ペットが飛行機に同伴搭乗できても、緊急脱出時にはペットの命は救えない?
1月2日、羽田空港の滑走路で、日本航空の旅客機が海上保安庁の航空機と衝突し炎上しました。動物が手荷物として預けられていて、JALの広報部は以下のように回答しています。
「2件のお預かりがございました。お預かりしたペットに関しましては、残念ながら救出ができませんでした。お悔やみを申し上げます。
ペットのお預かりに関しましては、お客さまの『ご家族』を大切にお預かりする、という認識のもとお預かりをさせていただいております。この度は、お客さまやご家族の皆さま、関係の皆さまには大変なご心配、ご迷惑をおかけしていますことを深くお詫び申し上げます」とFLASHは報道しています。
ペットが飛行機に乗るときは貨物室へ
日本の航空機のほとんどは、ペットを乗せるときは、貨物室です。
貨物室内の環境は、ペットの健康状態に様々な影響を与え、ペットが衰弱、もしくは死傷する場合がありますと航空会社のサイトには書いてあります。
・貨物室の温度や湿度
貨物室内の温度や湿度は管理してありますが、客室より外気温などの影響を受けやすい。夏場や冬場は気温の変化を受けて高温や低温になることもあるそうです。とくに、夏は熱中症の問題があります。
・音
離着陸時や飛行中は、航空機のエンジン音・機械操作音・風切り音などが聞こえるので、音に敏感なペットには厳しい環境です。
・照明
飛行中は貨物室内なので暗いです。
ペットが飛行機に乗った時は、このような環境の貨物室になります。それでは、同伴搭乗できる航空会社があるので、それを見てみましょう。
STARFLYER・航空会社はペットと一緒に搭乗できますが、緊急脱出時はペットを置いて脱出
日本のSTARFLYERという航空会社は、2022年3月27日より「FLY WITH PET!」というサービスがあり、ペットと一緒に客室に搭乗できます。長さ50cm×横幅40cm×高さ40cm以内のケージに入れることのできるペットなら、飼い主の隣のシートにいられるのです(2024年1月15日より全路線、全便でこのサービスを行う予定)。
しかし、「緊急脱出が必要になった場合、ペットは連れていけませんので、ペットを機内に残して脱出いたします」とサイトに載っています。
このような非常時はあまりはないですが、これらのことも理解して、飛行機にペットを乗せましょう。
SNS上では、同伴搭乗できたらペットの命を救えた?
各鉄道会社の公共交通機関では、車内にペット同伴搭乗が可能になっています。今回、JALの乗客・乗員379人全員が脱出できましたが、ペットは貨物室にいたから、ということになっています。
しかし、同伴搭乗できたとしても、現段階では緊急脱出時は、ペットを置いて脱出となっています。
緊急脱出時は手ぶらでということなので、日本では、たとえ同伴搭乗してもペットの命を救うことはできません。
まとめ
筆者の動物病院では、海外赴任や海外に住んでいる人が実家の猫を引き取るなどのときにはペットの検疫の書類を書きます(海外にペットを移動するとき狂犬病などの検疫証明書が必要です)。
SNS上では、旅行でペットを連れていかず、ペットを飼っている人は旅行をしない方がいいという意見などもあるようですが、生活のライフスタイルが変化して、ペットを飛行機に乗せる必要がある人もいるのです。
アメリカに猫を連れて行った人は、ユナイテッド航空で、自分の隣のシートを予約して、ケージに入れて連れて行きました。
日本の飛行機もペットと同伴搭乗できるようになれば貨物室での事故はなくなります。しかし、緊急脱出時はペットの命を救うのは難しいようです。
飼い主が事故に遭って、そのうえ、大切なペットを失っています。SNS上で飛行機に乗せるからだという投稿もありますが、どうしても飛行機にペットを乗せる必要がある人がいることを理解してほしいです。
緊急脱出時は、ペットを抱っこ紐で固定できるのなら、一緒に脱出できるようになればいいのに、と思います。このような時、人命もペットも助かるシステムを考える必要があります。