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坂上忍さんが「家族が増えて25兄弟さんになり、『今回が最後の子』」と言える素晴らしさとは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

動物好きで有名な坂上忍さんが、2022年4月に動物保護ハウス『さかがみ家』をオープンしました。坂上さんは、精力的に動物保護活動を行っています。

そして、坂上さんは、動物保護活動の現場が改善されるように努力されています。その辺りを含めて、坂上さんの素晴らしさを見ていきましょう。

家族が増えて25兄弟さんになり、「今回が最後の子」と言える素晴らしさとは?

筆者の動物病院は、動物保護活動をしている人も来院します。その多くは、猫の保護活動をされている人です。そんな彼女らのなかには、多く野良猫を保護して大丈夫なのかな、と心配になる人もいます。

もちろん、遺棄する人が多すぎて、野良猫が次から次に出てくるというのが、現実だと思います。そんな状況を知っているだけに、この坂上さんの「今回が最後の子」と言い切れる素晴らしさを感じます。

それでは、詳しく見ていきましょう。

sippoによりますと、坂上さんの家には、25兄弟さんがいます。

うちわけは、現在、犬が12匹、猫が8匹です。これだと20匹ですが、亡くなった子が3匹いるので、その子たちも含めて23匹ということです。そのうえ、坂上さんの近所の野良猫のボランティア活動をしている人から、子猫が2匹捨てられているという情報があり、その子たちを保護したので、現在は合計25匹になったそうです。

坂上さんは「いや~、どこまで行くんですかね。もはや誰も信じてはくれませんが、今回で最後です。最後の子なんです!」と言っています。

「この子で、最後です」と言い切れるところが、坂上さんの素晴らしいところだと思います。

動物保護活動をしている人の「遺棄された子が多くいるので、全部、引き取りたい」と思う気持ちは理解できます。

その一方で、野良猫を数十匹引き取るとなると、スタッフの数や財力がないと、多頭飼育崩壊に陥ってしまうことが多いのです。

その理由は、保護主の時間には限りがあるので、多すぎる子を保護すると、世話することができなくなり、そうすると、多頭飼育崩壊になる危険性があります。

「ここまでならできるという限界」をちゃんと見極めることも大切なのです。

大切にしているのは「身の丈」で商売するということ

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イメージ写真写真:アフロ

動物保護活動は、問題は山積みですが、現代ビジネスの「坂上忍「理想はあと5年で隠居生活」のいま、動物保護ハウス『さかがみ家』にかける思い」で、坂上さんは、大切にしているのは「身の丈」で商売することと言っています。

たとえば、保護する動物の数を計画性もなく増やそうとは考えていないそうです。

ゆとりのある環境で過ごしてもらうことで、人になつかなかった動物たちも穏やかになるのです。

保護した動物は敏感で、ゆったりした環境でないと、安心して暮らせないのです。

つまり、「のんびりとした空気づくり」だそうです。坂上さんは、『さかがみ家』で働くスタッフには、昼寝を促しているそうです。保護犬と一緒に昼寝ができる環境を目指されています。

保護した動物は、飼育放棄などのネグレクト状態だった子も多くいるので、世話している人が、せかせかしないでまったりしていると、その空間にいる動物も穏やかになるのです。

まとめ

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イメージ写真写真:イメージマート

動物保護活動をしている人たちは、1匹でも多くの命を救いたいと思っています(それほど保護した方がよい子は多くいます)。そのため、ついつい多くの子を引き取り、身動きが取れなくなるケースもあります。命を救うことは、大切です。それはよくわかっていますが、「身の丈」にあった数というものが、あるのです。

多く引き取りすぎて、世話できずネグレクト状態になると、保護した動物はつらい思いをします。

有名人の坂上さんが、保護する数を計画して、それ以上増やさないようにされています。こういう風に影響力のある坂上さんに発信してもらうと、動物保護活動をしている人は、このことが頭をよぎって、のんびりした環境で保護動物と暮らしていきやすくなるでしょう。

保護しても保護してもきりがないという社会ではなく、犬や猫を飼えば、不妊去勢手術をして、終身飼育が当然の世の中に、保護すべき動物が少しでも減ることを願っています。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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