YouTuber学科は日本にはないのだけれど~YouTuber志望の中高生のためのガイド

ソフトバンクの記者会見でインタビューに答える人気YouTuberのヒカキン(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

YouTuber志望が増えている

2017年のソニー生命保険による調査では、将来なりたい職業としてYouTuberなど動画投稿者は男子中学生3位、女子中学生10位、男子高校生10位に入っています。

私は大学ジャーナリストということで、全国の高校で進路講演をしています。その際に、YouTuber志望の高校生からどんな学科が進学先としていいのか、質問を受けます。それから、生徒以上に多いのが高校の先生や親です。たとえば「本が好き」「食べることが好き」「野球に関する仕事がしたい」などよくあるテーマ・職業であればまだ進路指導のしようがあります。ところが「YouTuber志望です」と言われても、どの大学・学科がいいのか、情報がありません。

このように、YouTuberに限らず、これまでの学科や進路指導などの枠組みでは捉えられない職業やテーマが近年、急増しています。

そこで、このYahoo!ニュース個人で、不定期にて、大学・学科紹介をしていきます。というわけで第一回目はYouTuberです。

そもそもYouTuberってなんだ?

 YouTuber(ユーチューバー)とは、YouTubeなど動画サイトに自作の動画を投稿、閲覧数による広告収入などで稼ぐクリエイターです。

 個人でもいいですし、グループを作って展開しても問題ありません。

日本では、HIKAKIN(ヒカキン)、ヒカル、はじめしゃちょー、禁断ボーイズ、水溜りボンド、桐崎栄二、ラファエル、シバターなどが有名。

ヒカキン/ヒカキン密着24時 ~YouTuberの裏側~

はじめしゃちょー/【受験生へ】オレのセンター試験の時の話。

シバター/YouTuberになりたいクソガキ達に物申す!

たぶん、この有名どころの名前は、登録者数や好みで相当、変わるはず(すみません、著者・石渡の独断で選びました)。

動画は、面白動画が基本です。ゲームの実況中継もあり。

が、面白ければ何でもいいわけではありません。それと、専門性を活かす、という手もあります。

YouTuberは特に資格があるわけではなく、極端な話、幼稚園児から高齢者まで、誰でも始めようと思えば始められます。

宣伝目的で企業や雑誌編集部、芸能人・タレントが参入することももはや珍しくありません。

文春砲こと週刊文春も、公式チャンネルを開設。雑誌発売前に中吊りや注目記事の動画(一部)などを配信しています。

私が、へえ、と思ったのは元プロ野球選手(大洋など)で野球評論家の高木豊がYouTubeに参戦したことです。

当初は再生回数がそれほどでもありませんでしたが、江川卓、真中満など野球界の大物をゲストに迎えるなどして、毎日配信を続けています。

私も読者の学生から「動画配信したらどうですか」と言われて、一応、チャンネルだけは開設しています。機材や編集ソフトなどを購入してあとは動画を作成していくだけなのですが、なかなか(いずれ開始予定)。

名乗るのはタダで年収は数億円もあり?

 このように、YouTubeに参戦するのは誰でも可能です。もちろん、小学生や中高生が参入する、というのも十分に可能です。

 YouTuberになるために必要な機材は、画質などにこだわらなければスマートフォンがあれば撮影可能です。動画編集ソフトや編集用のノートパソコン、カメラ、ビデオ、撮影用ライトなどこだわれば数十万円から100万円以上はかかります。

 収入は当たれば年収1000万円から1億円以上と一流タレント並みに稼ぐYouTuberもいます。

2018年9月28日公開の年収チャンネルに、人気YouTuberのラファエルが出演。動画のMCが「アドセンス(再生回数による広告収入)と案件動画だけで月に4000万円くらいかな」に対してラファエルは否定していません。そこから類推すると年収は4.8億円ということになります。

登録者数が数十万人から100万人を超えると、それだけ影響力が強くなります。動画再生回数による広告収入だけでなく、企業案件も入ってきます。

企業案件とは、その企業の商品・サービスを宣伝する動画を作成することです。こうした収入を合わせると、並みのテレビタレントよりも稼ぐのがYouTuberと言えるでしょう。

関連する学科はどこ?

YouTuber学科は現在、日本には存在しません。

あえて日本で関連する学科を探していくと、デザイン・IT関連の学科が考えられます。

デザインやCGグラフィック、情報工学などを学べば動画制作に関連する知識を得られます。

ただ、YouTuberはそもそも学歴・資格などを必要としません。極端な話、中高生でも本人が自称さえすればなれます。

人気YouTuberの出身は?

