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文春が仕切る告発会見の威力 第1弾 木原副長官妻の前夫安田種雄氏の遺族会見-全文-

石川慶子危機管理/広報コンサルタント
筆者撮影(週刊文春8月10日号)

7月20日、司法記者クラブで2006年に不審死した安田種雄氏の遺族が記者会見を行いました。「再捜査してほしい。真実を知りたい」とする訴えでした。遺族による記者会見は珍しいことではありませんが、不審死した安田種雄氏が木原誠二官房副長官夫人の元夫であること、2018年に再捜査された際には、木原夫人が重要参考人となっていたとなるとどうしてもニュース性が高まってしまいます。もっとも、筆者が一番驚いたのは、記者会見を仕切っていたのが、週刊文春だったことです。一般的には遺族会見は弁護士が立ち会うのになぜ文春仕切りなのか。司法記者クラブであればなおさら普通は弁護士です。そして、8日後の7月28日、今度は文春の会議室で、2018年に捜査した元警部補佐藤誠氏が「事件性があるのに、異常な終わり方をした」と訴える記者会見を行いました。7月13日に露木警察庁長官が本件について「事件性がない」と発表したことへの反論記者会見でした。この2つの文春仕切りの記者会見が意味することは何なのか。2つの会見の全文を複数回に分割して掲載し、文春の新たな砲撃スタイルを振り返り、組織としての対応方法を考えます。

■動画解説 リスクマネジメント・ジャーナル(日本リスクマネジャー&コンサルタント協会)

タカハシ:依頼を受けて進行を務めさせていただきますタカハシと申します。会見に先立ちまして、注意事項のほうを説明したいんですけれども、本日の登壇者は安田種雄さんのご遺族の方3名になります。お父様とお姉さん2人、上のお姉さんと下のお姉さんです。で、先ほどお配りしたA4の資料2枚あります。1枚が遺族コメント全文ともう1枚が会見の趣旨など書かれています。で、会見の進行なんですけれども、最初にお父さんのほうにご遺族を代表してコメントを読み上げていただいて、その後に質疑応答に移ります。会見を写す際なんですけども、ちょっとお願いなんですが、お父さんは顔出し可、で、お姉さん2人は首から下のほうでお願いします。声の加工等は不要です。で、報じていただく際は、匿名で続き柄のみお願いします。それからお手元の資料にありますように、会見以降の取材については東京市谷法律事務所の今給黎弁護士が窓口になっておりますんで、ご遺族への直接取材っていうのは、ご遠慮いただければと思います。

まずはお父様のほうにご遺族を代表していただいて、コメントを読み上げていただきます。よろしくお願いします。

再捜査してほしい

安田種雄氏父(以下、安田):2006年4月に不審死した安田種雄の父です。息子が亡くなって、今年で17年になります。しかし、種雄の死の真相はいまだに解明されていません。私はただ真実が知りたいのです。

種雄は中学に入学すると、不良仲間とつるむようになり、暴走族に入ったこともありました。高校時代からは、雑誌モデルとして活躍していたことがあります。やんちゃな子でしたが、家族思いで約束は必ず守り、人情に厚く、弱い者いじめだけはしなかった。そんな種雄は誰からも好かれ、地元の先輩や後輩にも頼られ、亡くなった今でも種雄のためならとこの解明されない真相のために私たち家族と共に悔し涙を流してくれてる子がたくさんいます。命日には花を贈ってくれたり、種雄に会いに来たって言って、私と酒を酌み交わしたり、種雄の残してくれたものは計り知れないです。子供の頃は厳しく育ててきました。友達に父親である私のことを自慢していたということを聞いた時には涙が止まりませんでした。種雄は大切な私の息子です。

そんな種雄が結婚したのは、2002年5月のこと。種雄と同じように雑誌モデルをしていた女性と結婚し、子宝にも恵まれ、夫婦関係は良好でした。しかし、徐々に夫婦関係が悪化し、2006年には離婚の話が出ていました。

2006年4月9日のことです。息子の携帯に電話しても出ない。いつもは必ず折り返し電話が来るはずなのに、その日は折り返しもなく、私は少し違和感を覚えた記憶があります。なぜかその日は、いつもより2時間早く目が覚めたこともあり、連絡がつかなかった息子のことが気になり、夜中の3時頃に種雄の自宅へ向かいました。玄関の鍵が開いていたので中に入ることができたのですが、まさかそこで変わり果てた息子を見つけることになるとは思ってもいませんでした。息子は血まみれで、目を見開いたまま倒れていました。血は天井まで飛び散っており、右太ももの20~30cm先には細いナイフがきちんと置かれていました。当時の警察は事件性はないだろう、自殺だろうと判断していました。でも、種雄の傷は、喉から肺にまで達していました。自分をそんなふうに刺した上で、足元にナイフをきちんと置いてから絶命するなどということは果たしてあり得るのでしょうか。自分が子供を育てていきたいと、前向きに今後のことを語っていたのに、このまま種雄は犬死になって終わってしまうのか、私はずっと息子を信じています。種雄が亡くなった時もまともに捜査されず闇に葬られ、諦めて生きてきました。

