猫に噛まれたりすると、命の危険にさらされることもあります。

猫に嚙まれたら、消毒さえすれば大丈夫というわけにはいかなくなりました。これまで、比較的温暖な西日本だけでみられたマダニ感染症が北上しています。今日はマダニ感染症のひとつで致死率10~30%程度といわれている重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)の話をします。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

今回は、マダニ感染症のひとつである重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の話をします。

この病気は、比較的新しく発見されたもので2011年に中国の研究者により世界で初めてSFTSウイルスによるダニ媒介性発熱性感染症として報告されました。

中国だけではなく日本でも2013年に山口県で発症したSFTS患者が初めて報告されました。この病気は、以前は日本での流行は静岡県以西の西日本に限局されていました。ところが今年は以下のようになっているのです。

2021年SFTSが関東でも初感染

STFSは、西日本以西だけにみられ関東地方は、感染推定地域ではなかったのです。ところがこの6月下旬に今回、千葉県で初めてSFTSウイルス感染事例が確認されたと国立感染症研究所が報告しました。

もっと北へと感染地域が増える可能性がありますね。どのようにすれば、人や犬や猫が感染するのかを見ていきましょう。

SFTSの感染経路

重症熱性血小板減少症候群(SFTSの現状)動物編
重症熱性血小板減少症候群(SFTSの現状)動物編

重症熱性血小板減少症候群(SFTSの現状)動物編より

(人)

人はマダニ(フタトゲチマダニ)に噛まれてSTFSになることが多いのですが、それ以外にも猫や犬から噛まれてもなることが報告されています。

2018年に岡山で開催された第92回日本感染症学会学術総会で、患者は生来健康な50歳代の女性で、いわゆる「餌やりさん」でしたが猫に噛まれその2日後に発症発熱、食欲低下、嘔吐などの症状があり末梢血液検査で白血球減少と血小板減少が認められ、症状が悪化し死亡したと報告しています。

室内飼いの猫は、このSFTSを持っている子は少ないのですが、野良猫に噛まれるとこのような命の危険があるのです。

SFTSの危険性が高い猫

野良猫

関東以西の猫(2021年7月現在)

保護猫活動をしている人、餌やりさんは、野良猫に噛まれて具合が悪くなることもあります。嚙まれたときは体調をよく観察してください。そのときは医療機関で「野良猫に噛まれた」ことを伝えましょう。関東以西には、SFTSを持っている猫がいるからです。

(犬や猫)

犬や猫もマダニのいる森や草原いるとSFTSになる可能性がります。

SFTSの症状は?

保護した猫に咬まれたら命の危険も… 知っておきたい「重症熱性血小板減少症候群」とは?に書いていますが、血小板が少なくなって症状が重いと命にかかわります。具体的な症状です。

□発熱

□消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)

□神経症状

□リンパ節腫脹

□出血症状

血液所見

□血小板減少

□白血球減少

□AST、ALT、LDHの上昇

□人の致死率は10~30%程度である

SFTSの予防

この病気はワクチンも有効な薬もいまのところありません。そのためマダニに噛まれないように以下のように注意してください。

(人)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の注意喚起について
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の注意喚起について

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の注意喚起についてより

□草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用

□サンダルのような肌を露出するようなものは履かない

□肌の出ている部分に防虫スプレー

□野良猫に噛まれない。

(猫)

□完全室内飼いにする

□獣医師と相談のうえダニ駆除薬を使う

(犬)

□獣医師と相談のうえダニ駆除薬を使う

□散歩の後は、ブラッシングしてマダニがついていないか注意する

□犬小屋は清潔に

マダニによる感染症が春季以降増加します。外に出ている犬や猫がマダニを家に持って帰る可能性もありますので、正しく予防して飼い主も犬や猫もSFTSに感染しないようにしましょう。科学的な知識を持つことは大切です。