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20日午後3時、台風2号が発生 発達しながら、日本に接近のおそれ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風2号の進路予想図(2023年5月20日午後3時現在)ウェザーマップ作画

 20日(土)午後3時、西太平洋のカロリン諸島で台風2号が発生しました。台風の発生は4月20日の台風1号以来、一か月ぶりです。

 台風は今後も発達を続けながら北上し、今月末にかけて、日本に近づくおそれがあります。5月に発生する台風は珍しくありませんが、日本に近づく台風は少ない。5月に台風が接近したら、2015年以来8年ぶりです。

世界で最も暖かい海

 西太平洋のカロリン諸島は東京から南に3,000キロ以上離れた赤道に近い海域です。ちょうど東京-那覇の2倍の距離に相当します。

 台風が平均的な北上速度(時速15キロ)で進んだ場合、日本に到達するのは一週間から10日くらいです。

気象衛星ひまわり雲画像(2023年5月20日正午):ウェザーマップ作画、筆者加工
気象衛星ひまわり雲画像(2023年5月20日正午):ウェザーマップ作画、筆者加工

 この海域にはもうひとつの特徴があります。ここは世界で最も海面水温が高い海域なのです。実際に今の海面水温をみてみると、30度前後あり、平年と比べても1度程度高くなっています。台風の発生、発達の目安は海面水温27度以上とされているので、台風2号は大型化する可能性があります。

【北西太平洋 日別海面水温】2023年5月19日:気象庁ホームページより、筆者加工
【北西太平洋 日別海面水温】2023年5月19日:気象庁ホームページより、筆者加工

 5月に台風のイメージがなくても普通ですが、ときには大きな影響が出ることがあります。それが8年前の台風6号と台風7号です。

 台風6号は今の台風2号と同じカロリン諸島で発生し、一時は中心気圧が920hPaまで低下、猛烈な勢力まで発達しました。5月といえども、台風はトップシーズン並みに発達します。

【2015年5月】日本に接近した台風6号と台風7号:気象人より、筆者加工
【2015年5月】日本に接近した台風6号と台風7号:気象人より、筆者加工

 沖縄を通過した台風6号は九州の南で低気圧に変わったものの、東海と関東地方を直撃し、東京23区には一時、暴風警報が発表され、静岡県ではかなりの大雨になりました。

 もうひとつの台風7号も非常に強い勢力となり、小笠原諸島を通過しました。父島では5月としては観測史上最大の最大瞬間風速41.8メートルを観測し、激しい風雨にさらされました。

 5月に影響する台風はこの沖縄コースと小笠原コースの2つに大別できると思います。

 今後、台風2号がどのような進路をとるのか、現在のところは予想の幅が大きいですが、日本に近づく可能性があり、動きに注意が必要です。

【参考資料】

気象庁ホームページ:過去の台風資料

気象庁ホームページ:海洋の情報

気象人:気象ダイアリー

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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