それが12年後に再捜査していただけると連絡があった時には心から喜びました。種雄の無念を晴らしてやると息子に誓いました。

しかし、捜査が始まり、1年もたたないで捜査の縮小が告げられ、捜査1課の捜査班は解散され、大塚警察署へと管轄が移ってしまいました。警察に対する不信感があり、捜査1課の刑事さんには最初冷たく当たってしまったこともあったのですが、私たち家族の思い以上に親身になってくださり、今では感謝しかない。今月17日付で、大塚警察署長に宛てて再捜査を希望する上申書を提出しました。熱い思いで捜査に当たってくだされた方々にもう一度仕事をさせてください。再捜査をお願いします。また、テレビ局や新聞社の皆さまには、この事件に関心を持っていただき、広く報じていただきますよう、心よりお願い申し上げます。以上です。

タカハシ:質疑応答に移らせていただくんですけども、時間の都合もございますので、お1人1問でお願いできればと思います。

共同通信:幹事社から1問。せっかく今日お越しいただいているので、お姉様方からも再捜査に対してとか、種雄さんに対してとか思っていることがあれば一言ずつお願いできますか。

安田種雄氏姉1(以下、姉1):今日はお集まりいただき、本当にありがとうございます。私たちは弟が死んだその当時、なかなか捜査をしてもらえなくて、私たちは何の力もない一般人で、何もすることができなくて、ただ諦める他なく、弟のことは心にしまったまま生きていく決意をして私たちは生きてきました。それが2018年、警察の方からご連絡をいただいて、まさか再捜査をしていただけるということは本当に夢にも思ってなくて、12年前の事件が解決できるんだろうかと半信半疑でした。けれども、警察の方々が本当に親身になって動いてくださって、まさか捜査があんなに進むと思ってなかったんですけど、弟のことを見つけてくださって、捜査にご尽力いただいた警察の方々に心から私たちは感謝しています。

残念ながら、1年足らずで捜査は終了したんですけど、今になってまさか文春さんのほうでこのように報じていただけるということも夢にも思わずに生きてきました。これは何か、私たちは諦めて生きてきたんですけど、こうやって再捜査が始まったり、文春さんのほうで報じていただいて、これは何かの、何かの、うまく言えないんですけど、何かの力というか意志というか、そういうものを感じています。ここにこうやって集まっていただいて、私たちの話を聞いてくださって、それに関してもすごく感謝してます。ありがとうございます。

安田種雄氏姉2(以下姉2):弟の時は28歳で止まってしまいました。生きてたら、多分今も私たち3人、楽しい人生を過ごせたんじゃないかなって時々想像しながら、一緒に歳を重ねていきたかったです。なぜ弟が死ななければならなかったのかを、その真実を私たちは知りたいので、せっかくいただいたチャンスなので、今回また再捜査をしていただいて真実を知りたいです。

タカハシ:じゃあ各社さん、挙手と社名をお名乗りいただいてお願いいたします。

自殺をする動機が考えられない

ツヅキ:東京新聞のツヅキと申します。1回は捜査を見送ったものがもう1度再捜査に12年後になり、それも1年半で終息したということで、幾つも疑問点が警察とやり取りをする中であったと思うんですけど、3人の方がやはりこの点はとにかくおかしいんだと、取材してないこともあるんですけども、細かい捜査資料とかを私たち側は持っていないので、お3人が警察と対面していく中で、この点がおかしいのに解明されないまま、この事件は闇に葬られてるんじゃないかという点を、短くていいんですけど。

姉2:やはりナイフが横にきれいに置いてあったっていうのは、やっぱりすごい疑問点で、まず弟が自殺をする動機がまず考えられなかったっていうこともあります。

姉1:その訳を私たち見せてもらってない。あと弟の通話記録、弟の最後の足取りというか、その記録といったものも全く分からないので、開示していただいてないので、そこも疑問にも思ってます。

ヤマオカ:アクセスジャーナルのヤマオカと言います。すみません、一言で結構なんですけれども、今回の文春の報道に対して、木原さんの弁護士のほうから具体的な回答もなく、全部事実無根だと。

