東大生が語る東大入試戦略~Z会東大個別指導教室プレアデス・イベントルポ

私が大学生の頃は、東大合格者の約半数が加入していた通信添削の大手企業、Z会。

このZ会が2015年2月、「Z会東大個別指導教室プレアデス」を渋谷に開設しました。

現在でも、集団での授業が中心となる「Z会東大進学教室」(2014年度までは「Z会東大マスターコース」)を展開していますが、新たに個別指導専門の塾として立ち上げたのが「Z会東大個別指導教室プレアデス」。

東大生の講師による「1対1」の個別指導が基本です。

同校では、2月から各種イベントが開催されていますが、3月14日開催の「東大合格には戦略が必要!」に参加しました。

同イベントの内容に、後日の追加取材を加味して、Z会東大個別指導教室プレアデスの東大生講師が考える東大入試の戦略について、まとめてみました。

戦略1:過去問研究を確実に、丁寧に進める。

東大2015年入試の最低点・最高点を見ていくと、今年は文系で最低点が大きく下がりました。

文科一類

最高430.2点 最低325.3点

文科二類

最高411.9点 最低321.8点

文科三類

最高437.5点 最低310.7点

理科一類

最高449.5点 最低322.9点

理科二類

最高409.5点 最低311.5点

理科三類

最高459.0点 最低377.2点

最低点は前年比では文科三類で17点マイナス、文科一類で7点マイナス、文科二類で10点マイナスとなっています。

この理由について、2次試験の数学が難化した、とよく言われています。

が、この「難化」を、東大生講師の筒井さんは、

「難化というのは違和感がある」

として否定します。

「数学は難化した、と言われていますが、東大の過去問ではよく出ているテーマでした。つまり、過去問をちゃんと解いてきた受験生なら得点できるはずです」

筒井さんは、一浪しましたが、夏休みから過去問を解きだしたとのこと。

また、東大生講師・八代さんは「15年分くらいは解いた」。

戦略2:「あえて教科書を見返す勇気」

この数学の話から、プレアデスの教室長、寺西隆行さんから意外な話が出ました。

なお、寺西さんはご自身も東大卒、Z会入社後は教材編集なども担当しています。

「答案を見ていると、教科書で学習する内容が十分に理解できていない、という大学受験生が結構います。『1度やっただけでは忘れる』ということを理解していません。そこで、教科書レベル、ときには中学の教科書まで立ち戻って1度やり直すよう勧めることもあります。が、『東大模試でB判定だったこともあるから』『東大模試でC判定だけど、通っている高校では成績は上位』などプライドが高すぎて、やらないままです。基礎ができていないので、結局は問題が解けずに不合格…となります」

東大志望で成績がそれなりに良ければ、教科書レベルはちゃんと理解できていそう、と思っていましたがそうではないようです。

「たとえば、小数点第二位を四捨五入すると1.5となる数の範囲を不等式で表すと、1.45≦x<1.55となります。1度はやったことがあって、説明すれば『わかるよ、そんな簡単なこと』と言うのですが、四捨五入や不等式のことをしっかり理解していないと、次取り組むときに自分で正確に書けない。こういう高校生は、ちょっと危険です」

戦略3:東大生の「ふつう」を信じない

イベント中、東大生講師がよく話したのが

「ふつう」

「大してやっていない」

でした。

東大生講師・筒井さんのコメントをまとめるとこうです。

「数学のセンター試験対策はやっていないし、2次試験対策もそれほどでもない。英語はセンター試験ではふつうだった」

この部分だけ、信用すると、平凡なる高校生と親は

「東大入試など楽勝」

と考えてしまいそうです。

東大入試は解けなくても疑うことには長けている私(どうでもいい情報だが東洋大卒)は、この「ふつう」「大してやっていない」をツッコんで聞いてみました。

その回答を元に、先ほどの東大生講師・筒井さんのコメントを変えるとこうなります。

「数学のセンター試験対策は5年分(だが大してやっていない)、2次試験対策は25年分やった(が、それほどでもない)。英語はセンター試験では満点(だけど、東大志望者の間ではふつう)」

文面だけでは、なんてイヤミなヤツなんだろう、と思う方も多いはず。

でも、この筒井さんや他の講師も、イヤミで話しているのではなく、ごく自然に話しているだけです。

教室長の寺西さんも、この点は、割引が必要、と話します。

「『やっていない』と言いながら、実はしっかり勉強していますし、『大したことない』と言いながら、客観的には、ちゃんと得点している、ということがよくあります。高校生で東大志望だと、この東大生独特の文法・話法をちゃんとわかって、しっかり勉強しているタイプが多いです。問題は、理解せずに、真に受けてしまう高校生。それと、保護者が一番危険です。『東大生が大して対策していなくても受かった、と話していた』とお子さんに伝えてしまうのが危険ですね」

なるほど。

しかし、そうなると、講師が東大生ばかりだと、生徒にニュアンスなどが間違って伝わる危険もあるのでは?

