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週刊文春が仕切る告発会見の威力 第2弾 木原副長官の妻の取調官が警察庁長官に反論-全文-(後半)

石川慶子危機管理/広報コンサルタント
筆者撮影(週刊文春 8月10日号)

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https://bst-byline.yahoo.co.jp/article/update/00361521

事件性ありの根拠は写真

イマイズミ:日刊ゲンダイのイマイズミと申します。一般論としてお聞きしたいんですがいわゆる容疑者と呼ばれている方、容疑者あるいは重要な参考人ですよね。その方が国会議員の親族である方あるいは警察関係の親族の方、最後に勲章を頂いてる人、国からの受勲者ですよね。捜査慎重になるかと思うんですけども一番難しいのはどなたですか。

佐藤(誠):どこでしょう、全部おんなじじゃないすかね。だって、珍しいじゃないすか。あんまり今までで経験でないですよね。でも、思うとすれば全部同等だと思いますよ、慎重にはなると思いますよ。個人的な意見ですよ。一般人だから別に差別するわけじゃないすけど、ただハードルは上がるっていうのはやっぱりあるんじゃないすか。要は警察が扱うのは下は浮浪者から上は天皇陛下じゃないすか。俺は警部補ですから、ペーペーですからそりゃ上のほうだって気は遣うと思うんですよ。ただ、自分としては別にそれが妻だからって特に別に普通にやってたし、別にいつもどおりやってたパターンですから。

エンドウ:朝日新聞のエンドウといいます。自殺だとする証拠っていうのが存在しなかったっていうお話だったと思うんですけど、逆に事件だとする証拠っていうのはどんなものがあったのか、もう少し具体的にお話。

佐藤(誠):事件の証拠ってのはやっぱり当時の写真ですよね。写真とか、あと当時の供述調書、乏しいんですよ、とにかく、乏しいんですよ、証拠が乏しいと。始めてどれだけ集められるか。だから、残ってるのはその不自然な、例えば自殺したらこうはあり得ねえだろうとか。それから、写真だとか、あと当時の関係者の供述調書とか、そんなもんしかないですよ、本当に。事件性があるのは写真とかで分かるじゃないすか、いろいろ遺体を移動したりしてるんで血がこっちに付いたり、こっちに付いたり、そうするともう分かりますよね。ただ、俺が言ってるのは自殺と認めるものがなかったという話なんですよ。証拠は始めてどれだけ集められるかっていう話なんですよ。

供述だとYの供述だとか、いろいろ重要な供述が出てるじゃないすか。でも、何かのやっぱりきっかけで支えがないと駄目なんすね。その支えを基に、だから6カ月もかかっちゃってるわけですよ。いろんな友達とか聞いて、いろんな実験をして、その供述から得られた何で巻いてあるとか、そういうの要は刺した時にやっぱり豚を買ってくるんすよ、豚、肉。これ、こうやって、要はもうないじゃないすか、遺体が。本当に肉を買ってきてどれぐらいやればここまで通るかとか、そういう実験も何度も繰り返してるわけですよ。あと、その血が流れる、血が流れる、いろんなもん全部やるべきことは全てやってるわけですよ。そうすると、やっぱその当時の家の血の付き方と全く違う、おかしいんですよ、いろんなとこで。上に飛び散ったり。そういういろんなものを実験してこれはもう自殺じゃない。あと、鑑定とかで東大だとか先生とかの専門家に見てもらって。

エンドウ:その結果をもって逮捕状を請求するとか、そういう感じではなかったですか。

佐藤(誠):いや、そこまで無理ですよね、だって、Yの供述だけじゃちょっと無理ですよね。

ナナオ:ニコニコ動画のナナオと申します。ナイフに巻かれていた両面テープなんですけど、これ、巻いた後の両面テープって現場にあったんでしょうか。

佐藤(誠):いや、持ってっちゃったっすね、だから。

ナナオ:ええっ?

