外出自粛、子どもの排泄と睡眠 寝ないと太るし便秘になる?

(写真:アフロ)

今回は、子どもたちの身体ことについて考えたいと思います。

外出自粛が続いています。自宅にこもっていると運動不足や栄養の偏り、夜更かしでゲームになりがちです。どう考えても、生活リズムが乱れます。学校が再開したときには、ちゃんと学校に行けるんだろうか、なんて思ってしまいます。

元気な身体をキープするには、睡眠、食事、運動、排泄のすべてが大事です。

この中でも、睡眠と排泄について目を向けてみようと思います。というのも、睡眠と排泄に関する共通点があるからです。それは、どちらもリラックスが必要で、自律神経でいうところの副交感神経が有意な状態です。

そこで、子どもの睡眠の大切さを伝える活動をしている、神山潤氏(小児神経科医/東京ベイ・浦安市川医療センター CEO)に話を聞きました。その内容を以下に紹介します。

眠りと排泄の関係とは?

加藤 睡眠と排泄は、どちらも緊張していてはできないことだと思います。ぐっすり眠ることといいうんちをすることにつながると思うのですが、身体の仕組みとして、どのように関連しているのでしょうか?

神山 はい。加藤さんのご説明の通り、眠りも排泄もともに自律神経の働きに従っています。自律神経の働きということは自分の意志ではなかなか調整できない、思い通りにはなかなかいかないということになります。寝ようとすればするほど眠れなくなってしまったりした経験は多くの皆さんにもあることでしょう。また排泄についても、排泄したくなったのでトイレに行く、という方がほとんどではないでしょうか?もちろん中にはトイレに座ると排泄したくなる、という方もいないわけではないでしょうが、これも排泄しようと思って、便を出せるわけではありませんよね。こうしたい、という自分の意志に従ってもらえないのが、自律神経の働きで、その代表が「眠りと排泄」だと言えるのではないでしょうか。

寝不足だとうんちが出にくくなる?

加藤 寝不足だと、必死に起きていようとするため緊張している状態だと考えられます。そうすると、うんちも出にくくなると思うのですが、いかがでしょうか?

神山 おっしゃる通りですね。排泄の際には副交感神経が主に働いてもらう必要があります。仕事や勉強で、気が張り詰めているとき、すなわち交感神経が活発に働いているときには排泄はしにくくなっています。ですから寝不足なのに必死に起きていようとしている時は、排泄に適した状態とは言えないでしょう。実際、神山が小学生から高校生2722人にさせていただいたアンケート調査でも、休みの前の日の寝る時刻が遅いと、排泄習慣が良くない、という結果が出ています。

眠れないことに悩むと、もっと眠れない

加藤 外出自粛は子どもたちにとって、とてもストレスです。早く寝なさいと言っても、体が疲れていないので眠れないことも多いと思います。夜、眠れないときはどうしたらいいでしょうか?

神山 そうですよね。外出自粛の中では眠れないことも多いでしょう。眠れないときにお布団の中で眠れない、眠れないと悩んでしまうと却って眠れませんし、お布団の中が眠れないことを悩む辛い場所になってしまいます。そんな時は思い切ってお布団から出て、課題図書を読んだり、暖かい牛乳を飲みながらご家族と話をしたり、音楽を聴いたりしてみてはどうでしょうか?  多少寝不足になっても、翌日も休みです。あまり気にしすぎないで過ごしてみてください。ただ翌朝もなるべくいつもと同じ時刻には起きるようにしましょう。そして昼間眠かったら、ちょっぴり昼寝をするのはありですよ。

加藤 ゲームはとても楽しいので夜更かしする子どもも多いと思います。夜遅くまでゲームをやっていることや寝不足のリスクを大人が理解しなければならないと思います。とくに小学生ぐらいの子どもへの悪影響を教えてください。

神山 わかりました。先ほど紹介した調査(小学生から高校生2722人にさせていただいたアンケート調査)のなかから、小学生のスクリーン時間(テレビ、ゲーム、スマホ、タブレットやパソコンと向き合っている時間)の長さと関連した項目をご紹介します。スクリーン時間の長い小学生は、休みの前の晩の寝る時刻の遅さ、昼間の眠気の強さ、そして太っていることと関連していることが分かりました。ゲームなどで夜ふかしをしてしまうと、翌日は眠くなって、太ってしまうことが心配されます。スクリーン時間が長いことは視力へもいい影響がないことが分かっていますし、脳への悪影響も最近は指摘されています。

寝ないと太るのは本当?

加藤 寝ないと太る、ということを聞いたことがありますが、本当でしょうか?

神山 はい。寝ないと太ります。これは今調査されている限りでは、世界中、どの年齢層でも当てはまるようです。寝ないと様々なホルモンのバランスが崩れて食欲が増えてしまうようですし、寝不足では前頭前野という人間らしさを担っている部分の働きが悪くなって、冷静な時には考えられないようなバカ食いなどをしてしまうようです。

加藤 ものすごく寝相が悪い子っていますよね。さらに、突然、むくっと起きて、またバタンと眠ることもあると思います。寝相が悪いのは、ぐっすり眠れてないのでしょうか?

神山  寝相が悪いからと言って、眠れていないということはありません。大人よりも子どものほうが、寝ている間に身体が動く回数はとても多いのです。寝相の悪さの大部分は心配しないで大丈夫です。ただいびきがひどくて、息が苦しそうで、身体の位置をしょっちゅう変えているような寝相の悪さは、睡眠時無呼吸の心配があります。小児科や耳鼻科の先生に相談してください。「突然、むくっと起きて、またバタンと眠る」はいわゆる寝ぼけです。寝ぼけについてはまだわかっていない点も多いのですが、寝ぼけだからぐっすり寝ていないということはありません。多くの場合自然に良くなるのでほうっておいて構いません。中には歩き出す場合もありますが、そんな時には無理に話しかけたりしないで、家や部屋から出ていかないよう注意しつつ見守ってください。

眠りにはおまじないは大切

加藤 こういう時期は、怖い夢を見てしまうこともあると思います。怖い夢を見ない方法ってありますか?たとえば、枕の下にお気に入りの本を入れるとよいなんてことも聞いたことがありますがどうなのでしょうか?

神山  眠りについてはおまじない(いいと信じていることを行うこと)は大切です。ヒトの気持ちや安心は、理屈だけで説明できるわけではありません。信じる者は救われるに違いありません。

加藤 すっきりうんちをするには、ぐっすり眠ることが大事だと思います。全国の保護者と子どもたちに向けて、神山先生が考える「ぐっすり眠るポイント」を教えてください。

神山  朝起きて、朝食をきちんととって、朝うんち。昼間は身体や脳を働かせて、できたらひなたぼっこもしてください。あんまり遅い夕飯は避けたほうがいいかもしれません。寝る前には毎日決まってやるルーチンを編み出しておくことも大切です。万が一眠れないときは思い切ってお布団から出ることは先ほどご説明した通りです。

加藤 ありがとうございました。今回、教えて頂いたことをまとめると、以下のようになります。

まとめ

1.眠りも排泄もともに自律神経の働きに従っている

2.寝不足なのに必死に起きていようとしている時は、排泄に適した状態とは言えない

3.眠れないときは、課題図書を読んだり、暖かい牛乳を飲みながらご家族と話をしたり、音楽を聴いたりするのもよい

4.「寝ないと太る」は、どの年齢層でも当てはまる

5.寝る前には毎日決まってやるルーチンを編み出しておくことも大切