姉1:はい。

ヤマオカ:クラブの記者に対しても、書いたら訴えるような、そういう内容のものを出されてますけど、それに対して一言でいいので思いを言っていただきたいんですが。

姉1:私たちが今ここにいるのが事実というか全てで、事実無根ではありません。そして、その訴えるという内容、訴えるのではなくて、説明をしてほしいです、みんなの前で。もし何もないのであれば、説明できるのではないかと思います。

ヨコタ:フリーランスのヨコタです。種雄さんの当時の奥さんで、木原副長官の現在本妻さんに収まっていらっしゃる方X子さんについてお聞きします。お金遣いについてお聞きしたいと思うんですけれども、ご結婚なさってた当時、相当お姉さん方にもお金を無心していたというふうに文春さん記載してあるんですけれども、その約3年後には、銀座の一等地のいわゆるカラオケラウンジを現ナマで一括で購入しているんですが、お金の、何て言いますか、不審さというか、X子さん当時、どのぐらいお金を持ってたんですか。

姉1:私は正直彼女のお財布事情については全く知らないです。正直に知りません。ただ、やはり若いということもあって、お金は使うほうだったと思います。お金の無心はないかな。お金がないとは言ってました。

ヨコタ:私もお会いした時に、すごくブランドとかお金にこだわりがあるなというのは感じたので。

ナイフが不自然だった

サトウ:フリーのサトウと言いますが、ナイフが不自然に置いてあったと思うんですけども、その表現は分かるんですけども、どういうふうに不自然に置いてあったのか、偶然その落っこちたということも考えられますよね。偶然落っこちたというふうに見るには、あまりに不自然に丁寧に置かれていたということなんでしょうか。そこら辺ちょっと説明欲しいのと、あとナイフに関してもう一つ、警察が再捜査のきっかけになったのは、血の付き方がおかしいということでしたよね。そこら辺はどういうふうにおかしいのか、警察から説明を受けていたとしたらそれを教えてほしいんですよ。

安田:右ひざのしたふくらはぎとひざの間ぐらいですか、右の斜め30cmぐらいの所に体のほうに向いて刃が置いてあったんですよ。それを見た瞬間、これは誰かが偽装したんじゃないかなと、そんなふうに疑ってました。

サトウ:それ、その時血は付いてました?ナイフに。

安田:それは後で刑事さんに聞いたら、血も付いてなかったのに何でそれがあるんですか、と聞いたら、血がちゃんと付いてましたよって。その血が流れて、ぱっと見た時は血が付いてたか、それは薄くなって見えなかったかもしれない。でも刑事さんの話は、ちゃんと血が付いてましたと。

サトウ:見た感じは付いてなかったんですか。

安田:見た感じではね。はい。

サトウ:後の質問ですけども、警察からはどうしてそのナイフに対する血の付き方がおかしいというふうに説明を受けたのか。

安田:再捜査の時、行った時、女性刑事さんに写真見せてもらいました。その時、思わず「このナイフじゃないわ」って言ったんです、自分が。そんな感じがしてね、思わずそう叫んだんです。僕が違ったかもしれないけどね。最初見た時はちょっと幅が広かったような感じがしたんだけど、写真を見せてもらった時はちょっと細くなったような。だから、それは自分の勘違いか、はっきり言えないんですけど。そんなこともありました。

姉1:17年という年月で、私たちもその当時の記憶が結構抜けてる部分もありまして、家族で話しながら少しずつ思い出せるところは思い出す作業はしてるところです。

サトウ:刑事さんはナイフに対する血の付き方がおかしいというのはどういうふうにおかしかったのかという説明は受けられましたか。

安田:それはなかったな。

サトウ:例えば柄の部分に血が付いてないとか?

安田:いや、そんな詳しくは説明してもらえなかったんですけどね。

サトウ:そのナイフに関して同じ質問なんですけど、思い出させるのも申し訳ないんですけど、その文春の書き方がよく分かんないんですけども、頭上のほうからってなってるんですけども、要するにそれは傷は喉からの傷ということですか。

安田:自分が見た時は、真ん中ちょうど、喉の真ん中に穴が空いてました。

イマイズミ:日刊ゲンダイのイマイズミと申します。第1発見当時のことでお聞きするのはほんと心苦しいんですけれども、1度種雄さんのご遺体を見て、家を出て、住所を確認されて、それで通報されたわけですね。種雄さんの奥様とはその現場ではお会いしてなかったと思うんですが、最初に会ったのはいつだったのでしょうか。