佐藤(誠):持ってってますよ。

ナナオ:現場にないんですね。

佐藤(誠):ない。

ナナオ:じゃあ、自殺じゃないっすよね。いや、自殺したってんであれば両面テープあるはずですよね、現場に。

佐藤(誠):現場もうYが取ってますから、Yが剥がしてますから。だから、わざわざ宮崎まで行って巻かしてるわけですよ。

ナナオ:だから、はい、そういうことですよね。

佐藤(誠):うん、そういうこと。ちょっと説明不足だったっすかね。

ナナオ:分かりました、よく分かりました。質問は当時二階幹事長、よく協力していただいて、でも木原さんのボスは宏池会の岸田さんなんですけど。

佐藤(誠):いや、そこまで分かんないす。

ナナオ:当時、岸田さんが今回の当時の事情聴取の件をご存じだったかどうかってのは。

佐藤(誠):いや、それは分かんないっす。

ナナオ:これ、「週刊文春」さんの記事にもないんですけど、岸田さんはご存じだったかってことも「週刊文春」さんは特につかんではないということっすか。

佐藤(誠):いや、岸田さんは当時から出てきてないすよね。

ナナオ:じゃあ、二階さんだけがその。

佐藤(誠):いや、俺の記憶はもう二階さん辺り、やっぱり二階さんが一番力あったんじゃないすか、当時は。よく分かんないすけど、政治は。

タカハシ:じゃあ、その右横の。マイクをちょっと回していただけますか。

フジワラ:読売新聞のフジワラといいます。すみません。先ほどのちょっと、若干一点だけ。事件とするような根拠となる物的証拠っていうのは佐藤さんが捜査されてる間では集まらなかったっていう理解でよろしいですか。

佐藤(誠):ちょっと時間が足りないすもんね。要はYさんの供述、これが一番重きだったんじゃないすか。それと、やっぱり現場の様子だとか、関係者少ないですからそういうのを基にそのために捜査してたんでいろんな人の供述集めたり、物的証拠がないだとか、あるだとか。ただそれでもしなかったとしたって要は捜査始めちゃってるわけですから結末をつけなきゃいけないじゃないすか、白か黒かそれとも灰色かみたいな。そこまで行ってないんです、だから途中で終わっちゃったから。

地方公務員法違反のリスクはあるがもう引けない

フジワラ:それで、今回の記事中でも地方公務員法違反に抵触することは承知の上で腹をくくってこう述べていらっしゃるので、今日もいろいろ証拠品の中身とかご紹介いただいてるんですけども、お気持ちって今日も変わらないですか。

佐藤(誠):ここまできちゃったら変わんないすよ、もう。だってしょうがないじゃないすか、そう思っちゃったんだから、もう後に引けないじゃないすか、だって。

フジワラ:ご自身のご認識としてそれらに抵触する可能性があるっていうようなことっていうのは思ってらっしゃる?

佐藤(誠):いや、だって、当然分かってますよね。だけど、やっぱり余計にだから怖いっていう人もいるんじゃないすか。辞めたからってそんなべらべらしゃべっていいのかみたいな人がいるでしょ、やっぱり。そっちのが怖いんだと、いると思うんですよ。だけど、もうしょうがないじゃないすか、もうここまで来ちゃったら、そん時にもうそれでいいと思っちゃったんだからもうどうしようもないすね。別にそん時、考えないすよね、地方公務員法って。触れるのは分かってたっすよ、それは。でも、ここはもうあれでいくしかないですよね、もう突っ込むしか。

横田:フリーランスの横田由美子と申します。

佐藤(誠):よく知ってます。

横田:はい、ご視聴いただきありがとうございます。質問させてください。種雄さんがまず最初に大塚署で覚醒剤の乱用ということで自死扱いになってるんですけれども、当時X子さんは隣の部屋で寝ていたと。大体その旦那さんがそういう薬の乱用っていうかたちになりますと奥さんも当然やってるというふうに見なされて、奥さんの覚醒剤やってたかどうかっていうのも当然調べられるはずだと思うんですが、その辺りっていうのは残っていたんでしょうか、証拠として。

佐藤(誠):ないすね。

横田:奥さん、調べてないんですか。

佐藤(誠):いや、どうか分かんないっす。調べても出てないかもしんないすね、少量で。

横田:反応が出てないということですか。

佐藤(誠):うん。だから、捕まってないんすよね、多分。だから、そこの覚醒剤って頭あんまりなかったですよ。覚醒剤の致死量ったって、致死量ってあったじゃないすか。あれ、どれぐらいか分かります?

