「『ウソをつけ、盛れ』と言われました」

就活取材18年。

就職氷河期であっても、売り手市場であっても、変わらないのが「就活生のウソ」です。

採用担当者に取材すると、ほぼ例外なく「正直な就活生がいい」「素直が一番」などの反応があります。

さすがに過剰な自己PRなどを抑制しよう、とキャリア関係者が考えたのか、極端なウソや「盛る」は徐々に少なくなっていきました。

あるいは、売り手市場だからこそ、過剰な自己PRを出さなくても内々定まで行きつく、という事情もあるのでしょう。

と、考えていたら、去年あたりから「ウソ」「盛る」がまた盛り返してきました。

先日、添削したエントリーシートから。

例)私はアルバイトリーダーとして、販売促進策に取り組みました。その一環で人気アニメのキャラクターグッズを配布するようにしたのです。その結果、売り上げが前年比150%増えました。この経験から私は販売促進策の重要性に気づきました。

この飲食店でのアニメグッズの配布、確か、本社が主導していたはず。一アルバイトが決められる話ではありません。

で、詳しく聞いたところ、案の定、ウソでした。

なぜ、わざわざ、ウソをつくのか、聞くと、学生は悪びれず、こう答えたのです。

「いや、就職カウンセラーの先生に相談に行ったところ、『ウソをつけ』と言われたので」

「ウソをつけ」の源流は3パターン

就活生や大学などに取材していくと、ウソの源流は3本ありました。どれが一番、というよりも、それぞれ複雑に絡み合っています。

1:大学就職課・キャリアセンターのカウンセラー

カウンセラーの全員ではなく一部がこれに該当します。大学だと地方大学でやや多め。首都圏・関西圏でも一部、該当する方が生息。

それと、数は多くありませんが、就職塾や就活ノウハウの有料オンラインサロン主催者なども該当。

これらの就活カウンセラーに共通するのは、就活観・ノウハウの古さです。

最新の情報に触れず、古い就職観・ノウハウが最新だと信じ込んでいます。

いや、確かに就職で変わらない部分はあります。が、時代とともに変わる部分もあるわけで。

それをさも最新情報であるかのように伝えられる学生こそ、いい迷惑です。

「ウソをつき続けていれば、それが真実であるかのように話せるから」

 と、アドバイスしたカウンセラーもいました(関西圏・某中堅私大)。

あの、それ、詐欺師っていう職業ならいいですけど…。

ちなみにこうしたカウンセラーの共通点として、なぜか、いまだに「たとえ質問」をありがたがる傾向があります。

「あなたは動物にたとえると何になりますか?」

「あなたを色にたとえると何色ですか?」

たとえ質問はフェルミ推定と同様、1990年代から2000年代にかけてはよくありました。

が、論理的思考能力を見られるフェルミ推定も対策できてしまう、ということで衰退(外資系などではまだやっている企業もあります)。

まして、たとえ質問は「だから何なの?」で終わるわけで、今では利用する企業はほぼ壊滅状態です。

そういう質問をありがたがるカウンセラーがいまだに「ウソをつけ」と言うわけです。

2:転職業界からの転換組

2012年ごろから売り手市場に転じ、同様に転職市場も成長していきました。

その結果、転職業界のコンサルタントやエージェント会社が新卒採用支援に乗り出すケースが増えています。

その全て、とは言いませんが、この転職業界からの転換組が「就活はウソをつけ/盛れ」と学生にアドバイスをしています。

見込み採用でどうにかなる新卒採用と違い、社会人転職はスキルが重視されます。そのスキルを売り込むために、ショーアップ、いわゆる「盛る」が必要な場面もあります。

転職業界からの転換組は、この転職業界での成功経験を新卒採用にも持ち込んでいるのです。

ただ、社会人転職と新卒採用は方向性が違うため、この「盛る」というアドバイスが成功するか、と言えば微妙なところ。

3:ネットの情報

内定者のエントリーシートや就活経験者の個人談、匿名掲示板の書き込みなど、ネットで就活情報を調べるといくらでも出てきます。

この記事含め、ネットメディアの記事も同様でしょう。

ネットに出ている記事や情報は、それがいつ頃の話か、曖昧です。

中には、極端に古い就職情報を最新のものであるかのように出していることも。

ネットメディア記事だと記事公開日こそ明らかにしていますが、こちらも、いつのものか、曖昧なものが目立ちます。

じゃあ、お前の記事はどうなんだ、と言われそうですが。私の場合は、ボランティアベースで就活カフェ(キャリぷら東京など)に出入りして就活相談に乗る、エントリーシートを添削する、あるいは、合同説明会や企業説明会などすぐに記事にしなくても見学・取材で回る、などしています。

常に最新の就職情報をアップデートしている、という自負があります。

が、まあ、そんな事情は就活生にはわからないわけで。

結果、古い情報のものを最新である、と誤認してしまうわけです。

ウソは結局はバレる

就職ジャーナル(ネット版)2018年5月21日記事「就活で『嘘・盛った話』はアリ?採用担当者300人の本音アンケート」によると、

選考中(エントリーシート、面接)の学生の「盛った話」に気づいたことはありますか?

→はい73.7% いいえ26.3%

選考中の学生の「盛った話」は選考にどう影響しますか?

→どちらかと言えば選考にネガティブに働く35.0% どちらかと言えば選考にネガティブに働かない8.7% ケースバイケース56.3%

やはりウソはバレていて、しかもネガティブに影響する、とあります。

エントリーシートでウソをついても面接で判明します。

面接で判明しなくても最終面接で判明します。

最終面接で判明しなくても、そのウソの自分を入社後もずっと演じていくことになります。

ウソをつき続けることのできる学生、そんなに多いとは思えません。

ウソをつき続けることのできる自信があって、それが可能なら、無理に就職することはありません。詐欺師になれば、一財産、築けるのでは?

企業がウソつき学生を敬遠する理由

という冗談はさておき。

企業からすれば、エントリーシートや面接を通して、学生にどんな見込みがあるのか、判断していきます。

その際にウソをつくと、企業からすれば、悪印象しかありません。

「エントリーシート・面接でウソをつく、ということは入社後もウソをつくに違いない」

「もし、大きな仕事を任せてミスをしてもウソをつきそう。そうなると、損害は大きい」

「まして業務上の横領などで社外に判明すると、社の名誉が大きく傷つく」

などと判断し、「だったら落とそう」となるのです。

就活生がウソをつくことでコスパがいいとは到底、言えません。コスパの良し悪しで考えれば正直に、経過などを話していく方がいいでしょう。