドの2台である。実際に走った印象は動画を参照していただきたい。

ベーシックモデルが特に好印象

 動画でも述べている通り、前回の富士スピードウェイショートコース同様に、まず好印象だったのはノーマルのサスペンションを装着したモデル。このノーマルサスペンションはKYBがカローラスポーツのために新設計したショックアブソーバーがキモで、専用のオイル等を開発するなどしたものである。

 前回の試乗ではこのショックアブソーバーがハイブリッドに組み合わせられており好印象だったが、今回は1.2Lターボに組み合わせられており、果たして何か違いがあるかと興味深かったが、やはりパワートレーンを問わず好印象をもたらすのだと評価できた。とにかく発進時のスムーズな感覚が印象的で、その後の乗り心地も極めて優れている。組み合わせられる16インチタイヤとのマッチングも良好だった。そして何より驚きなのは、これがベーシックなモデルだという点。そうしたモデルの乗り心地が良く滑らかに走るのだからひときわ好印象に思えるわけだ。

筆者撮影
筆者撮影

 前回の試乗では、ノーマルサスペンションに比べるとやや「?」な部分もあった電子制御の減衰力調整式ショックアブソーバーであるAVS付きサスペンション。これは今回、公道で乗ってみると前回よりも好印象なものになっていた。ノーマルにはないしっとりした感覚があって、こちらも良くできている印象だった。しかしながら動画でも分かるように振動等は多めに入る。これは装着タイヤが18インチと大きめな点も要因となっているだろう。とはいえどちらのパワートレーンとも、ハンドルの手応えが良く、いわゆるステアリング・フィールにも優れていて、この点も高く評価できるものになっていた。

カローラは生まれ変わり、若返った

 さらに印象的だったのは静粛性の高さ。このクラスのコンパクトハッチでは、路面とタイヤが生むロードノイズ等がある程度室内に侵入する傾向があるが、カローラスポーツではそれを感じさせない静粛性の高さが実現されていた。特に低音のゴロゴロした音がカットされ、1クラス上を感じる静かな室内環境が構築されていた。

筆者撮影
筆者撮影

 今回のカローラスポーツは、トヨタの新世代アーキテクチャTNGAのコンパクト系第3弾とあって、第1弾のプリウス、第2弾のCH-Rと比べてもさらに良い仕上がりを見せるまでに進化していた。その意味でTNGAの中で最も完成度の高さを感じさせるプロダクトである。それにしても今回驚かされたのは、カローラスポーツという大衆ハッチバックが、これほどまでに優れた走りを手に入れたこと。この辺りに、いままでのイメージを変えようとする強い意志があると思えた。もちろんまだ、走って楽しく気持ち良い、というような領域に到達したわけではない。が、相棒として使うクルマとして、実に嫌味のないスッキリとした走りが構築されたこともまた間違いないし、デザインも含めてこれまでとは違う層にアピールする何かは確実に生まれたといえる。

 実際に筆者も商品に触れてみて何より、カローラは確実に若返ったと感じた。これなら確かにもっと若い層にも振り向いてもらえそうだ。しかしながらそれでも20代や30代前半は振り向いてはくれないだろう。なぜなら彼らがクルマに抱くイメージを壊すほどのインパクトをもった商品というわけではないからだ。おそらく彼らを振り向かせるには、中年以上の我々が抱いているクルマとは全く異なるイメージを持った強烈なインパクトを伴うものが必要となるはずだ。あるいはそんなものはない、とも考えられる。

 しかしながら、カローラスポーツとして生まれ変わって若返ったことで、より多くの人にアピールするクルマには十分以上になったわけで、その意味では”高齢者向け”からは脱却できたといえるだろう。もっともそれを決めるのは、今後の販売推移なわけでこちらも引き続きウォッチしたいところである。

 みなさんも機会があったら是非、一度試してみていただきたい。いままでのカローラのイメージからは確実に変化がある。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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