安田:夜になって警察署に行って、種雄の義理の兄っていうか、その人に会いました。そこでお父さんは?と聞いたら、今事情聴取受けてますと。顔は見てないんです。

イマイズミ:警察の方が来られるまでの間も奥様やお子さんと会っていない?現場で寝ていたそうですが。

安田:種雄が1人でいるとずっと思い込んでいたのに、ずっと2カ月ぐらい嫁達を探し回っていたんです。後で聞いたら、現場で警察からの1人が自分の所に来て、「隣の部屋にいましたよ」と言うから、びっくりして思わず「生きてますか」と聞いたんです。だから、そこのドアからその隣の部屋は1メーターぐらいしか扉まで離れてないんです。種雄が死んでる部屋と、その隣の部屋と全部くっついているような感じですね。廊下を挟んで、狭い廊下を挟んですぐ隣です。だから、ドアが閉まってたんで、まさか誰かいるとは思わないで、そのまま110番をするのが先だと思って、降りてきて110番したんです。

嫁の父親は警察官

タナカ:フリーランスのタナカと申します。種雄さんの奥様のお父さんが警察官だということですが、どのぐらいの階級の方ですか。

安田:階級はよく分かりません。

タナカ:どのぐらいの地位の方ですか。

姉1:それはお話ししていいのか分からないので、すみません、発言ちょっと控えさせていただいてもいいですか。プライベートにちょっと関わるのかもしれないので。

タナカ:例えば巡査なのか、例えば警視とか署長クラスなのかで全然これは圧力違いますよね。だから、そこが聞きたい。結構大事なんです。

安田:それは、嫁に聞いたことありますよ。「お父さんはどこで勤めてるの?」って聞いたら、「警視庁だ」と言われて、「じゃあ階級は何?」って言ったら「分かりません」って言ったからそれきりです。だから、全然分かりません。

タナカ:警視庁って言ったんですね。

安田:はい。

タナカ:弁護士の先生、ご存じないですか。

タカハシ:弁護士じゃないんで

タナカ:え?

タカハシ:弁護士ではないんで、すみません。

記者(A):1点だけ、じゃあ、その大塚署、警察署に上申書を出したということなんですけど、いわゆるその民事で争うとか、それから当時検察審査会はなかったと思うんですけど、被疑者、被疑者というよりも、むしろ自殺という形で処理されていたら、その事件処理に対して何らかの形でその法的な訴えみたいなものを起こしたいということは検討されてないですか。弁護士の方々と協議はされてますか。

姉1:今はまだそこまでは考えてません。まず、この場を皆さんにご報告すること、その後のことについてはまた考えていきたいなと思ってるんですけど。

真夜中に不審な男

記者(B):最後に。真夜中に会われたその不審な男ですね、長いものを背中に背負ってたんですか、風呂敷みたいなものを。

安田:いや、何か後ろから見たら風呂敷みたいなそれを抱えて、そこから棒のようなちょっと長いような、出たような感じがして、こんな感じで歩いたんですよ。後ろ姿しか見てないんで、だから、それ歩き方がちょっとおかしいなと思ってね、カーブ曲がった時走って行ったらいないんです。

記者(B):車の音かなんかしなかったです?

安田:いや、いや、それはもう距離が20~30メーターぐらいしかないんで、車の音なんかはないです。

記者(B):長い棒っていうのは、どのぐらいの長さですか。

安田:頭ぐらい出たのかなと、そんな感じでした。

記者(B):棒みたいなのってのは例えば日本刀みたいな、そんな感じでした?

安田:いや、それはよく分かんないんですけどね。

ヨコタ:フリーランスのヨコタです。 1つだけ、その後お孫さんというか、おいごさんとかめいごさんに当たると思うんですけれども、今お会いになられてるんでしょうか。

姉1:いえ、一度も会ってません。

ヨコタ:それはX子さんが会わせないっていうふうにおっしゃってるんでしょうか。それとも接点が全くなくなってしまったのでしょうか。

安田:亡くなって以降、1回も連絡なかったしね。会うこともできてないんです。

ヨコタ:お墓参り等も彼女は全くないんですか、お線香もあげにきてないのか。

安田:お葬式の時、種雄を引き取る時、警察署で担当刑事さんが遺体は誰が引き取るかって言われて、「自分が連れていきます」って言ったら、一応奥さんがいるから、「奥さん離婚したんでしょ」って言ったら、「まだ離婚されてない、書類出してないみたいです。だから一応聞いてみます」と言いました。僕たちは警察署の前の喫茶店で待ってたんですね。それから、刑事さんから「『引き取らない』って言うから、電話でも1本しなさいって言った」と言ったようで、しばらくたつと嫁から電話が来たんです。「お前たちな、自分の子供より可愛がってたのに」って言ったら、「そうですね」って言って、泣くようなそんな声が聞こえたんですけど、それで、家内に代わってもらって、家内が電話を代わってと言った。電話を渡したら、家内が「種雄が死んでるんだけど、葬式の時、孫を連れてきて線香1本でもあげてください。お願いします」って言ったら、そのままピッと切られて。