横田:覚醒剤、大体致死量を入れるとブクブク泡吹いて。

佐藤(誠):あれ、100回分とか、そんなもんですよ。

横田:そうですよね。

佐藤(誠):知ってるやつは入れないですよね、そんな。

横田:あと、X子さんの性格についてちょっとお聞きしたいんですが、私がお会いしたころは自信がない、すごく自分に自信がなくって、なおかつ、男の人に割と頼るというか、男の人の後ろにいるような感じの人というような印象を受けたんですけれども、今からいろいろ考えて振り返ってみると2回木原さんの結婚ぶち壊したりとか、略奪したりとか。

佐藤(誠):そうなんですかね。

横田:やっている。やっていたことを私は知っている範囲で考えた時にかなり、すごくしたたかな人だったんじゃないかなっていう気がするんです。佐藤さんのX子さんに対する印象というか、感想は素直な子だというふうなお書きになっていらっしゃいましたけれども、実際はどんな印象だったんでしょうか。

佐藤(誠):10日間ぐらいですからX子さんの性格とか、そんな全て分かんないですけど、要は反応が素直。要は受け答え、俺らもたまにカマかけることあるんすよ。それに引っ掛かっちゃった可能性もありますけど、ただやっぱり時々ほら、うそだろみたいに言うとピクッとすんですよ。だから、やっぱ臆病は臆病だったと思いますよ。

横田:じゃあ、その臆病さをブランド物で隠していたというような。

佐藤(誠):いや、そこまでは分かんないすよ、ブランド全然知らないんで。当時バッグは何持ってきたかも、あんまりブランド、でもやっぱこぎれいな格好は必ずしてきてたですよ。

横田:毎回違う格好でいらっしゃってたと思います。

佐藤(誠):うん、記憶的にはおんなじ服は着てなかったすけど、でもそこは普通。ただ、調べ室行くだけですからね。

横田:そうですよね、完璧に髪も巻いてたり。

佐藤(誠):髪もだから、でもそれは女性のあれ、どこに行くんでもちゃんとするってのがあれなんじゃないすか。

横田:いや、そんなことないです。

カネモト:「週刊金曜日」のカネモトと申します。先ほど政治のことはちょっと分かんないからとおっしゃったんですが、あえてちょっともう一度伺いたいんですけども。木原さん、自民党の、自民党っていうか、政府の要職にある方が事件に圧力をかけたんではないかと変な疑いを持たれてるにもかかわらず、事実関係を認めてない。一方、現在は官房副長官になるんですけども、これは官邸のまさに中枢の一人ですけども、官房長官はこの一連のX子さんの報道についてはプライベートなことであって、逐一お伺いすることはしないと言いながらまともにも答えないし、木原さんから話を聞くという構えも取ってないということなんですけど。それで、自民党政府の中枢にいる政治家の対応とか、官房長官の言動とかを見て、ご意見、批判あればぜひ伺いたいんですけど。

佐藤(誠):いや、おい、批判する立場じゃないと思うんすけど。

カネモト:感想はいかがですか。

佐藤(誠):感想ですか。人それぞれの立場があるから仕方ないと思いますけど、だってそれはそんな批判できるほどあれですよね、そりゃ悪いとか、いいとか、ちょっとやっぱ差し控えますとか、そういうような感じだと思います。ただ、政治あんまり分かんないすよね、申し訳ないすけど。

カネモト:もうちょっと国民に説明していいんじゃないかというような感想は持たれないですか。

佐藤(誠):個人的にですか。だから、個人的にはだから、もうだから、ちゃんとさっきも言ったですけどそういうふうに言ってるんだったら証拠を持って来いみたいな、汚い言葉で言えば、ここ来いよみたいな、そんな感じはありますけど。ただ、政治家さんに個人的にはもっとちゃんと説明すればいいんじゃないのかなみたいな、木原さんもですけど。

カネモト:分かりました、ありがとうございます。

佐藤(誠):いえ、とんでもないす。

シゲマツ:TBSのシゲマツと申します。今回この捜査が打ち切りになった経緯についてなんですが、明日で終わりだと上司から告げられたということですが、その辺り理由とか、どういう経緯で中止になったっていうのはお聞きになられてないでしょうか。

