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猫の爪が部屋に落ちているとSNSで話題 「爪のケア」を獣医師が解説 #猫の爪

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
猫は液体@jirosan77さん より

SNS上で、「これはなんですか?」「爪が全部落ちた?」と猫の爪が部屋に落ちていると話題になっています。

猫の爪切りをどうしたらいいのか?と悩んでいる人もいます。

トップの写真の猫・あんみつちゃんは、不満そうな顔はしていますが、おとなしく爪切りをさせてくれています。

このX(Twitter)の動画は記事執筆時点で50万件以上の表示数を突破、1万2000件以上の“いいね”を獲得。「微妙な態度がかわいい!」「おとなしくていい子」と人気を集めています。

あんみつちゃんの爪切りの様子を見ながら猫の爪について解説します。

爪切りをされているあんみつちゃん

猫は液体@jirosan77さん より

あんみつちゃんは嫌がっているようにも見えますが、おとなしくしています。このように抱っこして爪切りをするとお母さんの温もりが伝わり安心感があり、いいのかもしれません。

猫は液体@jirosan77さん より
猫は液体@jirosan77さん より

あんみつちゃんは「爪切りは苦手」と言い出しそうですが、遠くを見ている視線がたまらなくかわいいです。

その一方で、お母さんと信頼関係があるので、逃げたりせずに爪を切らせてくれるのです。

猫の爪は切った方がいいのか?

犬と猫の爪のケアは違います。

犬は、散歩に行くと爪が削れるので猫ほど爪を切る必要はありません。

猫は爪を切らなくてもいいと思っているかもしれませんが、以下のような理由で爪切りをしてもらっています。

【猫の問題】

・猫がソファやカーペットなどを歩くときに、引っかかってしまう

・高齢の猫は爪研ぎをしなくなるので、爪が伸びすぎて肉球に刺さり感染症を起こすことがある

【飼い主の問題】

・抱っこすると飼い主の体に爪が刺さる

・遊んでいるときに、飼い主が引っかかれて傷つく

猫の爪を切る時の注意点1

嫌がるようなら、無理やりしないようにしましょう。

今日は前脚、明日は後脚というようにしてください。嫌がっているのに爪切りをすると、爪切りを持っただけで、逃げます。

猫の爪を切る時の注意点2

爪には血管が走っています。切り過ぎると血が止まらなくなります。明るい部屋で、爪をよく見て切りましょう。爪が白い猫は、よくわかります。

血が止まらないときは(思っているより血が出ます)、患部を押さえてすぐに動物病院で処置してもらいましょう。

猫の爪を切る時の注意点3

猫の爪は前脚を短めに切り、後脚は、少し長めにしましょう。後脚の爪を短くすると、歩いたり走ったりしにくくなり、踏ん張りがきかなくなる可能性があるからです。

「猫の爪」が落ちても大丈夫?

まるで猫の爪が丸ごと落ちたかのように見えることがあります。

これは、犬と猫の爪の構造が違っているからです。猫の爪はタケノコのようになっているのです。爪の外が剥がれ、中にある新しい爪が現れます。

剥がれた爪を見て、猫の爪がなくなってしまったと思われがちですが、大丈夫です。

猫の爪の役目

猫の爪の役割は大きく分けて4つあります。

ひとつは、自分のニオイづけをします。犬が、オシッコでマーキングしているのと似ています。ここは自分のテリトリーと爪でニオイづけをします。

二つ目は、狩りをするときに、獲物を鋭い前脚の爪を使って射止めます。室内飼いの猫は、キャットフードをもらっているので、鋭い爪がなくなっても大丈夫です。

三つ目は、喧嘩のときに、爪を出して相手に傷を負わせます。

四つ目は、爪を出し滑らないようにしています。高いところから飛んだときに爪がフックのようになるのです。

まとめ 爪研ぎを用意

ミューちゃんの飼い主から提供
ミューちゃんの飼い主から提供

猫の爪切りをしていたらそれで、爪のケアは大丈夫ではないのです。猫のストレス発散には爪研ぎを用意してあげることも大切です。

大事な家具で爪研ぎされたくない場合は、爪研ぎに「またたびの粉」が付属しているものもあるので、はじめはそれを爪研ぎにかけて遊んでいい場所だと教えてあげましょう。

爪研ぎの種類は床に置くタイプ、縦型、タワーなどさまざまなタイプがあります。愛猫の好みを見ながら、選んであげてください。

コロナ禍で猫を初めて飼った人もいるでしょうね。猫の爪についての知識を持って、猫に快適なように飼ってあげましょう。

以下の動画で、あんみつちゃんの日常を見ることができます(あんみつちゃんとお母さんの信頼関係から爪切りができる環境だということがわかります)。

え...きゅうりをじーっと見続ける猫たち

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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