ヨコタ:そのまま電話切ったんですね。

安田:はい、切ったんですね。その後1回も会うことはできないんですね。

ヨコタ:逆に、彼女にアクセスしようというか、電話をなさったことはあったんでしょうか。

安田:ないです。

共同通信:最後に共同通信から1問だけ。その奥さん、種雄さんの奥様だった方っていうのが木原さんの今の奥さんであると。このことと、例えばその捜査が途中で始まったり打ち切りになったりっていう、この辺りの因果関係っていうとあれですけれども、この辺りの関係性とか、そうした事情っていうものをご家族としてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。関係がないと思うのであればそれでもいいですし、何らか思うことがあれば。

姉1:私たちは犯人がもし捕まったとしても、弟は戻ってくることはないので、ただ、真実を知りたいと思ってます。なので、知ってることがあれば言っていただきたいですし、すみません、ちょっと頭が。関連性ですよね。

共同通信:はい、そうですね。何かそこは事情としてこうつながってるものを感じるのか否か。

姉1:その辺の真実を私たちも知りたいと思ってます。憶測ではなく、ですので、再捜査をして真実を明らかにしていただきたいなと思ってます。

タカハシ:ありがとうございます。いったん会見の形としてはここで終了させていただいて、ご遺族への取材などあれば、先ほど配られたペーパーにある連絡先のほうにご連絡を各自でお願いします。

マスメディアでは5件の報道に留まる

司法記者クラブで告発者の会見を仕切る文春の狙いは何なのか。自分達だけでスクープしていても広がらないと考えたのではないかと思います。ジャニーズ事務所の性加害問題でも他社が追いかけてこない状態を回避するため、カウアン・オカモト氏に日本外国特派員協会での会見をアドバイスしたことが判明しています。情報源を自分達で囲い込むのではなく、他メディアが追いかけられるように仕向けた。今までも他メディアへの情報提供はあったとは思いますが、記者会見の方が一度に提供できますし、会見ならマスメディアが取り上げやすくなるためでしょう。記者会見のうまみに気づいたともいえるのかもしれません。記者会見はどこで開くか場所も重要な要素となります。今回司法記者クラブを選んだのは、木原副長官の妻が日本弁護士連合会に人権救済申し立てをする方針が報道されたためではないかと推測しています。(実際の申し立ては7月21日付)

もう一点この会見の注目点があります。幹事社の共同通信は質問をしていますが、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞といったマスメディアからの質問が皆無だということ。司法記者クラブであるにも関わらず、です。文春としてはマスメディアが報道しやすいように司法記者クラブで会見をしたのだろうと思いますが、やや拍子抜けだったかもしれません。

実際、マスメディアで報道したのは、産経新聞、中日新聞、愛媛新聞、共同通信の4社で5件の記事しかなかったのです(2023年8月8日 「安田種雄」での検索結果 G-Search)

マスメディアが様子見である一方、YouTuberでの発信は勢いづきました。さらに、記者会見を活用した新たな文春砲はこれで終わったのではなく、続きの記者会見がありました。これらの砲撃に組織や個人はどう対応したらいいのか、あるいは避けるためにはどうしたらいいのか、次の告発会見でさらに考察します。

第2弾の記事へ続く

https://bst-byline.yahoo.co.jp/article/update/00361521

<参考サイト>

【木原誠二官房副長官 妻の前夫“不審死”事件】故安田種雄氏の父親ら記者会見

(ニコニコニュース 7月20日)

https://www.youtube.com/watch?v=9quuq5qyIhw

危機管理/広報コンサルタント

東京都生まれ。東京女子大学卒。国会職員として勤務後、劇場映画やテレビ番組の制作を経て広報PR会社へ。二人目の出産を機に2001年独立し、危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。リーダー対象にリスクマネジメントの観点から戦略的かつ実践的なメディアトレーニングプログラムを提供。リスクマネジメントをテーマにした研究にも取り組み定期的に学会発表も行っている。2015年、外見リスクマネジメントを提唱。有限会社シン取締役社長。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会副理事長

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