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目指すは、頂点。【トヨタ、ル・マンへの挑戦2015 Vol.1】

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

今年も伝統のル・マン24時間レースの季節がやってきた。このレースは今週末、フランスの中部にあるル・マン市のサルト・サーキットにおいて開催される。

全長13kmを超えるサルト・サーキットはそのほとんどが一般道で、「ユノディエール」と呼ばれる全長6kmに及ぶストレートを始め、名物カーブが数多く配される伝説的なコースだ。

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トヨタはこのル・マン24時間レースに1980年代から参戦しており、1999年に片山右京/鈴木利男/土屋圭市組が獲得した2位を始め、歴代の総合最高順位は2位となっている。その後はF1への参戦に集中するため活動を休止していたが、2012年に13年ぶりにル・マンへ復帰した。

2012年にル・マンに復帰した際、トヨタは自社のお家芸ともいえるハイブリッド技術をレーシングマシンへ持ち込んだ。TS030HYBRIDと呼ばれるそのマシンは久しぶりのル・マンにも関わらず予選で3位になり、決勝でもトップ争いを展開したものの、リタイアに終わった。

また2013年には決勝で2位入賞を果たした。そうして翌2014年にはマシンがTS040HYBRIDへと進化。予選において7号車のドライバー・中島一貴が日本人として初めてとなるポールポジション獲得を果たした。しかし決勝ではリタイアとなったが、もう1台の8号車が3位に入賞した。

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また同時にこの年トヨタは、このル・マン24時間レースを含んで全8戦で争われるFIA世界耐久選手権(WEC)における他のレースで数多くの勝利を収め、ついに2014年シーズンのタイトルを獲得したのだった。

そして復帰から4年目となる2015年。トヨタはTS040HYBRIDをさらに進化させてシーズンに臨んだ。

今年のFIA世界耐久選手権でトヨタは、第1戦イギリス・シルバーストーンでは3位。そして第2戦ベルギー・スパフランコンシャンでは5位という成績。しかも第2戦のフリー走行において、中島一貴がクラッシュによって脊椎を損傷し病院へ搬送されるという事態が発生。ル・マン24時間レースへの参加が危ぶまれたが早期復帰を果たし、今年もTS040HYBRIDのコックピットに収まることとなった。

そうして迎えたル・マン24時間レースウィークとなる今週10日の水曜日に行われた予選第一回目で、中島一貴が駆る1号車は8番手の位置につけた。レースでは今年からWECに参戦を果たしたポルシェ勢が3位までを占める他、6連覇を目指しているアウディがその後4−6位につけている。そしてトヨタ2号車が7位となった。またトヨタと同じLMP1クラスに復帰を果たした日産は3台が12位、21位、31位につけている。

ここまで記してきたル・マンでの結果からもわかるように、トヨタが狙っているのは表彰台の頂点に他ならない。日本の自動車メーカーとしては1991年にマツダが表彰台の頂点に立ったことが唯一の勝利となっている。

今回は、ル・マン24時間レースにおいてトヨタ・チームを取材する機会を得ることができたので、何回かに渡って「トヨタ、ル・マン24時間への挑戦2015」と題してここにレポートを公開していこうと思う。

筆者自身、ル・マン24時間レースには何度か訪れているが、日本のチームをウォッチし続けることができるのは初めての経験となる。また普段はレース・レポート等は行わないが、今回は自動車ジャーナリストとしてトヨタのル・マンへの取り組みを考察しつつ報告したいと思う。合わせて、なるべく自動車レースの世界の常識ではなく、素人目線からのレポートをしていこうとも考えているので、普段自動車レースを見たことがない方も今週末は是非、私のレポートを気にかけていただければと思う。

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'''トヨタのWEC 2015年 第3戦 ル・マン24時間レース 特設ページはこちら↓

'''http://ms.toyota.co.jp/jp/wec/special/2015-24h-lemans.html

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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