国会終われば捜査が再開すると思って準備していた

佐藤(誠):それ、さっきも言いましたけど終わり方が異常だったんですよ。例えばこういう殺人事件であれば終わるっていうのは時効はないんですよ。だから、この場合だと自殺か、捕まえるかどっちかしかないんですよ。それで、もし灰色だったら終わらないじゃないすか。ただ、終わり方がその被害者に対してその説明が全くないわけですよ。意味分かります? 殺人事件が始まれば初めに刑事があいさつして始めます。最後の締めとしてこういう理由で終わります。それ、言わなきゃいけないんですよ、捜査本部どこでも一緒ですよ、これは。それがない限り、これで終わり方が俺、もう明日で一応終わりだからっていうのは国会が始まるからですよ。27日でしたかね、臨時国会が始まるみたい。そういう約束でしたからそれ以上無理じゃないすか。だから、一応そのけじめで終わりっていう意味でそういう感覚で覚えてるんですよ。

シゲマツ:こういう理由で中止、捜査は打ち切るといわれた。

佐藤(誠):いや、こういう理由はないです。今日で一応調べは終わるぞみたいな。外のことは分かんないですよ。ただ、やっぱ終わり方が異常。自然消滅したみたいな。国会が終わったらまた再開すると思っていた。だから、12月も行ってたんですよ、宮崎とかに。ところが何も始まる様子もないし。要は締めがないわけですよ、被害者に対する。警視庁が自殺で認定したというんであれば、その時に行かなきゃいけないわけですよ。でも被害者が何も聞いてませんって言うわけじゃないですか。それをやってないからこういうことになったんですよ。それを今さら言われたって納得するはずないじゃないすか、そんなもん。

猫組長:猫組長と申します、今日はよろしくお願いします。まず、2018年再調査の端緒となった女性刑事、刑事さんが今も所轄署でご活躍なんですけども、その当時一緒に捜査に関わった捜査員の方たち、まだ現場で今もがんばっておられると思うんですけども今も交流はありますか。

佐藤(誠):俺、酒全然飲まないんですけど、しょっちゅう会うってことはないですよ。

猫組長:その場合、当然この事件の話になると思うんですけど。どうですか、皆さんの反応は。

佐藤(誠):ところが、これ、出したじゃないですか、俺、名前で。電話が1個も来ないですよ。

猫組長:それはなぜでしょう。

佐藤(誠):分かんないです。余計な事、あいつに言うなって話じゃないすか。

猫組長:当然そうなんでしょうね。もう一答お願いします。宮崎刑務所へYさんの聴取に行かれたと思うんですけども、ある程度の事件の関与を供述してるんですよね、Yさんは。

佐藤(誠):してますよ、雑誌に載ってるぐらいは。

猫組長:なぜその時にYさんの身柄を取ろう、逮捕状を請求しようとか、身柄を持ってこようとは思わなかったんですか。

佐藤(誠):いや、全然そういうのは考えてなかったんじゃないすか。俺は途中からなんですよ、俺、他のとこ行ってたんすよ。そのYさんっていう取り調べやってるのは知ってましたけど、やっぱ逮捕しちゃったらしゃべんないんじゃないすかね。

猫組長:そうでしょ。自供があった時点で身柄持ってきて逮捕して、取り調べればもうちょっと普通になってたと思うんですけど。

佐藤(誠):いや、面倒くさいすもんね。だって、その事件は立証しなきゃいけないじゃないすか、逮捕したら。

猫組長:立証するのが警察の仕事だと思うんですけど。

佐藤(誠):それよりも刑務所に入ってるんだから、やっぱそこで聞いたほうがスムーズにいくじゃないすか。そこは多分その事情だと思いますよ、俺もはっきり言えないすけど途中からだから。Yさんの調べの経緯ってのはあんまり知らないんですよ。ただ、後半のほうについて行っただけ。感触を取りたいから。分かるじゃん、やっぱりいろいろプロの方だから。

佐藤(章):フリーランスの佐藤章ですけども、先ほどはありがとうございました。お聞きしたいのはまず、傷口なんですけども。安田さんのお父さんに聞いた時は喉の所に1カ所ということだったんですけども、他のものをちょっと読んだところ右の肩甲骨から上のほうに貫通していたというのもありました。傷は何カ所だったんでしょうか。

