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就活相談16・日本で一番面倒な選考書類を課す企業は?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問 日本で一番、面倒な選考書類を課す企業はどこですか?

回答 エントリーシートだけでなく、選考書類、ということであれば、ライフネット生命保険ですね。これはもう、ダントツです。

同社はネット生命保険の草分け的存在で、出口治明会長は著作が多いことでも有名。教養関連では、『仕事に効く 教養としての「世界史」』(祥伝社)、『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ21)の2冊が名作でお薦め。

さて、ライフネット生命保険ですが、同社の選考書類、本エントリーで課題提出。その後、別途、書類を送るのですが、最初の課題は「重い課題」と命名されています。

2015年卒は、こんな感じ。AかBか、選択です。

●問題A

国政・地方のいずれの選挙でも、20代の投票率は全世代の中で最も低くなっています。20代が選挙に行かない理由とそのために起きる問題、それに対して20代はどうするべきか、次の設問に従って考えてください。

[1]ほかの世代と比較して20代の投票率が低い理由を、データを用いてその背景とともに説明してください。

[2]20代の投票率が低いために、すでに起きている現象と将来起きうる事象について説明して下さい。

[3]投票しない理由として「選挙に行ってもどうせ自分たちの意見は反映されない」という声があります。では、20代の意見を政治に反映させるためにはどうしたらよいでしょうか。解決策を3つ考えて提案してください。なお、予算・法令・制度などの制限はすべて取り払って考えてかまいません。

●問題B

現在の小学校1年生が大学を卒業して就職する頃には、65%の人が今は存在していない仕事に就くという調査があります。現在から20年後の社会と仕事の変化について、予想してください。

[1]20年前から現在にかけてもっとも成長した産業ともっとも衰退した産業について、データを用いてその背景とともに説明してください。

[2]20年後の未来に、現在と比較して大きく変化している社会・産業の状況を予想し、理由とともに説明してください。

[3][2]で予想した変化に伴い、20年後には、現在存在しないどんな仕事が新たに生まれているでしょうか。新たな仕事を1つ挙げ、その仕事が生まれる背景と、その仕事に就くにはどのような能力が必要か予想して説明してください。

※20年前は1990年とし、20年後は2030年とします

A4で枚数・形式は自由。書けるよね?

え?

無理?

まあ、そうでしょうね。

同社サイトによると、エントリー数は8741人。

で、この「重い課題」提出が70人。提出率は1%未満、そりゃそうだ。

2014年に同社を取材した際、はずみで、

「だったら、私が回答をいくつか作って、それを公開添削してもらうのはどうですか?」

「石渡さんがそこまでやってくれるなら、うちも協力しますよ」

との話に。自宅に戻ってから、その面倒くささに気づいて、全力で逃げ、現在に至る。まあ、読者の皆さんからのリクエスト、たとえば、Twitterでこのネタが1000RT行くならやる、かもしれません。

※『300円就活 面接編』(角川書店オリジナル電子書籍)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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