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楽天スマホ、安さの秘訣は他社より基地局が少ないから?  石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.362

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト
写真提供:楽天モバイル

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2020/03/07(vol.362)

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《目次》

1.楽天モバイルが月額2980円で自前網限定「使い放題」を提供

━━安さの理由は「完全仮想化」よりも「4400局」なのではないか

2.ソフトバンクが「AQUOS R5G」など5Gスマホを4機種投入

━━ラインナップになぜ「Xperia 1 II」がなかったのか

3.ソフトバンクが4GやWi-Fiでも使える「5G LAB」をスタート

━━AIカメラによる制作コスト削減と設備の「パッケージ化」を狙う

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.楽天モバイルが月額2980円で自前網限定「使い放題」を提供

━━安さの理由は「完全仮想化」よりも「4400局」なのではないか

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3月3日、楽天モバイルは4月8日から本格サービスを開始する携帯電話事業の料金プランを発表した。

月額2980円で楽天自前エリアであれば使い放題。ただし、パートナーエリアは2GBまでしか使えず、超過した場合は128kbpsになるが、1GB500円で追加も可能。300万人は1年間無料となるキャンペーンもある。ぶっちゃけて言えば「無料サポータープログラム第3弾」みたいなものだ。5000名が2万5000名となり300万名になったといえるだろう。

やはり、月額2980円のインパクトは大きいようで、一般紙などはこぞって「これで4社間の料金競争が起こる」とのんきなことを書いている。やはり、どんなに安くても「いつでもどこでもつながる」ということが重要であり、都内でも地下などではパートナーエリアにつながってしまうようでは完璧な「使い放題」とはいいがたく、ユーザーにストレスを強いることになるのではないか。

一般メディアから「なぜ、楽天はそんなに安いのか」と聞かれることが多いが、表向きの理由としてあげられるのが完全仮想化ネットワークだ。楽天モバイルでは「設備投資は40%、運用コストは30%削減できる」と強調する。

ただ、別の基地局ベンダー関係者に言わせると「完全仮想化ネットワークは3年早すぎる技術。コストが削減されるように言われるが、実際には設備を置く場所がかなり必要になってくるし、マシンのパワーも必要になってくるため、電力コストがかなりかかる。既存の設備とコスト的にはあまり変わらないのではないか」とのことだ。

ぶっちゃけて、楽天が安価な料金プランを提供できているのは、三木谷浩史社長の思いつき的な料金設定と、「基地局の少なさ」なのではないか。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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