佐藤(誠):記憶としては1カ所じゃないすか。喉か、こっちか、どっちかだと思いますよ。はっきりとは覚えてないけども一突きですよ。

佐藤(章):それは喉か、肩甲骨ですか。

佐藤(誠):どっちだったかな。

佐藤(章):お父さん、喉というふうに、目撃したお父さんは喉と言ってました。

佐藤(誠):俺の記憶としては確かやっぱ喉かな。

佐藤(章):喉ですか。

佐藤(誠):要はさっき言ったとおり、豚で、豚の肉で実験したんですよ。それ、2カ所やってないすから多分喉だと思います。

佐藤(章):じゃあ、一撃ということですね、二撃ではないということですね。

佐藤(誠):そういう記憶です。

佐藤(章):それで、このぐるぐる巻きのテープなんですけども、あれは捜査のかく乱とかでよくあるんでしょうか。

佐藤(誠):いや、それでかく乱しないすもんね。だから結局意味が分かんないんですよ、初めは。

佐藤(章):そういうのは例えば特別な学校で習ったりするようなことなんでしょうか。例えばアメリカのCIAとか、そういうところで習ったりとか、そういうことはあんでしょうか。

佐藤(誠):そのテープですか。いや、ないすね、自分で考えるしかないすもんね、何なんだって。

佐藤(章):それから、すみません。木原さんですけども、自民党の情報調査局長に就いたのが2018年の10月9日なんですけども、ちょうど強制捜査に入った日なんですよね。

佐藤(誠):そうですね、偶然ですね。

佐藤(章):木原さんがその情報調査局長に就いたのを知ったのはいつだったんでしょうか。

佐藤(誠):その当時は知らなかったですよ。木原さんの役職を聞いてもあんまり意味ないんで。

佐藤(章):それでは、すみません、もう一点だけ。Zさんを怪しいんじゃないかっていうこの見立てなんですけども、その根拠というか、その推理の理路が全然分からないんですけども、それ、ちょっと教えていただけませんか。

佐藤(誠):感触ですよね、勘。

佐藤(章):それから遺体に殴られた跡とか、そういうのはあったんですか。

佐藤(誠):いや、そういうのはないと思います。

遺族を悲しませる発言はいけない

ツツミ:日本テレビのツツミと申します。短く一点だけなんですけれども、今もお話上がっておりましたZさんに関してなんですが、その疑わしいと見ているのは佐藤さんの個人的な見立てなのか、それとも当時の捜査本部のほうで被疑者として浮上していたのか。その点、教えていただいてよろしいでしょうか。

佐藤(誠):個人的です。別に心の中のこと誰にも言ってないんで。確証が持てれば言いますけど、それはもう俺の心の中でそう思ってただけでその人が本当に犯人かどうかも分かんないですよ。ただ、やっぱり、ほら、やっぱり調べたんだからいろいろ考えるじゃないすか。それだけの話ですよ。だから、何か決定的にっていう話じゃないですよ、消去法みたいな。

ツツミ:例えば他の捜査員の方に共有して調べをしたりとか、そういったプロセスは踏んでなかったということですか。

佐藤(誠):ないです、ないです、あくまでも任されてますから。ただ、それを軽々しく言っちゃうと確信が持てないまま言えないんで、やっぱそこはもう自分流でやってるような、個人の、もうあくまでも個人のという話ですよ。

シラサカ:フリーランスのシラサカと申します。今、出たZについての質問なんですけども、「週刊文春」では最後のほうにZが登場する展開になってるんですけど、ただ、僕個人的には恐らく佐藤さんは途中からそのZに思い立ったんじゃないかなと予想しています。いろんな、どのようなタイミング、そしてどのようなやりとりでそのZが佐藤さんの中に浮上してきたんでしょうか。

佐藤(誠):いつごろか。だから今言ったとおり消去法ですよ。消去法でいくとこれじゃない、これじゃない、そんでX子さんでもない、そうするとって話ですよね。だから、そのZはあくまでも俺の想像なんで推理っていうか、見立てなんで。

シラサカ:今までだとそのX子さんが実は犯人ではないかなというような雰囲気できたと思うんですけど。

佐藤(誠):10日間ぐらいしかやってないじゃないすか、10月の10日からほんの少しですよね、1カ月もないわけですから、実際やったのが2~3日目ぐらいかな。

シラサカ:じゃあ、比較的最初の段階から当事者に浮上してきたんですか。

佐藤(誠):それ、言わないすよ、自分の気持ちは。だから、そっからどういうふうに発展するかなって。そういうふうに思った時にはもう捜査が終わる、ちょっと早すぎましたからね。

シラサカ:ちなみに今、佐藤さんは刑事は辞められてるんですよね。

佐藤(誠):ええ。

シラサカ:立ち入ったことで申し訳ないんですけど、今回の事件とその辞められたことっていうのは関連してるんでしょうか。

佐藤(誠):いや、全然関連してないですね。一応退職して2年間はお世話になって、それでちょっとおふくろが死んだんで実家を売ったんで。普通に生活できるし、あとはもう市役所の仕事をちょっとやらせてもらえばいいかな、みたいな感じ。

