質問:マスコミ系学部・学科のない、東北の国立大文系に進学することになりました。と言っても、東北大は難しいので、候補は弘前大、岩手大、秋田大、山形大、福島大の5大学です。ちなみに浪人はダメ、と親に言われました。この本の昨年版(※引用元の『時間と学費をムダにしない大学選び2016』の前年版のこと)の一口情報には「大手マスコミはどこも無理」みたいな書き方でしたが、本当に無理でしょうか?お勧めのところがどこか、など、アドバイスをお願いします。

おお、昨年版も読んでいただいたのですね。ありがとうございます。こういう読者の方がいるので嬉しくもあり、怖くもあり。何しろ、昨年版と同じことを書いているようでは先行きないですしね。初心忘れるべからず、で頑張りますので本書と石渡を今後もよろしく。

さて、ご質問の件。確かにメディア関連の学部学科はないです。

なので、「浪人して東北大かマーチクラスに」というのも答えの一つなのですが、事情があって現役で東北の国立大に、とのこと。

東北含め、地方の国立大・公立大は基礎学力、という点では下手な私立大よりも上ですし、大手マスコミへの就職が無理か、と言えばそんなことはありません。

では、就職実績として在京・在阪の大手マスコミが出てこないのか、と言えば理由は簡単です。

学生の多数派が教員または公務員志望。民間企業志望者もその多くは地元志向です。在京志向、かつ、大手マスコミ志望者はそれほど多くありません。しかも、大手マスコミを突破できる学生がいたとしても(少数ながらいる、と石渡は考えます)、そういう学生は親の志向などもあっても地元での公務員ないしマスコミなどに就職する。これが実態ではないかな、と。

大手マスコミと言えど、全国区の企業ですから多様性を出すため、地方大生をどうにか採用したいと考えています。それがうまく行かず、採用がうまく行っていない点をもって、「地方国立大は大手マスコミに実力がない」と書くのはやや乱暴。

ということで、昨年版の「地方国立大では大手マスコミは無理」から大きく転換することにしました。

それはさておき、ご質問の件。ポイントは「県外の民間企業/マスコミ希望者の母数が多いか少ないか」「マスコミに近い科目の有無」の2点。

まず、候補から消えるのは秋田大でしょう。文系学部は教育文化学部のみ。しかも、教員と公務員希望者が多数を占めています。民間企業希望者が東北大以外の5大学では一番少なさそうです。

残り4大学のうち、弘前大と岩手大はメディア関連の教員が在籍していて関連科目もあります。福島大は幅広く学べて、社会学系統の科目もあります。

規模としては、弘前大、岩手大が教育学部以外の文系学部が1学部(弘前大は人文学部、岩手大は人文社会科学部)。福島大は人文社会学群のみ。定員だけ見れば岩手大はやや小さく(215人)、弘前大と福島大がいい勝負(弘前大345、福島大335/ただし、人間発達学類と夜間主コースを除く)。東京に近いことを考えれば福島大でしょうか。

残る山形大。人文学部の定員は300人で弘前大、福島大とほぼ同じ。山形大がいいのは、基盤教育科目がやたらと濃い科目が揃っていることです。メディア関連科目だと、「日本社会を生きる 映画からみた近代日本の人間像」「ビッグデータをどう分析するか」「新聞で山形を知る」「文学・芸術に描かれた山形」など。ほか、フィールドワークも充実しています。科目のテーマ設定も文系・理系ともにかなり現代的、と言いますか、いいところをうまく突いています。

同じ山形市内にある東北芸術工科大デザイン工学部の科目「広告ビジネス基礎」「コピーライティング」「映像文化史」などを単位互換(大学コンソーシアムやまがた・ゆうキャンパスやまがた単位互換)で受講できるのもプラス材料。

というわけで、候補として挙げられた5大学の中では山形大を1番、弘前、岩手、福島を2番手グループとしてお勧めします。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用