Jリーグとパフォームの10年約2100億円の放映権契約、それによって変化することは?

映像権利がJリーグ保有になったのは大きなポイント

Jリーグは20日、スポーツのライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」を提供するPerform Investment Japan 株式会社(以下パフォーム)と10年、約2100億円の放映権契約を結んだことを発表した。

これでJリーグの収益が大きく増額されるのは当然のこととして、今回のパートナーシップ契約でこれまでから変化するいくつかの項目を列挙してみよう。

・J1、J2、J3全試合生中継

・中継制作費が放送会社からJリーグ負担に変更

・動画権利が放送会社からJリーグ保有に変更

・J1土曜開催、J2日曜開催といった縛りがなくなる

・キックオフ時間が分散開催から原則クラブ設定に変更

このなかで、特に重要なのは中継制作費をJリーグ側が負担し、動画権利もJリーグが保有することだろう。これまでは、放映権を主に保有しているスカパーJSAT株式会社(以下スカパー)が制作費を負担し、動画の権利も保有していた。そのためにJリーグは自分たちの意思で動画コンテンツを他媒体に提供することが難しかったが、今回の契約ではそれが可能になる。

この変更の大きな点は、特にテレビ地上波に対してJリーグのコンテンツを安価で簡単に提供しやすくなることだ。言うまでもなく、日本では依然として地上波のもたらす影響は非常に大きい。たとえば、テレビであるグッズやグルメを紹介すると、それがたちまち人気を呼ぶというように。

Jリーグの村井満チェアマンも会見で、コンテンツの顧客拡大や認知に向けて無料地上波の影響が非常に大きいことをパフォームに説明し、理解を得たと話した。地上波への露出→ファン層の拡大→ダ・ゾーン契約者も増加、という流れを想定している。Jリーグが動画権利を放送会社に渡してしまったことは契約上の大失敗だったと指摘されてきただけに、この件は細心の注意を払って進めていったはずだ。

ICT化事業は大宮アルディージャから実施

それから、視聴者が気になるのは月々の支払いがいくらかかるのかという点だ。パフォームのジェームズ・ラシュトンCEOは「プライシングは広報から言うなと言われていますが、ディナーということはありません。ブランチくらいでしょうか」と冗談を交えながら価格感を伝えた。

ダ・ゾーンはサッカーだけでなく、野球、テニス、バスケットボール、ラグビー、モータースポーツ、総合格闘技など様々なスポーツが見放題という定額制サービスで、ラシュトンCEOは「権利を分割する必要はない。国内スポーツを1つの価格で楽しめる」と説明していたので、サッカーを見るためにこれまで支払っていた額よりも安く、いろんなスポーツを楽しめることになりそうだ。

また、今回の契約締結に当たり、Jリーグとパフォーム、そして日本電信電話株式会社(以下NTT)が「スマートスタジアム事業」で協業契約を結んでいる。

スマートスタジアム事業というのは、簡単に言うと「スタジアムにWIFI環境を整えて、いろんなサービスを提供しましょう」ということだ。スマホで試合や選手のデータを見たり、リプレーで確認したり、仲間とコミュニケーションを取ったりしながら観戦を楽しむといったことがすぐに思いつく。大人数の集まるスタジアムだと、携帯電話のデータ通信で同じことをしようとすると、すぐにパケ詰まりが起きてまともに通信できなくなるので、この方策はありがたいはずだ。

ただ、日本の場合、スタジアムの所有者がクラブではなくて、行政であることが多いという特殊事情があるため、全国各地で普及のスピードに違いが出ることが予想される。その点については村井チェアマンも「均等に分散しようとは思っていない」と話したが、初期投資を大きくして迅速に進めていきたいとした。

また、会見に出席したNTTの鵜浦博夫・代表取締役社長は、同社と密接な関係がある大宮アルディージャのNACK5スタジアムで先行的に様々なトライをしていく考えを明かした。早ければ7月から順次開始されていくという。提供されるサービスは高密度のWIFIのほか、バーチャルリアリティ(VR)機器の設置という具体案も示された。

「プロサッカー選手のPKを子どもたちがリアルに体感できるとか、サッカーだけではなく、テニスのサービスだったり、野球だったり。サッカーがある日以外にもスタジアムのイベントに人が集まるような手助けをしたいと思っています」

ところで、サービス事業者がNTTということで、携帯キャリアがドコモでないと利用できないのかといった懸念が出てくると思われるが、鵜浦社長はキャリアフリー(どの携帯会社と契約していても利用可能)のサービスになると明言していた。