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エルニーニョが日本に波及 年末にかけて寒暖差大きい

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
太平洋赤道域の海面水温偏差図(11/5~12/2)、米海洋大気庁(NOAA)より

 10日(日)は暖かい空気に覆われた影響で、西・東日本などで気温が上がりました。福岡は22.8度、広島は20.1度、東京は19.7度など、12月とは思えない陽気です。年末にかけても、寒暖差の大きい天気が続く見通しです。

 そして、気象庁によると、エルニーニョ現象は最大級の規模まで発達していて、今後は来年春まで続く可能性が高いとみられます。

エルニーニョが日本に波及か

 この春、4年ぶりにエルニーニョ現象が発生しましたが、これまで日本の天候への影響ははっきりしていませんでした。

 しかし、11月の気温をみると、北日本は平年と比べて気温が高く、沖縄・奄美では気温が低くなりました。これはエルニーニョ現象が発生しているときの気温の特徴(11月を中心とした)を表しているようです。

平均気温を平年値と比べた図(11/10~12/9:30日間平均)、気象庁ホームページより、筆者加工
平均気温を平年値と比べた図(11/10~12/9:30日間平均)、気象庁ホームページより、筆者加工

この先、急激な気温変化

 いつもならば寒さが本格化する時期なので、コートが要らない暖かさが続くと、この先の寒さが気になります。

 年末までの気温予想図を見てみると、この先一週間程度は気温の高い日が続く予想です。しかし、16日(土)頃から気温が下がる予想がはっきり出ています。

【気象庁1か月予報(12/9~1/8)】上空1,500メートル付近の気温のアンサンブル予想図、気象庁資料を筆者が加工した
【気象庁1か月予報(12/9~1/8)】上空1,500メートル付近の気温のアンサンブル予想図、気象庁資料を筆者が加工した

 北日本から沖縄・奄美まで、多少の違いはあるものの、気温の傾向は同じです。平年と比べてかなり気温が高くなっているため、20日頃を底に、寒さはより一層、強く感じられるでしょう。大雪にも注意が必要です。

 さらに年末は予想のばらつきが大きいものの、平均的な予想(太実線)は気温が平年より高くなることを示しています。アメリカの気象専門家はエルニーニョ現象が強いほど、平均的な予想が当たる可能性が高いと指摘していることから、注視したいと思います。

【参考資料】

米海洋大気庁(NOAA):ENSO BLOG、How does El Niño influence winter precipitation over the United States?、30 November 2023

米海洋大気庁(NOAA/CPC):ENSO: Recent Evolution、Current Status and Predictions 、4 December 2023

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.374)、2023年11月10日

気象庁:1か月予報(12/9~1/8)、2023年12月7日

気象庁ホームページ:エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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