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【ニャンコの驚異の生態学】子猫の発育と母猫の産後の発情時期の早さを知っていますか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

先日のGWに猫カフェに行っていました。そこで、数十匹の子猫が保護されていました。

猫は、ご存じのように、1回の出産で数匹を生みます。2匹の母猫の子猫を保護すると、すぐに10匹ぐらいです。子猫だけ保護した場合は、人間がミルクをあげないといけません。

かわいい子猫にミルクをあげられるのだったらいいかなと頭をよぎる人もいるかもしれません。簡単なように聞こえますが、そうでもないのです。2時間おきに哺乳瓶やシリンジでミルクを与えて、その後、排泄を促すのです。

そこで、今日は、子猫はどれぐらいで発育するかと、母猫の産後の発情の早さを見ていきましょう。

公園で保護した子猫は、生後何カ月なの?

t撮影は知人 離乳食をもらっている様子
t撮影は知人 離乳食をもらっている様子

公園で保護した野良猫の子猫は、生後何カ月なのかと迷うところです。眼や歯を見るとある程度予測できるのです。以下を参考にしてください。

生まれたばかり

眼も見えず耳も聞こえませんが、嗅覚と触覚は鋭く、母猫の乳房は探せます。この時期は、おおよそ55グラムから110グラムあります。

生後1週間

この辺りから眼が開きはじめます。

体重はおおよそ100グラムから200グラムあります。

生後1カ月

この頃から小さな乳歯がはえます(永久歯は生後6カ月で生え替ります)。眼の色は、青色です(将来は、黄色や青色に変わる子も全て青色です)。ちゃんと座ることができます。そのため兄弟猫と遊びはじめます。生後1カ月半ぐらいから、母猫のトイレで排泄ができます。

生後2カ月

この時期になると、離乳食(※)です。子猫は、一段と活発になります。兄弟猫同士でけんかごっこや狩りごっこをします。

※離乳食とは、ミルクをすぐにやめるのではなく、固形物が食べられるように段階的にあげる食事です。食べ物をペースト状からだんだんと大きさや固さを変えていき、噛み潰して飲み込むトレーニングをしながら、未消化なウンチが出ないか注意深く見ていきましょう。

生後3カ月

自然界では、断乳の時期です。母猫が子猫に哺乳しなくなります。子猫は、母猫に甘えたいのですが、もう母猫は発情期になり子育てどころではないのです。避妊していない母猫は、雄猫を探しに行きます。

いつまでミルクボランティアが必要なのか?

野良猫の子猫は、栄養状態がよくない場合が多いので体重で決めることは難しいです。

歯を見て、しっかり乳歯がはえている状態なら、ミルクではなく離乳食になります。

なぜ、ミルクなのか?

それは、子猫の消化器系が未熟で離乳食を与えても消化できないからです。歯はものを食べるときに嚙み砕いたりするところなので消化器系です。つまり歯がないということは、ミルクで、小さな歯がはえてきたら、だんだんと離乳食に切り替えていくということを体は教えているのです。子猫の口の中を見ると何をあげるべきかの答えがわかるのです。

ミルクボランティアは、時間的にたいへん

生後2カ月ぐらいまで、ミルクボランティアが必要です。子猫が生後どれくらいかの時期によりますが、生後すぐだとミルクを与える時期は、60日間必要です。

生後1カ月半になれば、離乳食も始まりますので、この時期だとミルクなどをあげる時間の間隔が開いてずいぶんと楽になります。人間の子どもに比べると子猫は生後3カ月を過ぎるとひとりで食べてくれます。この時期だともうあまり手がかかりません。口の中の歯を観察しながら、世話をしてあげましょう。

母猫の不妊手術の時期とは?

写真:イメージマート

上述からもわかるように、母猫は、出産後3カ月で発情がきます。出産したばかりでかわいそうだからと様子を見ていると、すぐに交配して妊娠するのです。そのため、雌猫は年に3回出産する子がいるのです。このようなことから、猫は繁殖能力が旺盛な動物と言われています。

雌猫の驚異の発情の早さを知って、子猫と母猫の保護活動をしましょう。生態学の知識を持って保護猫活動をすることが大切ですね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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