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【帰省ラッシュ真っ最中!】 渋滞時の運転で注意しておきたいこと。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

 8月11日の山の日から始まったお盆では早速帰省ラッシュが始まっており、東名高速道路では下り線で59kmに及ぶ激しい渋滞が発生している。今後、他の道路でも下り線の激しい渋滞が予測されるとともに、13日には早速上り線の混雑も予測されているほどである。そこで今回は渋滞における走行時の注意点をまとめておきたい。

 まず帰省等で下り線を利用する予定がある場合は、大前提として多くの人が走るだろう時間帯を避ける計画とするのが賢明だ。休みの日の高速道路下り線は、通常の土日でも季節や天気が良ければ朝6時台から渋滞が始まる。それがお盆ならば、さらに交通量は増すわけで当然6時台に高速道路に入る…という計画では渋滞のピークに突入してしまうのは間違いない。ならば4時に出発、5時に出発、というような早めの計画が望ましいといえる。

 またさらに、都心等に戻る際の上り線を利用する場合も、昼過ぎからは確実に混雑が始まるため、高速道路を午前中に走行し終えるような計画が望ましいといえる。上り渋滞も通常の土日の場合、東名高速や中央高速では14時過ぎから渋滞が始まることがほとんど。その意味でも、交通量が増すお盆の時期はやはり早朝に帰路につくのが望ましいだろう。

 そして実際に走行する際の注意点だが、まず基本的に交通量が増すに従って道路全体の走行速度は低下していくし、交通量が増せば様々なドライバーが運転することになり、平日のような快適な流れは期待できなくなる。特に休日にしか運転しないような、いわゆる「サンデードライバー」が増えることにもなるため、素早い判断や的確な判断に基づいた走行ができない人も多くなる。そうしたことを踏まえると、普段よりも一層急のつく操作は厳禁ということになるだろう。

 また上手に運転できる人ばかりではなく、時に周りをイライラとさせるような運転の人も顕著になってくるのがこうした時期の道路交通における特徴。そのことを頭にあらかじめ入れて運転をすることを心がけておきたい。そして頭に入れた上で、いつも以上に思いやりの気持ちを持って運転するのが大切だ。特に普段よく運転する方は、こうした日は運転が下手な人にイライラしないことを念頭において、モタつくような運転をしている人にイライラするのではなく、思いやりの気持ちで接した方が結果的に気が楽になるということを忘れないようにしておきたい。わかっているのにイライラすることほど、余計なコストを支払うもったいなさはないのだから。

 またドライブにおける基本的な事項として、長距離の場合は2時間を目安に休憩を取るようにしたい…というのが鉄則だが、筆者としては1時間過ぎたら休憩するのがベストと考えている。やはり運転は気を使うものであり、人間の集中力はそう長くは続かない。そう考えると、1時間が過ぎた頃にブレイクを入れることで常に一定以上の集中力を保ってドライビングが可能になる。

 そして運転中は窓を閉め切っていると複数乗車の場合は車内の二酸化炭素も多く排出されるため、眠気の原因になることもある。それを防止するためには、やはり窓を開けて空気を入れ替えたり、エアコンを内気循環から外気導入に切り替える等も必要だ。そしてやはり小まめに休憩することで、眠気を感じながら運転する時間を軽減したいものだ。

 そうしたことを踏まえると、運転中の眠気防止に効果的なのは、やはりクルマから一旦降りること。これによってリセットされるので、そう考えても1時間以上経過したドライブの場合は休憩を入れた方が良い。さらに渋滞時に行うとトイレに間に合わない可能性があるのでオススメできないが、通常の運転時はなるべく水分を摂ることでトイレに行きたくなるため、強制的にサービスエリア等に立ち寄る機会を作ることができる。

 そして最近の自動車に多く搭載され始めている運転支援システムを、今回の帰省で初めて使う方も少ないないだろう。特に高速道路での渋滞時に、クルマが自動でアクセルやブレーキを操作してくれるアダプティブクルーズコントロールは、渋滞時の運転における事故リスクやドライバーの疲労を大幅に軽減してくれるので、積極的に使用することをお勧めしたい。

 ただし、その際に注意すべきは、自身のクルマに搭載される運転支援システムの作動範囲だ。最新のモデルならば、前走車に追従して走行するアダプティブクルーズコントロールは全車速域対応、つまり0〜115km/h(上限はクルマによって異なる)の間で作動してくれるものが多くなりつつある。つまりこれならば、高速道路での通常の走行時にも前走車を追従する上に、渋滞時のノロノロ走行でも前走車を追従してくれて、前走車が停止しても3秒以内に前走車が動き出せば、さらに追従を続けてくれるものもある。あるいはそれが付いていなくても、スイッチ操作やアクセル操作で追従走行に復帰できるものもある。

 しかしちょっと古い(2〜3年前くらい)のアダプティブクルーズコントロールだと、全車速域対応ではなく、例えば30~115km/h(上限はクルマによって異なる)という作動範囲のものが多かったりする。こうしたアダプティブクルーズコントロールの場合は、自車の速度が30km/hを下回ると追従機能がキャンセルされて通常走行に戻るので注意してほしい。そのまま放置すると最悪追突することになる。

 また最近クルマを購入した方で、自動ブレーキ搭載、というクルマを買った方は、これが渋滞時に自動でブレーキを踏んでくれる機能だと勘違いしないでいただきたい。最近よく聞く自動ブレーキというのは、自車が前車に追突しそうになったと判断された時に、クルマ側で急ブレーキをかける仕組みであって、あくまでもエマージェンシーなもの。名称も、被害軽減ブレーキや衝突軽減ブレーキとメーカーによってまちまちだが、つまりは軽減という言葉からもわかるように、100%ぶつからないわけではない緊急ブレーキであるという認識をしてほしい。

スバル・レヴォーグに搭載されたアイサイト・ツーリングアシスト

 また道路のチョイスも以前よりは増えている点も覚えておきたい。特に関東近郊でいえば、最近は首都高では山手トンネルができたことで、中央環状線にアクセスせずとも、例えば3号線上りから5号線下りへ、とか、4号線上りから湾岸線へ、といった使い方ができるようになった。また圏央道も非常に使い勝手がよく、例えば御殿場近辺から調布辺りに帰る際に、御殿場から厚木で圏央道に乗り換えて中央道へ、というような走り方もできるようになった。さらに関越の練馬から乗って東名の厚木へ、というような周り方もできる。さらに北関東道など、主要な高速道路間をつなぐルートが多数生まれたことで、これまでとは違う経路を選びやすくなった点も注目しておきたい。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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