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猫の動画「寒い日に将棋崩し」が話題。ニャンコは進化しているのか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
ねこナビ編集部@CatNaviDeskの「寒い日はやっぱり猫と将棋崩し」より

呼び鈴を鳴らしてキャットフードを催促する2匹の有名な猫※の1匹のべるるちゃん(写真の中央の子)が寝たふりをして、新入りのくるる( 同写真の左、顔半分が白)ちゃんとまるる( 同写真の右、額にM)ちゃんがしっかり前脚を使って将棋崩しをしています。

猫が座って将棋盤に向き合う姿は、なんともかわいく、そしてこれは実際の猫が動いているのです(コンピューターで加工されているわけではなく)。最近の猫が進化していることを解説します。

※呼び鈴を鳴らしてキャットフードを催促していたもう1匹のぶるる(キジトラ)ちゃんは、22年4月23日永眠。

猫の将棋崩し

ねこナビ編集部@CatNaviDeskの「寒い日はやっぱり猫と将棋崩し」より

日本列島は、寒波到来です。

そんなとき、猫が将棋崩しをする動画を見ると、なんだかほっこりします。上の動画を見ていただくと、中央のべるるちゃんは、よほど眠いのかぬいぐるみのように動かず寝たふりをしています。

手前で、将棋倒しをしているのは、新しくやってきたくるるちゃんとまるるちゃんです。

先代のべるるちゃんとぶるるちゃんが、呼び鈴を鳴らしてキャットフードを催促する姿がなんとも愛らしかったのですが、ぶるるちゃんが急死してしまって、べるるちゃんが、なんともさみしそうに見えました。

そこに去年やってきたのが、保護猫のくるるちゃんとまるるちゃんです。離乳がまだ終わっていない状態、つまり生後1カ月ぐらいで、べるるちゃんのところに来たのです。2匹のきょうだい猫のくるるちゃんとまるるちゃんは、ミルクを飲ませてもらいながらすくすくと育ちました。

その環境の中に、ずっと呼び鈴、卓上のキーボードなどがあり、脚先を使うことに興味を持つように育てたようで、この子たちも呼び鈴を鳴らせるようになったのです(次の投稿)。

呼び鈴を鳴らす猫たち

ねこナビ編集部@CatNaviDeskの「あけましておめでとうございます」より

今年のお正月に投稿された「あけましておめでとうございます」動画です。

右からくるるちゃん、べるるちゃん、まるるちゃんの3匹の猫が呼び鈴を鳴らしてキャットフードを催促しています。

この猫たちを見ていると、やらされているという感じはなく、楽しそうなうえに得意気にも見えるのです。

人間の子どもの教育でも、勉強をさせるのではなく興味を持たせて好きにさせることが大切だとよく言われてますが、猫にも同じようです。

猫は進化したのか?

ねこナビ編集部@CatNaviDesk の「寒い日はやっぱり猫と将棋崩し」より

犬は飼い主に従順な子が多く、猫は一緒の空間にいてそれほど飼い主を気にしない動物です。

その一方で、完全室内飼いの猫が増えて室内でおとなしくしてくれて、飼い主とコミュニケーションがとりやすい子が好まれるようになりました。

平成のはじめの頃は、治療をしようとすると診察室を駆け回って天井を走る勢いの子までいました。現在は、ずいぶん猫はおとなしく治療をさせてくれる子が増えているのも事実です。

犬なら、昔から静脈点滴をしている間はじっとしてくれています。いまは猫でも、静脈点滴をする数時間の間、ケージの中でおとなしく過ごしてくれる子が増えています。

日本人が、猫がおとなしく聞き分けのいい子を好むようになり、幼いときから、べるるちゃんの家のように教えると、呼び鈴を鳴らしたりできる猫になっていくのです。

くるるちゃんとまるるちゃんは、きょうだい猫ですが、べるるちゃんとは血縁関係はないのです。環境でこのような賢い猫に育っているのです。

猫は気ままな動物ではありますが、小さい頃から人間に興味を持つように育てると人間の言うことを理解して行動してくるようになるのです。

猫が人間の言うことを理解できると、獣医療もできやすくなり、より獣医学が進歩することでしょう。そして、その関係者が猫に噛まれたり引っかかれたりすることが減っていくので嬉しいことです。

べるるちゃん、くるるちゃん、まるるちゃんが、こんな猫の一面を教えてくれました。

猫に対して興味がある方は猫専門メディア「ねこナビ」をご覧ください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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