フジタ:フリーランスのフジタアキコと申します。証拠の件でお伺いしたいんですが。携帯電話が、種雄さんが恐らくなんですけど3台持っていたという話を聞いたんですが、1台は行方不明になっているという話もあるんですけれども、この携帯電話の証拠について2台は見つかったけど、1台は不明になっている。この理由とその携帯電話の会話とか、メールとかあったと思うんですけど、そういったことは調べられたのかどうかっていうのを知ってる範囲でお聞かせいただければと思います。

佐藤(誠):メールは分析班がやってると思うんですけども。特に種雄くんとYさんだとか、種雄くんとX子さんだとか、そういうようなメールは分析してますよね。ただ、そこにはこの事件に関する直接のつながるものはないですよ。ただ、けんかをしてる状況とか、仲が悪くなったころだとか、そういうのは推測できますけど。犯人につながるような情報っていうのは入ってなかったような気がします。だから、あんまり重要視してなかったっす。

フジタ:1台なくなってると思うんですけれども、それは遺族に返されたのか、もしかしたらX子さんに返されたのか、それとも警察の中で保管してるのか、いつの間にかなくなってしまったのか、どれだと思いますか。

佐藤(誠):いや、分かんないす、1台なくなってるって言ってますよね。あんまりその記憶がないんですよ、申し訳ないですけど。

サワダ:日刊スポーツのサワダと申します。先日、被害者の遺族の方が涙ながらに会見されてます。佐藤さんは遺族の方と会われて、最近会われたとか、会見を見てこういうふうに感じたとかっていうのがあればちょっと教えていただきたいんですが。

佐藤(誠):遺族の方と1回も会ってないんですよ。やっぱり担当がいますから、さっき言ったとおり被害者担当。だからあんまり立ち入らないです、調べ官は。ほんで会ったことはないけども、会見は拝見させていただきました。

サワダ:どういうふうに感じたとか。

佐藤(誠):いや、かわいそうですよ。さっきも言ったとおり、一番に考えなきゃなんないのは遺族なんですよ。これはもうはっきり言って基本なんですよ。だって、皆さんだって子どもさんがああいう状態だったら悲しいじゃないすか。そういう人たちに一番接するのが被害者対策班なんですよ。でも、ああいう遺族だから良かったんですよ、だって警察には感謝してますって言ってくれたじゃないすか、こんな終わり方をしても。普通だったらお前ら何だ、この野郎、警察はちゃんとやれみたいな人もいるわけですよ。だけども、ああやって言ってくれたから非常にありがたいなと。

それにさっき言ったとおり、その人たちをまた悲しませる発言みたいのは、これにはやっぱ頭きますよね。だって、そうじゃないすか。そう思いません? 普通は。何でそこまで遺族の気持ちを逆なでるの、悲しみをもっと増大させちゃうのみたいな、そんな感じを受けませんか、受けますよね、それと一緒ですよね。だから、やっぱりもうちょっと思いやって言えばいいのになっちゅうような感じは。そういう人たちのために格好つけるわけじゃないすけど、ちゃんと働けと、そういう人たちのために。末端はそうですよ、われわれ刑事だって、皆さんの近くにいるおまわりさんだって親身にやってるわけですよ、そうでしょう。誰だって助けようという気持ちがあるんだから、そんなの当たり前じゃないですかね。だけど、それをやっぱ逆なでるようなことを言ったりするのは、ちょっと間違ってるなというふうには思いますよ。

サメジマ:フリーランスのサメジマと申します。先ほど佐藤さんは実行犯がZであるという認識は自分の心の中にとどめておいて誰にも言ってないってことおっしゃってましたが、捜査本部全体としてはやはり全体の見立てとしては実行犯はX子さんであるという見立てが非常に強かったということなんでしょうか。

佐藤(誠):だと思います。

サメジマ:それであればこの木原さんや二階幹事長は捜査本部はX子さんが実行犯であるという見立ての下で動いてるというふうに木原さんや二階幹事長は認識してたら、特に木原さんとは佐藤さん接触したことがあると思うんですけども、木原さん自身はX子さんが実行犯というふうに捜査本部は見立てて捜査を進めてると、認識してるというふうに感じてましたか。

