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加速は日産GT-Rと同等! テスラ・モデルS P100Dの凄さ

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

テスラ・モデルSの最もハイパフォーマンスな仕様であるP100Dが日本上陸を果たした。

このモデルは従来までのP85DやP90Dよりも、さらにバッテリー出力の最大化が図られているのが特徴で、これによって動力性能はさらに向上している。具体的には0-100km/h加速タイムが2.7秒と、日本が世界に誇るスーパースポーツ、日産GT-Rとほぼ同等となる。そして2.7秒というのは数千万円するスーパースポーツと比べても同等以上で、これより速いクルマは数えるほどしかない。そのくらいのレベルにある。

テスラはそもそも、最もベーシックなモデルがリアにモーターを備えた後輪駆動で、その上にデュアルと呼ばれるフロントにもモーターを与えたモデルがある。そして車名の頭にPがつくモデルでは、リアのモーターがさらに高出力なものとされている。そしてその上で、バッテリーの出力によって80、85、90…といった具合に名前が変わる仕組みだ。そして現在、最もハイパフォーマンスなモデルがP100Dとなるわけだ。

今回は軽井沢の鬼押しハイウェイをテスラが貸し切って、そのパフォーマンスを試す機会が得られた。交通を遮断して、P100Dのパフォーマンスを体感する、という企画である。

実際に試してみると、その速さはまさに圧巻のもの。筆者は様々なスーパースポーツを試しているが、それらのどれと比べても、経験したことのない感覚の加速を持っていた。

なぜならばハイパフォーマンスなスーパースポーツは、エンジンの排気量の大きさで大馬力、大トルクを発生させることで加速するが、基本的にエンジンの回転上昇とともにパワーやトルクが増すため、走り出して直ぐは回転が上がっていないので加速はその後急速に増加していく。

これに対して電気自動車はモーターのため、低い回転から最大トルクが生まれるので、アクセルを踏み込んだ瞬間から爆発的な加速が始まるのだ。しかもエンジン音や振動がないので、静かで滑らか。なのに力強く速いという、不思議な加速感に包まれる。

添付した動画では、実際に加速する様子の他、かつて筆者が撮影した日産GT-Rの0-100km/h加速の様子(2012年モデル)との比較が収められている。

動画からも分かるがやはりテスラの加速は圧巻だ。

もっともこの性能は、普段の生活には必要ないもの。しかし、この圧倒的な性能があるからこそ、日常使用において、わずかにアクセルを踏むだけで楽に走れる余裕が生まれているし、合流などでも速やかに加速できるゆとりを持っている。

電気自動車は、脱石油という未来のモビリティを考えた時の答えのひとつであり、そこにはクリーンなイメージが先行する。しかし、それと同時にこれまでに実現できなかったような”走り”というものを実現するポテンシャルがあることもまた、ひとつ覚えておいても良さそうなポイントでもある。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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