オープンキャンパスなのに入れない?~親が知らない大学OC事情

筆者が見学に行った青森公立大学オープンキャンパス(筆者撮影)

オープンキャンパスは受験生・親の間でイベント化

高校生にとって、進学絡みのイベントと言えばオープンキャンパスです。

オープンキャンパスという名称が使われたのは1988年の立命館大学が最初です。

なお、進学相談会は立教大学が1978年に「進学相談会on Campus」という名称で実施。

1980年代には実施校が増えていき、オープンキャンパスという名称は1990年代に定着します。受験生獲得競争が激しくなった1990年代後半から2000年代にかけて、高校生は必ず参加するイベントと化して現在に至っています。

特に2000年から始まった「総合的な学習の時間」はオープンキャンパスのイベント化に拍車をかけました。高校の大半が進学意識を高めるために、オープンキャンパスの複数参加とレポート提出を生徒に義務付けたからです。

現在では受験生のみならず、親単独でも参加することが珍しくないイベントとなっています。

一方、オープンキャンパスという固定概念は高校生・親によって様々。そして、時代の変化とともにオープンキャンパスも変わっています。

今回は現在のオープンキャンパスについて、8点、ウソ・ホントをまとめました。

オープンキャンパスなのに入れない

ホント/特に国立

「オープンキャンパスと言うから行ったら要予約で入れなかった」

「キャンパスが開かれていると思ったのに、あれじゃ『クローズキャンパス』」

そう憤る人が保護者を中心に増えています。

確かにオープンキャンパスは予約なしでも当日、思い立っていけばあっさり入れる、そう考える方は多いでしょう。

 私立大や公立大はその大半が予約なしでも入れます。

 一方、国立大だと、事前予約制の大学が増えてきました。

 たとえば、旧帝大だと以下の通り。

東京大学/8月7・8日開催/7月10日から開催当日までに事前登録。そのうえで、事前申し込みが必要な企画については7月17日から申し込む必要あり/保護者・引率の高校教員は当日参加可能な企画のみ、参加・見学が可能

京都大学/8月7・8日開催/6月20日(一部学部・学科は6月27日)事前申し込み開始(先着順)

名古屋大学/8月7・8・9日開催/学部企画は7月1~12日事前申し込み・全体企画は予約不要

北海道大学/8月3~6日開催/高校生限定プログラムは6月14日から申し込み(先着順/理学部・獣医学部は6月19日までの事前登録者を対象に抽選)、自由参加プログラムも事前登録が必要

東北大学/7月30・31日開催/事前予約は不要、模擬授業・公開実験などは参加者数により制限かけることもあり

大阪大学/8月6~10日開催/7月4日から事前申し込み、先着順・定員到達で打ち切り

九州大学/8月3~5日開催/7月上旬から事前申し込み、先着順・定員到達で打ち切り

旧帝大だと、高校生はもちろんのこと、保護者・引率教員は当日、参加できるプログラムはほぼありません。

もちろん、キャンパス内を歩く、学食に行くのは自由ですが、それは別にオープンキャンパス開催日にこだわらなくても、いつでもできる話。

こうした予約制を取る背景には、参加者の急増があります。

冒頭で「総合的な学習の時間」の影響について触れましたが、国立大はどこも参加者が急増。そのため、事前登録・予約制にしておかないと、人数調整ができないのです。

これは事前登録・予約制を取らない国立大、公立大や人気私立大でも同じ。

そのため、人気化が予想される難関大や有名校の一部プログラムについては、早いうちに情報を確認する必要があります。

学生食堂の昼食は90分待ち

半分ホント/特にそば系。ご飯系は早いことも

夏休みシーズンでどうしても麺類、それも冷たい麺を食べたくなるのは高校生だろうが社会人だろうが同じです。

が、オープンキャンパスだと、避けた方が賢明でしょう。

と言うのも、麺類はどうしても茹でるのに時間がかかります。

しかも、大学によっては学生食堂の職員さんを少な目にしか手配していないところも。その結果、単にざるそばを食べるだけで90分も待った、ということがよく起きてしまいます。

各大学も色々考えていて、オープンキャンパスの提供メニューは絞る、弁当にするなどの対策を取るところも。

私が7月上旬に見学に行った青森公立大学は、学生食堂・喫茶店のうち、喫茶で出す麺類はピーク時は差し止め。

青森公立大学・バンカフェ。お洒落な雰囲気(著者撮影)
青森公立大学・バンカフェ。お洒落な雰囲気(著者撮影)