佐藤(誠):いや、どうでしょう。そう思ってるんですかね、それともX子さんを信じてるんですかね、やってないと。

サメジマ:逆に言うと、X子さんが実行犯ではないという見立てを持ってる人は佐藤さん以外いなかったんでしょうか。

佐藤(誠):いや、どうでしょう。それは聞いたことないすよね。

サメジマ:それは捜査本部とか、同じチームの中でそういうような認識を持ってるなと感じたことはない。

佐藤(誠):多分いなかったと思います。

サメジマ:やはり政治家、関連した政治家たち、二階幹事長とか、いろんな人に情報がいった、捜査が動いてるっていう情報がいってたと思いますけれども、木原さんはじめ多くはX子さんが実行犯であるという下にみんな動いていたというふうに考えるのが自然と思っていいんでしょうか。

佐藤(誠):いや、どうでしょう、ちょっと分かんないすよね。ただ、やっぱり皆さん逆に聞きますけど誰だと思います? だって、みんな初めはX子さんだと思ってないすか。

サメジマ:「文春」の報道見てると私も最初はX子犯だなと。

佐藤(誠):だから、それと一緒ですよね。

サメジマ:つまり、最大のポイントの一つは捜査の事件の真相そのものもポイントなんだけれども、やはり木原さんがこの事件をどう考え、実際捜査に介入したのかどうか、そこが最大のポイントだとすると木原さん自身がX子さんが狙われてると。捜査の真犯人っていうか、実行犯と思われてると認識して動いていたのか、いや、いや、真犯人は別にいるということを、木原さんはどっちに思ったのか非常に重要なポイントだと思うんです。そういう意味ではさっき言ったZさんが実行犯だという認識が単に佐藤さんの胸の内のほうにとどまっていたのか、いや、いや、捜査本部はじめ、場合によっては自民党はじめ政府権力側に、政治家側にもそういった手が伝わっていたのかってのは結構この話の重要なポイントであって、そのZ実行犯説が一体どの程度当時捜査班や関係者に広まっていたのか。

佐藤(誠):広まってないっすね。

サメジマ:じゃあ、やっぱり関係者の多くはあくまでもX子さんが実行犯であると、少なくともそういう見立ての下に捜査が動いてるという当時認識をみんな持ってたと考えるのが自然であるということですか。

佐藤(誠):自然でしょうね。ただ、心の中では他の人と思ってた人もいるかもしれないですよ。でも、それ、あんまり口にしないじゃないすか。

サメジマ:じゃあ、表向きそういう動きはなかったっていう、捜査報告書にそういう記載があったとか。

佐藤(誠):いや、いや。

サメジマ:そういうのは一切なかったっていうことですね。

佐藤(誠):ないです。

タカハシ:すみません。そうしましたら、ちょっと時間の都合もございますので本日の会見はこれで終了させていただきたいなというふうに思います。

記者:佐藤さん、身の危険を感じたことないですか。

佐藤(誠):今んところ大丈夫です。

記者:顔を映させない理由はそれですか。

佐藤(誠):やっぱりちょっと顔は何となく近所のおばちゃんたちにも見られんの嫌ですよ。

記者:種雄さんの覚醒剤、体から出たことについてはどういうふうに見てらっしゃいますか、すごく気になって。

佐藤(誠):うーん、特にその覚醒剤関係はあまり気にしなかったんですよ。

記者:他者から打たれたとかいう可能性については。

佐藤(誠):ただ、さっきも言ったとおり。俺もその薬物はあんまり捜査やってないんですけどもそれをいっぺんにやるかと。

記者:子どもさんを取り返して、取り返してっていうか、家に呼んだ日にそれをやること自体がきついなと。

佐藤(誠):だって、多分夫婦けんかっていうのは子どもの親権争いじゃないすか、例えば子どもどっち引き取るかって、重要な話ですよね。あんまり覚醒剤しないんじゃないすかね、致死量まで。

記者:そこにも疑いがある?

佐藤(誠):うーん。

記者:それから、すみません、もう一点。さっき質問で答えていた写真が12時間後にYさんとX子さんの2ショット写真が出て来た。これをなぜそういうショットで笑ってて、笑って撮ってるっていうふうにX子さん、Yさんは説明してるんですか。

佐藤(誠):だからX子さんには俺、見せましたよ。何だこれ、何だこれつって、だって旦那が死んだ日に笑って、そんなのおかしいじゃないかみたいな感じしないすか。

記者:します。

佐藤(誠):しますよね。もし旦那さんが死んで、酒飲みに行きます?

