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ピットブルやドーベルマンが逃走。大型犬を安全に飼うために行動学から考えられたグッズとは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

4月のはじめに千葉県の市川市の動物病院の玄関でピットブル、22日に同県の更津市で飼い主の自宅からドーベルマン4匹が逃走しました。どちらも路上で発見され無事に保護されました。そして、けが人などはなく本当によかったです。

そうは言っても、犬は悪くないですが逃亡することがある動物です。犬の負担が少なく行動学から考えられたしつけができるグッズがあるので紹介します。

チョークチェーンとは?

写真:イメージマート

上記の写真のような首輪はチョークチェーンといいます。

しつけ用の首輪として一般的です。今回、逃亡したピットブルは、首輪が外れたということなので、ひょっとしたらこのチョークチェーンをつけていた可能性もあります。

choke chainと書きますが、chokeの日本語の意味は、窒息させる、息苦しくする、息を詰まらせる、ふさぐなどです。つまり、犬が勝手な行動をしたら、このチョークチェーンで首輪を引っ張り、そのことで首が絞まり動物の動きを制御するものです。

簡単に首にはめやすいのですが、その反面、緩んでいる時に、犬が違う方向に行こうとすると、すっぽ抜けてしまうこともあるので危険です。

この首輪は、首を締つけて、犬の行動を制御しますので、散歩やしつけに使うのはよくないとも言われています。

イージーウォークハーネスとは?

飼い主撮影 イージーウォークハーネスをつけたところ
飼い主撮影 イージーウォークハーネスをつけたところ

イージーウォークハーネスは、しつけ用ハーネスで、犬が散歩中に引っ張るなどを抑制する効果はたいへん高く、そのうえ犬に与える負担もほとんどないです。犬の体に優しいハーネスといえます。

ハーネスなので胴につけるので、チョークチェーンのように、首を絞めるということはありませんし、緩んだ時に、抜けることもあまりありません。

このハーネスの特徴は、上の写真のようにリードをつけるところが、犬の胸の前です。一般的なハーネスは、リードをつけるところが背中にあります。

前胸の部分がループ状になっています。その部分は、犬が利口にしているときは、緩んでいます。犬が引っ張るとき、リードを飼い主がやさしく引くと犬の胸に力が加わるので、その反射で犬は止まります。従来のしつけ用の製品とは全く違う、犬の習性を生かした特殊な構造のハーネスです。

散歩中に前へ前へと引っ張りながら進もうとするエネルギーに余っているなど犬でも負担が軽いことからの方向転換が簡単にできます。

犬のしつけについて

写真:アフロ

犬のしつけは、犬と飼い主の信頼関係です。

飼い主が、群れのリーダーになって、犬に人間社会のルールを教えましょう。感情的にならず、犬の行動をよく観察することが大切です。よくないことをしたときは、「NO」とはっきりコマンドを出し、よい行動をしたときは「GOOD」と言って褒めましょう。

このような犬との関係を築いたうえで、しつけましょう。

世の中には、犬が好きな人ばかりではありません。犬が苦手な人がいることを理解して飼うことは大切ですね。愛犬が、しつけが出来ていても犬が苦手な人にとっては、やはり近くに来るだけで恐怖心があることを忘れてはならないです。犬を飼う人には全てですが、散歩中や自宅から逃がさないことは基本です。特に大型犬は、力が強いなどありますので注意をして、犬が苦手な人にも安心で安全である社会にしていきましょう。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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