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【お手柄】ペットのゴールデンレトリバー”ハッピーくん”が男性救出 犬の素晴らしい3つの能力

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
FBS福岡放送 YouTubeより

一般の家庭で飼われている犬が、男性の命を救いました。福岡県朝倉市で、ゴールデンレトリバーのハッピーくんが、水路に転落した男性の声に気づき人命救助に貢献したとして、11月13日に警察署から感謝状とおやつを贈られました。

警察犬が行方不明の人を捜索することはよく知られていますが、ペットの犬がこのようなお手柄をあげることは珍しいです。ペットの犬は、日夜、捜索の訓練をしているわけではないからです。そんな犬の素晴らしい能力を見ていきましょう。

お手柄のゴールデンレトリバーのハッピーくん

【厳選!】お手柄ゴールデンレトリバー“ハッピーくん”に感謝状とおやつ 男性救助に大活躍 福岡放送

ペットとして飼われているゴールデンレトリバーが人を救出することは稀です。警察犬といえば、シェパードなどを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ゴールデンレトリバーもいます。

ハッピーくんはゴールデンレトリバーなので人を救出できる能力はありますが、あくまでもペットなのです。

男性を救出したときのハッピーくんの様子を見ていきましょう。

ハッピーくんの飼い主は、福岡県筑前町に住む今村健人さんです。ハッピーくんは、普段から吠えないようにしつけられています。今村さんは「『スピーク』と言ったときだけ吠えていいよ」と教えていると話しています。

事件があったのは、深夜0時ごろで寝ていた今村さんは、ハッピーくんが吠える声に気づき目を覚ましたそうです。普段、吠えないハッピーくんなので、今村さんは、不思議に思って耳をすますと、外からうめき声が聞こえたのです。

今村さんが、その声が聞こえる方へ向かうと、家の外の水路に横たわる男性がいました。水路は2メートルも下にあるので、レスキューを呼んで救出してもらったそうです。救出された男性は、ハッピーくんのお陰で命に別条はなかったのです。

なぜ、ハッピーくんは人命救助ができたか?

イメージ写真
イメージ写真写真:イメージマート

犬には、人間が持っていない優れた能力があります。

人命救助できたのは、犬は以下のような3つの能力を持っているからです。

1、優れた嗅覚

犬の嗅覚は極めて鋭く、人間にとっての視覚の情報と同じぐらい豊かで細やかなのです。犬の嗅覚が人間に比べてどれぐらい優れているかは諸説ありますが、私たちの10万倍以上とか、数百万倍以上とか言われています。

正確な数字はどうあれ、犬の鼻は芸術品のようなものです。

この嗅覚を使って、ハッピーくんは人間が外にいることがわかったのです。

2、優れた聴覚

犬の聴覚が優れていることも知られています。

雷の苦手な犬は、飼い主にはまだ聞こえない雷の音を早くから察して、ブルブル震えたりします。

犬笛は、人間に聞き取りにくい高い周波数になっています。それを犬は聞くことができます。音楽家は、一般の人より聴覚が優れていることが多く、あるインタビューで大貫妙子さんが、「坂本龍一さんはいわゆる犬の耳のような鋭い聴覚を持っていて、普通の人にはわからない音まで聞こえて感動できる」と言われていたことがあります。ハッピーくんは、飼い主の今村さんが聞こえない「人間の声」をいち早く察したのでしょう。

3、人とコミュニケーションができる

いくら犬が、優れた嗅覚や聴覚を持っていて情報を得ても、それを飼い主に伝えようと思うかが問題です。

ハッピーくんは今村さんとよくコミュニケーションをしていて、むやみやたらに吠えてはいけないと教えてもらっていました。まだ、1歳ですがハッピーくんは賢くてこの人間のニオイと声はどうも普通ではないとわかって、今村さんを起こしたのです。

まとめ

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イメージ写真写真:イメージマート

動物行動学などから犬の能力が解明されてきています。

犬の飼い主は、犬が不安と満足、喜びと嘆き、嬉しさと悲しさなどの感情を持っていることは理解している人も多いでしょう。

今村さんのように、ハッピーくんの感情を読み解けるようになれば、犬の持っている能力の素晴らしさはより発揮できるのでしょう。犬の能力に感謝です。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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