なお、人気YouTuberのヒカルは高卒、ラファエルは中卒です。

ヒカル/当たりはなかった?祭りくじで悪事を働く一部始終をban覚悟で完全公開します

ラファエル/【公式】カルティエのコンビニが豪華すぎた!!

コスメ紹介などで人気のayanonno(アヤノンノ)は高校生から活動開始しています(現在は大学生)。

ayanonnno/寝ないの!?大学生YouTuberの1日に密着!!~休日編~

水溜りボンドは2人とも青山学院大学在学中から活動開始(現在は卒業)。

水溜りボンド/大学全体でガチかくれんぼしたら楽しすぎた!!

禁断ボーイズは4人中3人が近畿大学出身です(中退/リーダーのいっくんが法学部、モーリーとメサイアが理工学部電気電子工学科)。

禁断ボーイズ/近畿大学のオープンキャンパスに出演させていただきました!!

学業との両立、という点を考えれば、時間が作れそうな文系学部という選択もありそうです。

禁断ボーイズは中退した近畿大学のオープンキャンパスで講演会を今年7月に実施。

そのときの様子をこのYahoo!ニュース個人でも記事にしました。

人気YouTuberの禁断ボーイズ、母校近畿大に降臨~高校生キャリア選択の新たな扉を開く

禁断ボーイズはYouTuber志望であっても大学進学を勧めています。

「自分がどれだけ客観視できるかどうか。大学に行くことで、人としての魅力も増す。いっくんは自己分析、めちゃくちゃしていて、道筋がみえているからこそ中退したしYouTuberになっていた。それを考えれば大学進学の方がいいのでは。もちろん、よほど勉強が嫌いなら別だけど」(モーリー)

「大学に行った方がいい。そもそも、大学の勉強と動画制作、両立できないくらいならやめた方がいい」(いっくん)

これまでのYouTuberは無理解から高校退学も

 人気YouTuberの一人、桐崎栄二は、動画制作が理由で高校を退学処分になった、と動画にしています。

YouTubeで学校退学になった

動画ではその後、高卒認定試験に合格し、現在は大学に進学している、と出しています。

しかし、今からわずか2年前でもギターを弾く動画で「不適切動画投稿により退学」というのは、驚きです。もちろん、高校側からすれば、つもりつもったものもあったのでしょうけど…。

 現在ではもう少し、YouTuberに対して学校現場での理解は進んでいるもの、と信じたいところですが。

YouTuberの将来展望

YouTubeは2018年1月に、広告収入制度で支払うチャンネルの基準を変更しました。詳細は省略しますが後発のYouTuberはそう簡単に稼げなくなっています。

さらに面白動画も先発YouTuberの真似をしたところで再生数が増えるわけではありません。と言って過激になれば不法行為になりかねず、実際に日本でも逮捕者が出ています。

有名YouTuberであっても、アカウントBANといって、グーグルからアカウントが停止。動画が配信できなくなることがあります(著作権違反、不適切動画などが理由)。

そうなると収入源が絶たれる、というリスクがあります。それから、ネット広告が鈍化ないし減少した場合、動画の広告による収入は大きく減る、というリスクもあります。

YouTuber志望の中高生はどうすればいい?~逃げとしての選択ではなく

YouTuber志望の中高生を私は否定するわけではありません。旅行やゲームなどの動画では、おそらくは高校生・大学生が配信しているものも私はよく見ています。

ただ、私のようなライター・ジャーナリストと同じく、YouTuberは名乗るのは誰でもできます。問題は継続して収入があるかどうか。

数億円どころか年収1000万円、いや、サラリーマン並みの収入を稼げるYouTuberは果たして何人いるでしょうか。はっきりした統計資料はありませんが、野球部の高校生がドラフトに引っ掛かるかどうかと同じくらい低い確率であることは確かです。

 YouTuber志望の中高生とも話したことがありますが、どうも半分くらいは、目の前の勉強が嫌というだけです。動画もまったく面白くありません。

 それよりも、趣味でやっています、という中高生の動画の方がよっぽど面白いです。

 これは社会人も同じ。

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 参入障壁は相当低いのがYouTuberの特徴です。簡単にYouTuberになれて、簡単にやめられて、簡単に復活もできます。

 この特性を考えれば、動画制作はひとまず趣味として続けて、それとは別に勉強や部活動なども両立。もし、人気が出てくればそのときに専業とするかどうかを検討する。それまでは基本的には大学進学で学科は文系またはIT・芸術系のいずれか、というところが現実的ではないでしょうか。