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「犬の鳴き声」問題で、隣人が犬にブロックで急襲。飼い主も気をつけていないと思わぬトラブルに?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

去年の11月に、宮崎県で犬の鳴き声で近隣トラブルが起こりました。カンテレは、被害者が撮影した映像には、以下のような危険な行為の数々がとらえられていると伝えています。

70代の男性が、犬を飼う被害者の家の敷地内に入り、鉄の棒を持って暴れたり、犬に向かってブロックを投げたりといった行為に及びました。

一般の犬の飼い主は、この記事を読んでどのように感じられたでしょうか。これは事件にもなっており、珍しい事なので自分のところとは関係がないと考える人は多いかもしれません。現実問題として、犬は長生きになり、気をつけていないとこのようなトラブルに遭う可能性が高まっているのです。そのことを以下に説明します。

なぜ、犬の鳴き声のトラブルが起こったか?

FNNプライムオンラインでは、被害者は「怪しい人が通ったりとか、タヌキのような動物が近づいてきたりすると、犬は(吠えるのが)本能でしょうけど、それが解決するまで吠え続ける。1時間とかそんな長いことかかることはまずないです。鳴き続けたとしても、5分とか。毎晩吠えるわけではなくて、何かあった時に吠える」と語っています。

男性は何が原因だったんですか?という質問に「何年も夜中に犬が鳴くのよ、ずっと。迷惑やからうるさいねや!って、ちょうど昼に。いつも夜うるさくて寝られないから。俺が夜うるさくて寝られないから、昼(酒を)飲んで寝る癖がついたのよ」と答えています。

つまり外で飼われている犬の鳴き声がうるさいと近隣の人が、犬にブロックを投げつけるなどの暴行をしたようです。いくら犬の鳴き声がうるさいからといって、このような行為をすることは、もちろん犯罪です。

犬は、吠えるものだから、仕方がないという考えの飼い主と大きな違いがあり、このようなトラブルになりました。

子どもの声がうるさいから公園の存続が問題になる時代

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犬の鳴き声だけではなく、子どもの声も問題になっています。子どもの声がうるさいと論争になったのは、長野県長野市青木島町大塚にある青木島遊園地です。長野県だけではなく、都会では子どもの声を嫌って保育園などの用地が確保できない事例があるといわれています。

以前は、子どもの元気な声や生き生きと活動する姿があり、地域の大人たちも子どもたちを温かく見守り、ときには叱り、ときには世話をしていました。しかし、最近では、だんだんと音に対しては敏感な世の中になっていることを飼い主は頭に置いておくことが必要です。

このようなことが起こるのは、リモートワークなどで家で仕事をする人が増えたこと、そして高齢者の割合が上がっているわが国では、やはり家にいる人が多くいること、そのうえ、仕事の形態が変わり、夜に働き昼間が睡眠の時間帯になっている人も増えたことなどが原因として考えられます。

犬を室内飼いにすれば、問題は解決するのか?

この事件の被害者は「やっぱり犬は吠えますので、近所迷惑はかけてるとは思います。なるべく、夜吠えないようには対策は進めていきたいなと思って。例えば塀を作るとか、音が響かないように、何か対策をするとかできることはあると思いますので。お互いのためっていうことでね」と語っています。

犬を室内飼いすれば、大丈夫という単純なものではないです。犬の寿命が延びて、さらなる問題が出てきています。

犬の高齢化問題、認知症による夜鳴き

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犬の平均寿命は、約14歳になっています。

シニア期が一般的に7歳ぐらいからだといわれているので、犬の半分はシニアです。そのため、認知症になる犬も割合多くいます(柴犬などの日本犬に多い)。

認知症になると徘徊やその場をグルグル回るだけでなく、夜鳴きがあるのです。この事件の犬のように、5分程度ではなく、ずっと鳴きます。もちろん、内服薬などがありますが、うまく鳴き声を調節することは難しいので、近所のトラブルになりやすいです。

筆者の知っている飼い主で、無記名で「犬の鳴き声がうるさい」とポストに投函された人もいます。

犬の鳴き声は、飼い主が思っている以上に響くのです。特に夜は静かで寝ている人が多いので、トラブルの元です。

筆者も動物が好きで、少しぐらい犬が鳴いても気にならないですが、世の中には、犬の鳴き声が苦手な人が多くいることを理解することは大切です。そうすることで、犬も危害を加えられることが減ると思います。地域社会には、多様な人がいると考えることは必要です。

まとめ

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犬の鳴き声は、飼い主にとってはそれほど気にならないものです。

その一方で、近隣の人は、犬の鳴き声に敏感になっているかもしれないのです。

鳴かないようにしようとしても、上記のように認知症などになると鳴き続けることもあるのです。そのために、やはり近隣の人とは日頃から、コミュニケーションを取っておいた方がトラブルになりにくいです。

以前より、音に対して寛容ではない時代だということを頭に置いてください。犬は、いろいろな理由で鳴きますが、それで他の人から暴行を受ける可能性があります。愛犬が、そのような被害を受けないために気をつけてあげられるのは、飼い主しかいませんので、しっかり近隣の人にも配慮しましょう。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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