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進路相談23・漫画系学部の実技、パクってもいいよね?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:漫画学部志望です。将来は漫画家志望で漫画系の学部に進学予定です。入試で作品を提出しなければならないのですが、いいアイデアが思いつかないので志望校か他大学の過去作品例をコピペしようと思います。ばれないでしょうか?

ばれるばれない以前に、漫画家として向いていません。漫画は趣味にしておいて、他の学部を受けましょう。

漫画系学部の入試で作品提出をする際、苦しむお気持ちはわかります。

これは漫画家志望の大学生であれ、現役の漫画家であれ、全く同じ。ここで、インスパイアを得るために映画を見る、小説を読む、旅行をする、他の漫画を読むなどはよくある話です。

さらに古い小説や映画、落語などをモチーフに作品を描いていく、というのもよくある話。

これはOKです。

ただし、パクリはダメです。

クリエイターは常に新しいものを生み出すのが宿命、それをインスパイア・オマージュどころか、単なるパクリ。

それも、志望校や他大学の作品例をパクるなんて最低です。

漫画系学部の教員に取材したことがありますが、やはり作品例の模倣作品は多いそうです。

当然、アウト。

他大学の作品なども目を通していますし、それでばれなくても、あとで必ず苦労します。

パクリは漫画家だけでなく、小説家やミュージシャンでもよく騒動が持ち上がります。

有能とされた新人でもこの盗作騒動でダメージを受け、創作活動が続けられなくなることも珍しくありません。

著者・石渡が高校生だったころ、桜蔭高校在学中の17歳で小説家デビュー、文学界新人賞を受賞した篠原一という小説家がいました。

立教大文学部に進学、大学院を修了し、将来が期待された小説家でした。

しかし、2005年、短編小説の一部が漫画から盗作したと指摘され、その後、掲載誌編集部は漫画家・読者への謝罪文を掲載する事態となりました。

以降、この小説家はほとんど作品を書かなくなりました(掲載できなくなった、とも言えます)。

プロでも盗作の誘惑にかられることがありますが、その先は闇しかありません。

まして、前途洋々たる高校生のあなたが今、盗作に手を出すようでは先が知れています。

というわけで、漫画家志望ならさらに苦しむこと、それが嫌なら他学部に志望変更をしましょう。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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