ピークが過ぎてから出す、という対策を取っていました。これも行列解消策としてはなかなかうまい手です。

バンカフェの冷麺。ピーク時は提供差し止め。著者・石渡は早めに注文。美味でした(著者撮影)
バンカフェの冷麺。ピーク時は提供差し止め。著者・石渡は早めに注文。美味でした(著者撮影)

付言すると、青森公立大学は経済経営学部の単科大学。

北東北・北海道南部で国公立大としては唯一の経済系学部を擁する、ということもあり、オープンキャンパスは盛況でした。

で、学生食堂も、ラッシュ時は写真の通り。

青森公立大学のピーク時の学生食堂。麺類は食堂外まで行列が伸びており、職員が行列整理(著者撮影)
青森公立大学のピーク時の学生食堂。麺類は食堂外まで行列が伸びており、職員が行列整理(著者撮影)

受験生・親の対策としては、

・学生食堂を利用しない(生協のおにぎりなどを購入)

・12時前か14時以降か、ピーク時を避ける

・麺類は避けてご飯もの・定食にする

など。ただ、いずれも一長一短で、学生食堂を利用しないにしても、大学外で購入すれば夏場ですから、持つかどうか、というのもあります。

学内の生協・売店での購入もラッシュ時に込み合うのは同じ。

ピーク時を避けるにしても、参加したいプログラムと重複していれば難しいところ。

ご飯もの・定食だと早い大学もありますが、これもピーク時だとそんなに差はないということも多々あります。

結局のところ、どのマイナスを取るか、という選択になるのが、オープンキャンパス食事事情の悲しい現実です。

お土産はいつも豪華

ウソ/一部私大ではまだ実施中も

2000年代、オープンキャンパスのイベント化が進んだ時期、参加者へのお土産を各大学は競うようにして豪華にしていきました。

抽選会を実施して、ユニバーサルスタジオのチケットや1万円相当の家電をプレゼントしていた大学も。

もちろん、もらえた高校生は喜んだことでしょう。

が、ちょっと考えれば、参加特典の豪華化は諸刃の刃です。

参加者を増やす、という点では効果的かもしれません。が、いざ、志望校とするかどうかとなるとどうでしょうか。

特に保護者は「入学して学費を払ったら、その一部が入学するかどうかわからない受験生のための豪華特典に化けるわけ?学生に使わないで?」となります。

それよりは、参加特典がそこまで大したことなくても、ちゃんと教育を展開している大学に行こうか、となるわけで。

当然ながら、と言うべきか、学外でも批判が出て(その一人が私ですが)、学内からも批判があったのでしょう。2019年現在だと、豪華特典は鳴りを潜めました。豪華特典の当たる抽選会を開くにしても、大学サイトでは告知しないようにしています。

各大学をざっと見たところ、目立つのは、梅花女子大学(大阪府)のブランド日傘くらいでしょうか。

梅花女子大学の参加特典、ブランドものの日傘。ブランドサイトによると傘の値段は2400円(税別)。
梅花女子大学の参加特典、ブランドものの日傘。ブランドサイトによると傘の値段は2400円(税別)。

こちらは推定で2400円相当。

まあ、そもそもお土産に期待するイベントではないですし、本末転倒ということは参加者も知っておくべきでしょう。

交通費を全額出してくれる

半分ウソ/事前予約制の長距離の送迎バスや無料宿泊は増加中

豪華なお土産もそうですが、交通費全額負担も専門学校のオープンキャンパスではそこそこある話です。

が、大学ではどうか、と言えば、そこまででもなく。

近隣からの参加だと、交通費相当のクオカードを渡す大学もありますが、長距離で全額だと私は確認できませんでした。

これも2000年代には、道内外問わず全額を負担する北海道の私立大もありましたが、さすがにタダ乗りした受験生が相次いだようです。

私も、京都でタダ乗りした、と話した学生に会ったことがあります。

代わりに増えているのが長距離の無料バス。

大学最寄り駅と大学を結ぶバスを無料とするのはよくある話ですが、それの距離が長いのです。

たとえば、7月28日に開催する神奈川工科大学は大学最寄り駅である本厚木(予約不要)の他、要予約ですが、宇都宮、高崎、東京、大船、平塚、長野、松本、静岡、富士、三島の10か所からも運行。