記者:何って説明されたんですか、それをX子さんが。

佐藤(誠):いや、だから何もしゃべらないですよ。

記者:すみません、もう一つだけ。

タカハシ:もうよろしいです、もうすみません。ちょっとお時間になりましたので。一度ちょっとムービーのほう電源切っていただいて、佐藤さんのほうに退場していただきます。

(拍手)

タカハシ:長時間にわたりまして今日は本当にありがとうございました。追加の取材ご希望の方につきましては、配付した資料に記載の連絡先にご一報いただければなというふうに思います。今日は本当にありがとうございました。

現場無視は告発を招く

ドラマ以外で殺人現場の話を直接聞くのは初めてだったこともあり、あまりの迫力に鳥肌が立ってしまいました。この告発会見は様々なことを考える題材となり得て、興味関心が深まるばかりですが、今回は2点のみ指摘しておきます。リスクマネジメントの観点から内部告発を防ぐために組織ができること、そして最初に指摘した文春砲の告発記者会見仕切りの威力結果。

1点目の告発予防の観点。この会見で警察が遺族を第一に考えていること、最初と最後にきちんとしたルールがあるということ、それがわかったことは、大きな発見でした。となると、露木警察庁長官が会見でいきなり公式発表という手段はあまりにも現場のルールを無視した選択だったことになります。危機管理広報の視点からするとこの点が教訓となります。現場を無視したり、最重要ステークホルダー(この場合遺族)を見失った公式発表は告発を招いてしまいます。現場とマネジメント層が乖離してしまっている、ここが本質的問題であるようにも思います。逆にいえば、現場と最重要ステークホルダを大事にすれば告発は防げるということではないでしょうか。

マスメディアが報じない間に体制を立て直せるか

2点目。新しい文春砲の威力はどうだったのでしょうか。安田種雄氏の司法記者クラブでは、マスメディアとして幹事社の共同通信しか質問をしていませんでしたが、佐藤誠氏の会見で質問したマスメディアは朝日、読売、TBS、日テレと数は増えました。しかし、報道結果は、東京新聞、中日新聞、産経新聞、TBSで、たったの4社9件(8月8日G-Search 「佐藤誠AND木原」の検索結果)。安田氏よりも倍にはなりましたが、ほとんど報道されていません。警察庁長官の公式発表に真っ向から反論する実名告発記者会見であったにもかかわらず。この結果だけを見れば、記者会見を活用した文春砲はまだ威力を発揮していないといえそうです。

ただそれは、この案件の特殊性もあると推測できます。企業であれば、会社の公式発表と真っ向から対立する実名告発は、報道されるのではないでしょうか。

木原誠二氏は岸田政権における重要な参謀ですし、2018年の10月に木原誠二氏は自民党の情報調査局長になっており、当時の警察庁長官は、現在は内閣官房副長官となっている栗生俊一氏。その一方で、当時の二階幹事長は再捜査にGOを出して支えていますから、自民党内の政権争いの側面も見え隠れします。様々な力関係がマスメディアの報道に影響している可能性があります。これは、政権運営側にはチャンスでもあります。マスメディアが様子見の間は、岸田政権は木原さん頼みの体制を立て直す時間があるわけですから。しかも今はお盆の時期。この時間をどう活用するのか、正念場です。

■動画解説 リスクマネジメントジャーナル(日本リスクマネジャー&コンサルタント協会)

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https://bst-byline.yahoo.co.jp/article/update/00361521

<参考サイト>

週刊文春【アーカイブ動画】「木原事件」を巡り実名告発 警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係 元警部補・佐藤誠氏 記者会見(週刊文春 電子版)

https://bunshun.jp/denshiban/articles/b6537

危機管理/広報コンサルタント

東京都生まれ。東京女子大学卒。国会職員として勤務後、劇場映画やテレビ番組の制作を経て広報PR会社へ。二人目の出産を機に2001年独立し、危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。リーダー対象にリスクマネジメントの観点から戦略的かつ実践的なメディアトレーニングプログラムを提供。リスクマネジメントをテーマにした研究にも取り組み定期的に学会発表も行っている。2015年、外見リスクマネジメントを提唱。有限会社シン取締役社長。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会副理事長

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