またもや市場を掘り起こす!? BMWのコンパクト・クーペSUV「X2」に試乗。

筆者撮影

フルラインナップ体制になりつつある、BMWのXシリーズ群

 BMWはかつて、5シリーズ相当のクロスオーバーSUVであるX5というモデルを送り出したことで乗用車だけでなくSUVの世界に足を踏み入れた背景を持つ。X5はアメリカでのヒットを皮切りに世界中で人気を得て、アッという間にBMWの基幹モデルと言ってよい存在となった。そこでBMWは即座にX3と呼ばれる、人気モデルである3シリーズをベースにしたモデルを送り出し、これも人気モデルとなった。さらにその後は1シリーズ相当のX1と呼ばれるモデルを送り出し、SUVにおいてもラインナップを多数揃えてきた。

 そしてさらに、X5の派生モデルとしてX6という、4ドアクーペ・ボディのモデルを送り出すと、様々なモデルが登場したSUVの世界でニーズが多様化していた背景を受けてこれもヒット。すると今度はX3の派生モデルとしてX4という、やはり4ドアクーペ・ボディのモデルを送り出し…という感じで、SUVに関してもフルラインナップ化を図るようになった。そして今後は、さらに大型のSUVであるX7も準備されているという。

 そんなBMWは今回、X1をベースにした4ドアクーペ・ボディを与えたモデルであるX2を新たに送り出した。このモデルの国際試乗会がポルトガルのリスボンで開催され、そこで試乗してきたのでレポートしたい。

キドニー・グリルの形状もこれまでにない下に広がるデザインを採用した(筆者撮影)
キドニー・グリルの形状もこれまでにない下に広がるデザインを採用した(筆者撮影)

 X1をベースに4ドアクーペ・ボディを与えて、よりスポーティなキャラクターとするX2だが、実車を目にするとこれまでのX6やX4のような、4ドア・クーペボディとは異なるスタイルが与えられていることに気づく。むしろ4ドア・クーペというよりもスタイリッシュなハッチバックスタイルと表現した方が相応しいデザインだ。

X6やX4とは違ったフォルムを採用したX2

 なぜX2は、兄貴分ともいえるX4やX6のような4ドア・クーペボディを採用しなかったのか? 理由はサイズにある。BMWで最もコンパクトなSUVであるX1をベースとするため、X4やX6のようなクーペフォルムを採用すると後席のヘッドクリアランスが苦しくなるためである。X6やX4はそれなりにボディサイズにゆとりがあるのでクーペフォルムを採用できたが、それでもX6やX4もヘッドクリアランスは決して余裕だったわけではない。それだけにX2では、クーペフォルムではないスタイリッシュなハッチバックスタイルが採用されたと、担当デザイナーが自ら説明したのだった。

こうしてみるとスポーティなハッチバックに見える。しかしながらボディ下半分はSUV的な厚みがある(筆者撮影)
こうしてみるとスポーティなハッチバックに見える。しかしながらボディ下半分はSUV的な厚みがある(筆者撮影)

 しかしながらX2は、サイドから見ると実にユニークで印象的なフォルムとなる。サイドからのパッと見では、いわゆるハッチバックに見えなくもない。だが良くみると、サイドウインドから下のいわゆるウエストラインはかなり高い位置にあり、つまり下半分は典型的なSUVの、上下方向に厚みのあるボディだと気づく。だが、一方でキャビンは低く抑えられているのが分かる。いわゆるチョップドトップ的なフォルムをしている。実際、X2の3サイズは全長4360mm×全幅1824mm×全高1526mm(欧州仕様値)となり、ベースとなるX1と比べると全長で79mm短く、全幅で3mm幅広く、全高で72mm低い。それだけにX1からすると大分引き締まってスポーティに感じるのだが、参考までにハッチバックのBMW1シリーズと比べてみると、X2は全長で20mm長く、全幅で約60mm幅広く、全高で86mm高くなる。つまりX2は、数値的に1シリーズとX1の中間に位置する。そして実際の見た目でも例えばサイドからのルーフラインで見れば、X2はちょうど1シリーズとX1の間に位置する。それだけに、X2はちょっと車高の高い、それでいてスポーティなフォルムのハッチバックに見えるわけだ。

今回の試乗車は2.0のディーゼルだったが、日本へはガソリン・エンジンが投入される(筆者撮影)
今回の試乗車は2.0のディーゼルだったが、日本へはガソリン・エンジンが投入される(筆者撮影)

日本へは2種類のガソリン・エンジンが用意される

 エンジン・ラインナップは本国では様々に用意されるが、日本に導入されるのは2.0Lの直列4気筒ガソリンターボで、出力違いの18iと20iの2種類が用意される。また駆動方式もSdriveと呼ばれるFFモデルと、Xdriveと呼ばれる4WDの2種類が用意される。またグレードはノーマル、Mスポーツ、MスポーツXの3種類。Mスポーツでは専用のバンパーや大径ホイールが与えられるが、MスポーツXではさらに、フロントバンパーの開口部やホイールアーチ、そしてサイドシル、リアバンパー下などにマットグレーに塗られたパーツが与えられ、一層スポーティなSUV的な装いとなる。実際、今回のX2のキャラクターを象徴するのはMスポーツX。チョップドトップでスポーティなルーフラインで、一見するとハッチバックを思わせつつも、下半身でSUVらしさを主張しており、これまでのSUVにはない独特の雰囲気が感じられる。

 今回の試乗車は2.0Lの直列4気筒ディーゼルを搭載したXdrive20dのMスポーツXのみで、日本導入予定のガソリンエンジンは試乗できなかった。では、実際の走りはどんな感じだったか? 

 詳細は動画でも語っているが、これは正直ドライバーズシートに収まっている限り「SUVであることを感じさせない、ハッチバック的なもの」と記すのがもっとも適切な表現だろう。ただし、姿勢は1シリーズよりはアップライトに座る感覚であり、X1よりは足を投げ出す感覚。やはり乗車感覚も、1シリーズとX1の中間に位置するわけだ。

試乗車のタイヤ&ホイールは19インチだったが乗り心地も比較的良好だった(筆者撮影)
試乗車のタイヤ&ホイールは19インチだったが乗り心地も比較的良好だった(筆者撮影)

 そしてとても抽象的な言い方なのだが、なんだか不思議としっくりとする乗車感覚だともいえる。というのもハッチバックほどドライビング・オリエンテッドではなく、SUVほどアップライトになりすぎないので、楽ながらも適度に構えつつ運転するため、かまえることなく走りを楽しめるからだ。

これまでの価値観では規定できない新たな存在感と魅力をもつ1台

 

 まとめてみると、X2はその立ち位置やデザインがハッチバックとSUVの中間にあるだけでなく、走りにおいてもスポーティさとオフロードもこなす二面性を持っているため、何かこれまでの枠に収まらない存在のようにも感じた。その意味では僕のような中年よりももっと若々しい方々に響く、これまでの価値観では規定できない新たな存在感および魅力を持っている1台でもある。となると、X2は見方を変えれば、SUVからさらに一歩進んで、これからの時代を担う新たなカテゴリーになるかもしれない? とも思えたのだった。

これまでの価値観では規定できない存在は、新たなカテゴリーを作るか?(筆者撮影)
これまでの価値観では規定できない存在は、新たなカテゴリーを作るか?(筆者撮影)