宇都宮から本厚木まで往復すると、新幹線・特急利用なら10808円。普通列車・急行利用でも4868円します。

それが無料なのですから、受験生からすればメリットがあります。

神奈川工科大学・オープンキャンパス無料バスの案内。
神奈川工科大学・オープンキャンパス無料バスの案内。

豪華なお土産や交通費支給と異なり、長距離の無料バスは大学も費用負担の割にはメリットがあります。遠方の受験生にアピールできますし、何よりもバスに乗ってまで参加する、ということはそれだけ入学意欲が高いとも言えるからです。

この長距離の無料バスは2000年代に導入する大学が相次ぎましたが、2010年代以降に増えているのが無料宿泊です。

大学の寮(大半は大学が提携している学生マンション)の一室に無料ないしは安価で宿泊できる、というものです。

オープンキャンパスは最初から参加しなければならない

ウソ/途中参加・退出は問題ありません

意外と知らない人が特に保護者層で多くいます。

式典と考えるのであれば、確かにその通りなのですが、イベントなのであまり気にする必要がありません。

私の取材経験から言いますと、オープンキャンパスのオープニングって、学長や学部長の講演で堅い話ばかり。それ、パンフレット読めば済む話ですよね、というものが大半です。

まあ、その大学への志望順位が高いというのであれば最初からいるのもいいでしょう。

が、複数校の受験を検討するのであれば、同日開催の他校のオープンキャンパスに参加する、という手もあります。

8月3日・4日だと早稲田大学、法政大学、成蹊大学、武蔵大学、慶応義塾大学(事前予約制)などが集中しています。

「うちのオープンキャンパスでも他校の手提げ袋を見ることはよくあります。ああ、うちと同日開催だったな、と」(都内私立大学入試課職員)

愛知県立大学の最寄り駅の告知。帰りのラッシュ時は確かにすごい。乗車券の事前購入かICカードチャージをお忘れなく(著者撮影)
愛知県立大学の最寄り駅の告知。帰りのラッシュ時は確かにすごい。乗車券の事前購入かICカードチャージをお忘れなく(著者撮影)

相談コーナーは志望順位が高い必要がある

ウソ/進路未定でも相談コーナーに行く価値あり

ウソ、というよりは受験生の誤解ですね。心理としては見ず知らずの、しかも年上に相談なんて、という壁もあるでしょう。

実際は、相談コーナーにいる教職員、学生は、参加受験生(または親)が進路未定であっても志望順位が低くても、丁寧に答えるようにしています。

年上と話す、という経験値を上げることもできますし、ぜひ積極的に利用してほしい、と思います。

キャンパスツアーに参加しないと大学を回れない

ウソ/一部施設を除いて見学自由の大学が大半

人気校だと、キャンパスツアーは参加者が殺到し、1回50人を超えることも。当然ながら後ろの方だとほぼ聞こえません。

少人数限定ならまだしも、そこまで規模が大きいなら、参加する意味があまりありません。

オープンキャンパスだと、見学者を限定しなければならない実験施設などを除けば見学は自由です。むしろ、空いた時間に自由に回る方がいいのではないでしょうか。

個人情報を提供するとパンフやハガキなどが届く

ホント/不要なら書かないか、ゴミ箱へ

オープンキャンパスのアンケートに住所・氏名などを書くと、「情報提供は不要です」という欄にチェックしない限り(そんな大学、ごく少数ですが)、確実に大学パンフレットやイベント告知のハガキなどが届きます。

不要と思うのであれば、個人情報欄を空欄にするなどの対策が必要です。

以上、8点、オープンキャンパスについてまとめました。

暑い夏のイベントなので、熱中症などに注意しつつ、志望校を決めていってください。

追記(2019年7月26日)

・Yahoo!ニュース個人編集部の指摘により、写真撮影者の表記等、一部を変更しました。

・読者の方よりメールにて「『1988年の立命館大学が最初』と書かれているがエキサイトニュースで

https://www.excite.co.jp/news/article/Dprp_16419/ 文教大学が1986年から毎年オープンキャンパスを開催しているとある」

とのご指摘をいただきました。

エキサイトニュースを確認しましたが、記事タイトルには「保護者のためのオープンキャンパス」とありますが、記事中では名称は「父母のための一日大学」とあります(記事執筆者は文教大学学園広報マーケティング室)。

そのため、記事の訂正をするものではありません。

ただ、1970年代後半から1980年代後半にかけて、オープンキャンパスないし類似の行事が開催されるようになった、という点で貴重なご指摘をいただいたことに感謝します。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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