「東大生だからすぐ講師になれる、というわけでなく、まず試験をして選抜しています。さらに、指導方法や生徒への伝え方などは研修したうえで講師にしていますし、指導開始以降も、高校生への伝え方について、ミーティングの機会を継続的に設けています。ですから、このプレアデスの東大生講師については、『ふつう』『大したことない』が生徒に誤解されて伝わることはなく、信じていただいて大丈夫です」

戦略4:英語は実は英語力だけでは解けない

東大生講師はみな

「問題をどんどん解いていった」

「苦手分野を集中してやった」

と話します。

筒井「単語・文法が足りないと思ったので、問題をどんどん解いていくようにしました」

八代「東大英語は色々な形式が出題されます。要約が苦手なので、そこを集中してやるようにしました」 

大村「単語、文法、リスニング、英作文、長文の5つに分けました。このうち、リスニングは苦手だったので夏に集中してやるようにしました」

この苦手分野を克服しようとする姿勢は、イベントに参加していた『戦略思考で鍛える「コミュ力」』(祥伝社新書)著者・増沢隆太さんも絶賛。

「クリティカル・マスという理論に沿っている戦略です。苦手分野については、人は冷静さを失いやすいですし、その苦手、弱みを把握したうえで克服しようとする姿勢はいいですね」

この話を受けて、教室長・寺西さんが

「東大英語は英語力だけでは通用しない」

との話を始めました。

People only see what they are prepared to see.

2014年東大2次試験前期の自由英作文で出題された問題文の一部です。

フツウに英語を活用できる方であれば、

「人は見る準備が出来ているものしか見ない」

とは簡単に訳せると思います。

では、実際の問題はどうだったでしょうか。

「以下のような有名な言葉がある。これについてどう考えるか、50~70語の英語で記せ。

ただし、下の文をそのままの形で用いてはならない

People only see what they are prepared to see.」

この自由英作文について、寺西さんは次の指摘をしています。

「これは英語ができるだけでは解けない問題です。ユリウス・カエサルが『人は自分の見たいものしか見ない』という言葉を残したことを知っている方は、きっとその言葉を知る過程で様々な教養を身につけようとしていたはずですし、カエサルの言葉を聞いたときに様々に思い、感じた部分もあるはずです。したがって、東大英語では、受験生の教養、思考力が問われているといえます。具体的には『教養(日本語で考える)』『日本語で簡潔に表現できる』『日本語の表現を英語に変える』、この3点ができないと解答できません」

東大英語は、和訳、英訳という単純な英語力だけではなく教養・思考力も問われることになることがお分かりいただけるかと思います。

Z会東大個別指導教室プレアデスは、授業ブース(1対1授業対応・ホワイトボード完備)、自習スペースの他にラーニング・ラボというコーナーがあります。

ここは、カフェのような空間で、イベントスペースを兼用しており、受講生同士や東大生、そして社会人とつながる場です。そして、このラーニング・ラボの壁面には、ビジネス書などがずらりと並んでいます。

「英治出版、ディスカヴァー・トゥエンティワン、かんき出版などの出版社が合計100冊以上も寄贈してくれました。どの出版社も「若いうちに価値観を広げて欲しい」という気持ちに溢れ、書籍を通じ「社会をよくしていく」ことを希求している会社です。大学受験に直接関係がないように見える書籍であっても、読むことで、それまでの自分では気づかなかった価値観や考え方に触れ、教養・思考力を身に付けてほしいと思います」(寺西さん)

戦略5:国語は抽象説明、そして古文漢文で得点を

戦略4の英語で教養・思考力という視点が出ましたが、これは国語、特に現代文でも同様です。

「10年前に比べると、現代文は文章が長くなり、さらに、問い方がより抽象的になりました。『どういうことか、わかりやすく説明せよ』という問いかけばかりが問題文に並びます。さらに東大現代文だと、『120字問題』が名物です。かつては『200字作文』でしたが、この『120字問題』は短く端的に説明することが求められる、スピード感のある現代に合っていますね。そういえばTwitterも140文字ですね。短い文章で、内輪の人だけではなく知らない人にも説明できる能力を見ています」(寺西さん)

高校生だとTwitterでもFacebook・LINEでも内輪受けする書き込みはよくしています。

そうではなく、他者に説明する能力を見ている、とのこと。確かに、今の高校生にはハードルが高そうです。

一方、東大生講師・筒井さんは、古文・漢文で確実に得点を取ることが戦略、と話します。

「古文・漢文は覚えなければならない量は、理系だとセンター試験とそれほど変わりません。文系はさすがに難しいですが、それでも現代文よりは得点しやすい。この古文・漢文で確実に得点を取ることが入試戦略ですね。現代文は文系が特に難しく、得点が伸びにくいです。ともかく問題を解いては添削してもらう、この繰り返ししかありません」

戦略6:地歴は終わらない前提で先に進める

地理・歴史は、中高一貫校ならまだしも、公立高校だと、高校3年では全分野終わるかどうか、ギリギリ。

高校によっては終わらないところもあります。

東大生講師・大村さん(公立高校出身)は、それを逆手に取りました。

「地歴は終わらないという前提で自分で勉強しました。2年生から、『高校任せだとネックになる』と感じていましたので、自分で先に進めることでむしろ得意科目にしようとしました」

これは、東大生講師・筒井さん(公立高校出身)も同様です。

「世界史・地理は終わるのが3年12月。これでは受験に間に合いません。そこで、教科書は高校3年夏までに他社の教科書を読み比べるようにしました」

以上、6点の戦略についてご紹介しました。

Z会東大個別指導教室プレアデスの教室長を務める寺西さんは、教室での指導において、戦略思考を大事にしている、と話します。

「生徒には、月1回、『戦略面談』を実施するようにしています。東大受験の成功者である東大生だからこそわかる『いつ、何を、どこまでやればよいか』という戦略設計を面談では提示していきます」

Z会東大個別指導教室プレアデスは、3月26日現在、春期講習生、そして4月からの本科生を募集中とのことです。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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